聖書 — 口語訳 (1955)

ハバクク書 2

概要

ハバクク書2章は、悪が勝っているように見えることを理解できない預言者の訴えに対する、神の答えです。ハバククは見張所に立って待ちます。神は幻を書き記すよう命じ、遅くても定められたときに必ず成就すると告げられます。中心には、のちに新約聖書でも引用される言葉があります。義人はその信仰によって生きる、という言葉です。続いて、高ぶり、略奪、暴虐、人に飲ませて辱めること、偶像礼拝に対する五つのわざわいが語られ、聖なる宮にいます主の前での沈黙で終わります。

この章の4つの区分

  1. 1-5節見張所に立ち、幻を書きしるし、信仰によって生きる
  2. 6-14節不正と暴力で富を増す者へのわざわい
  3. 15-17節隣人を辱める者へのわざわい
  4. 18-20節偶像は物言わず、主は聖なる宮におられる

1わたしはわたしの見張所に立ち、物見やぐらに身を置き、望み見て、彼がわたしになんと語られるかを見、またわたしの訴えについて わたし自らなんと答えたらよかろうかを見よう。

2主はわたしに答えて言われた、「この幻を書き、これを板の上に明らかにしるし、走りながらも、これを読みうるようにせよ。

3この幻はなお定められたときを待ち、終りをさして急いでいる。それは偽りではない。もしおそければ待っておれ。それは必ず臨む。滞りはしない。

4見よ、その魂の正しくない者は衰える。しかし義人はその信仰によって生きる。

5また、酒は欺くものだ。高ぶる者は定まりがない。彼の欲は陰府のように広い。彼は死のようであって、飽くことなく、万国をおのれに集め、万民をおのれのものとしてつどわせる」。

6これらは皆ことわざをもって彼をあざけり、あざけりのなぞをもって彼をあざ笑わないだろうか。すなわち言う、「わざわいなるかな、おのれに属さないものを増し加える者よ。いつまでこのようであろうか。質物でおのれを重くする者よ」。

7あなたの負債者は、にわかに興らないであろうか。あなたを激しくゆすぶる者は目ざめないであろうか。その時あなたは彼らにかすめられる。

8あなたは多くの国民をかすめたゆえ、そのもろもろの民の残れる者は皆あなたをかすめる。これは人の血を流し、国と町と、その中に住むすべての者に 暴虐を行ったからである。

9わざわいなるかな、災の手を免れるために高い所に巣を構えようと、おのが家のために不義の利を取る者よ。

10あなたは事をはかって自分の家に恥を招き、多くの民を滅ぼして、自分の生命を失った。

11石は石がきから叫び、梁は建物からこれに答えるからである。

12わざわいなるかな、血をもって町を建て、悪をもって町を築く者よ。

13見よ、もろもろの民は火のために労し、もろもろの国びとはむなしい事のために疲れる。これは万軍の主から出る言葉ではないか。

14海が水でおおわれているように、地は主の栄光の知識で満たされるからである。

15わざわいなるかな、その隣り人に怒りの杯を飲ませて、これを酔わせ、彼らの隠し所を見ようとする者よ。

16あなたは誉の代りに恥に飽き、あなたもまた飲んでよろめけ。主の右の手の杯は、あなたに巡り来る。恥はあなたの誉に代る。

17あなたがレバノンになした暴虐は、あなたを倒し、獣のような滅亡は、あなたを恐れさせる。これは人の血を流し、国と町と、町の中に住むすべての者に、暴虐を行ったからである。

18刻める像、鋳像および偽りを教える者は、その作者がこれを刻んだとてなんの益があろうか。その作者が物言わぬ偶像を造って、その造ったものに頼んでみても、なんの益があろうか。

19わざわいなるかな、木に向かって、さめよと言い、物言わぬ石に向かって、起きよと言う者よ。これは黙示を与え得ようか。見よ、これは金銀をきせたもので、その中には命の息は少しもない。

20しかし、主はその聖なる宮にいます、全地はそのみ前に沈黙せよ。

鍵となる聖句

2-3節
主はわたしに答えて言われた、「この幻を書き、これを板の上に明らかにしるし、走りながらも、これを読みうるようにせよ。 この幻はなお定められたときを待ち、終りをさして急いでいる。それは偽りではない。もしおそければ待っておれ。それは必ず臨む。滞りはしない。

神は幻を書きしるし、だれもが読めるようにせよと命じ、それは必ず成就すると約束されます。遅れるように見えても、求められているのはあきらめることではなく、待つことです。

4節
見よ、その魂の正しくない者は衰える。しかし義人はその信仰によって生きる。

二つの態度が対比されます。自分だけを頼りにする高ぶる者と、神に信頼して生きる義人です。パウロはこの節を、信仰による救いを語るために引用しました(ローマ人への手紙1章17節、ガラテヤ人への手紙3章11節)。

14節
海が水でおおわれているように、地は主の栄光の知識で満たされるからである。

帝国の暴力のただ中にあっても、神は地平を示されます。「地は主の栄光の知識で満たされる」のです。それは水が海をおおうようにです。

20節
しかし、主はその聖なる宮にいます、全地はそのみ前に沈黙せよ。

物言わぬ偶像に対して、この章は、生ける神の前での沈黙への招きで終わります。神はその宮から治めておられます。「主はその聖なる宮にいます」。

この章に登場する人物

説教が語っていること

ハバクク書2章についてよくある質問

「義人はその信仰によって生きる」(ハバクク書2章4節)とはどういう意味ですか

この節は、自分を頼みとする高ぶる者と、神の真実に支えられる義人を対比しています。ここで信仰によって生きるとは、神が動かれるのを待ちながら、信頼と忠実さのうちに踏みとどまることです。新約聖書は、この言葉を用いて、人は行いによらず信仰によって神の前に義とされると語っています。

ハバクク書2章のメッセージは何ですか

神は、不正について問う預言者に答えられます。幻は確かであり、遅くても必ず来ます。高ぶりと暴力は続かず、主は主権者であり続けます。このメッセージは、偶像や不正な利益に惑わされず、信仰をもって待つよう招いています。

なぜ神は幻を書くようにと言われたのですか(ハバクク書2章2節)

幻を書きしるすと、それは長く残り、確かめることができ、走りながら読む人にも読めるものになります。預言者の記憶や気分に左右されなくなります。3節が思い起こさせるように、成就が待たれるときにも、よりどころとなり続けます。

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