聖書 — 口語訳 (1955)

イザヤ書 16

概要

イザヤ書16章は、イスラエルの隣国モアブに対する宣告の続きです。預言者は逃げ惑うモアブ人の姿を描き、ユダに彼らを迎え入れるよう求めます。逃れてきた者を隠し、公平を行い、避け所を与えなさいというのです。また、ダビデの玉座はいつくしみによって堅く立てられ、公平を求める裁き人が座すると告げます。続いてモアブの高ぶりを責め、荒れ果てたぶどう畑のために嘆き、その栄えがまもなく消え去ると告げます。

この章の4つの区分

  1. 1-5節逃れてきた者の避け所と、いつくしみによって堅く立つ玉座
  2. 6-8節モアブの高ぶりと嘆き
  3. 9-12節預言者は荒れたぶどう畑のために泣く
  4. 13-14節ほとんど無に等しくなる栄え

1彼らはセラから荒野の道によって 小羊をシオンの娘の山に送り、国のつかさに納めた。

2モアブの娘らはアルノンの渡しで、さまよう鳥のように、巣を追われたひなのようである。

3「相はかって、事を定めよ。真昼の中でも、あなたの陰を夜のようにし、さすらい人を隠し、のがれて来た者をわたさず、

4モアブのさすらい人を、あなたのうちにやどらせ、彼らの避け所となって、滅ぼす者からのがれさせよ。しえたげる者がなくなり、滅ぼす者が絶え、踏みにじる者が地から断たれたとき、

5一つの玉座がいつくしみによって堅く立てられ、ダビデの幕屋にあって、さばきをなし、公平を求め、正義を行うに、すみやかなる者が 真実をもってその上に座する」。

6われわれはモアブの高ぶりのことを聞いた、その高ぶることは、はなはだしい。われわれはその誇と、高ぶりと、そのおごりとのことを聞いた、その自慢は偽りである。

7それゆえ、モアブは泣き叫べ、民はみなモアブのために泣き叫べ。全く撃ちのめされて、キルハレセテの干ぶどうのために嘆け。

8ヘシボンの畑と、シブマのぶどうの木とは、しぼみ衰えた。国々のもろもろの主が、その枝を打ち落したからである。その枝はさきにはヤゼルまでいたり、荒野にまではびこり、そのつるは広がって海を越えた。

9それゆえ、わたしはヤゼルと共に、シブマのぶどうの木のために泣く。ヘシボンよ、エレアレよ、わたしは涙をもってあなたを浸す。ときの声が、あなたの果実と、あなたの収穫の上にふりかかってきたからである。

10喜びと楽しみとは土肥えた畑から取り去られ、ぶどう畑には歌うことなく、喜び呼ばわることなく、酒ぶねを踏んで酒を絞る者なく、ぶどうの収穫を喜ぶ声はやんだ。

11それゆえ、わが魂はモアブのために、わが心はキルハレスのために、琴のように鳴りひびく。

12モアブが高き所に出て、おのれを疲れさせ、またその聖所にきて祈っても、効果はない。

13これは主がさきにモアブについて語られたみ言葉である。

14しかし今、主は語って言われる、「モアブの栄えはその大いなる群衆にもかかわらず、雇人の年期とひとしく三年のうちに、はずかしめを受け、残れる者はまことに少なく、力がない」。

鍵となる聖句

3-4節
「相はかって、事を定めよ。真昼の中でも、あなたの陰を夜のようにし、さすらい人を隠し、のがれて来た者をわたさず、 モアブのさすらい人を、あなたのうちにやどらせ、彼らの避け所となって、滅ぼす者からのがれさせよ。しえたげる者がなくなり、滅ぼす者が絶え、踏みにじる者が地から断たれたとき、

預言者は、ユダに、追われる者を隠し、逃げてきた者を裏切らず、モアブのさすらい人をとどまらせるよう求めます。難民を迎えることは、隣国の民に対してさえ、正義の要求として示されています。

5節
一つの玉座がいつくしみによって堅く立てられ、ダビデの幕屋にあって、さばきをなし、公平を求め、正義を行うに、すみやかなる者が 真実をもってその上に座する」。

ダビデの家の玉座は、いつくしみによって堅く立てられ、正義に忠実な裁き人が座します。クリスチャンはここにキリストの統治の告知を読むことが多く、一方、まずはユダの王権の理想として読む人もいます。

6節
われわれはモアブの高ぶりのことを聞いた、その高ぶることは、はなはだしい。われわれはその誇と、高ぶりと、そのおごりとのことを聞いた、その自慢は偽りである。

聖書は、モアブの問題の根を、高ぶり、誇り、おごりであると指摘します。聖書の論理では、高ぶりは滅びに先立つもので、それが次に描かれる没落を説明しています。

説教が語っていること

イザヤ書16章についてよくある質問

イザヤ書16章3節から5節はどういう意味ですか

これらの節は、ユダにモアブの亡命者を守るよう求めています。助言を与え、公平を行い、追われる者を隠し、逃げてきた者を裏切らないことです。また、抑圧が終わり、いつくしみによって玉座が堅く立てられ、公平を求める裁き人が座すると告げます。多くのクリスチャンは、ここにメシアの統治を認めます。

イザヤ書16章のモアブとは誰ですか

モアブは、死海の東にあったイスラエルの隣国です。両国には、時に緊張をはらむ共通の歴史があり、ダビデの系譜に入ったルツはモアブの女でした。イザヤ書16章でモアブは、高ぶりを責められ、逃げ惑う姿で描かれますが、それでも預言者はユダに、彼らへ避け所を差し出すよう呼びかけています。

イザヤ書16章は今日の私たちに何を語っていますか

この章は、神が逃れてきた者、根こそぎにされた者の運命に関心を寄せておられ、迎え入れることが正義の一部であることを思い起こさせます。また、高ぶりが没落に至ることも警告します。多くの説教者は、周りの弱い立場の人や、故郷を離れた人々にとって具体的な避け所となるようにという呼びかけを、ここから引き出します。

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