聖書 — 口語訳 (1955)
詩篇 102
概要
詩篇102篇は、打ちひしがれた人が主の前に嘆きを注ぎ出す祈りです。表題には作者も具体的な状況も記されていません。詩人は自分の疲れ、孤独、涙を包み隠さず語り、やがて目を上げます。神はとこしえに治め、シオンを築き直し、乏しい者の祈りに心を留めてくださいます。詩篇は、すべてが過ぎ去っても変わることのない神の永遠をたたえて結ばれます。新約聖書はこの詩篇をヘブル人への手紙1章で引用し、キリストについて語っています。
この章の3つの区分
1主よ、わたしの祈をお聞きください。わたしの叫びをみ前に至らせてください。
2わたしの悩みの日にみ顔を隠すことなく、あなたの耳をわたしに傾け、わが呼ばわる日に、すみやかにお答えください。
3わたしの日は煙のように消え、わたしの骨は炉のように燃えるからです。
4わたしの心は草のように撃たれて、しおれました。わたしはパンを食べることを忘れました。
5わが嘆きの声によって わたしの骨はわたしの肉に着きます。
6わたしは荒野のはげたかのごとく、荒れた跡のふくろうのようです。
7わたしは眠らずに 屋根にひとりいるすずめのようです。
8わたしの敵はひねもす、わたしをそしり、わたしをあざける者はわが名によってのろいます。
9わたしは灰をパンのように食べ、わたしの飲み物に涙を交えました。
10これはあなたの憤りと怒りのゆえです。あなたはわたしをもたげて投げすてられました。
11わたしのよわいは夕暮の日影のようです。わたしは草のようにしおれました。
12しかし主よ、あなたはとこしえにみくらに座し、そのみ名はよろず代に及びます。
13あなたは立ってシオンをあわれまれるでしょう。これはシオンを恵まれる時であり、定まった時が来たからです。
14あなたのしもべはシオンの石をも喜び、そのちりをさえあわれむのです。
15もろもろの国民は主のみ名を恐れ、地のもろもろの王はあなたの栄光を恐れるでしょう。
16主はシオンを築き、その栄光をもって現れ、
17乏しい者の祈をかえりみ、彼らの願いをかろしめられないからです。
18きたるべき代のために、この事を書きしるしましょう。そうすれば新しく造られる民は、主をほめたたえるでしょう。
19主はその聖なる高き所から見おろし、天から地を見られた。
20これは捕われ人の嘆きを聞き、死に定められた者を解き放ち、
21人々がシオンで主のみ名をあらわし、エルサレムでその誉をあらわすためです。
22その時もろもろの民、もろもろの国は ともに集まって、主に仕えるでしょう。
23主はわたしの力を中途でくじき、わたしのよわいを短くされました。
24わたしは言いました、「わが神よ、どうか、わたしのよわいの半ばで わたしを取り去らないでください。あなたのよわいはよろず代に及びます」と。
25あなたはいにしえ、地の基をすえられました。天もまたあなたのみ手のわざです。
26これらは滅びるでしょう。しかしあなたは長らえられます。これらはみな衣のように古びるでしょう。あなたがこれらを上着のように替えられると、これらは過ぎ去ります。
27しかしあなたは変ることなく、あなたのよわいは終ることがありません。
28あなたのしもべの子らは安らかに住み、その子孫はあなたの前に堅く立てられるでしょう。
鍵となる聖句
主よ、わたしの祈をお聞きください。わたしの叫びをみ前に至らせてください。 わたしの悩みの日にみ顔を隠すことなく、あなたの耳をわたしに傾け、わが呼ばわる日に、すみやかにお答えください。
詩人は、聞いてください、顔を隠さないでくださいという素朴な叫びから祈り始めます。ありのままの姿で祈り、苦しみを取り繕わず、胸に抱え込まずに神へ向けています。
しかし主よ、あなたはとこしえにみくらに座し、そのみ名はよろず代に及びます。
「しかし主よ」の一言で、詩篇の流れが変わります。苦しみは現実のままですが、その苦しみが、とこしえに治められ、代々にわたって覚えていてくださる神の前に置き直されます。
乏しい者の祈をかえりみ、彼らの願いをかろしめられないからです。
神は、何も持たない者の祈りを煩わしく思われません。心を留め、軽んじることをなさいません。気落ちしていることは、祈りの妨げにはならないのです。
あなたはいにしえ、地の基をすえられました。天もまたあなたのみ手のわざです。 これらは滅びるでしょう。しかしあなたは長らえられます。これらはみな衣のように古びるでしょう。あなたがこれらを上着のように替えられると、これらは過ぎ去ります。 しかしあなたは変ることなく、あなたのよわいは終ることがありません。
造られた世界は衣のように古びていきますが、神は変わることがありません。この箇所はヘブル人への手紙1章10節から12節に引用され、イエス・キリストに当てはめられています。
詩篇102篇についてよくある質問
詩篇102篇はどういう意味ですか
力尽きた人の祈りです。苦しみをとても具体的に語り、そのあと、永遠に治める神に目を向けます。その神はシオンを築き直し、捕われ人の声を聞いてくださいます。この詩篇は、苦しみを偽らずに神の前に置いてよいこと、そして神の真実は私たちが通る試練よりも大きいことを教えてくれます。
詩篇102篇は誰が書いたのですか
表題に作者の名前はなく、ただ、悩む者が主の前に嘆きを注ぎ出す祈りとあるだけです。13節から22節はシオンの回復を語っているため、エルサレムが荒れ果てた時代や捕囚の時を思わせます。作者が無名であるために、誰もが自分の祈りとして重ねることができます。
落ち込んでいるとき、詩篇102篇をどう祈ればよいですか
声に出して、二つの段階で読んでみてください。1節から11節では、何があなたを押しつぶしているのかを、飾らずに神に具体的に伝えます。次に12節からは、神がどのような方かをゆっくり読み返します。神は治めておられ、心を留めてくださり、変わることがありません。最後に、思い浮かぶ人や状況を一つ神にゆだね、神の変わらない真実に感謝して祈りを閉じてください。
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。