要約
デメテリオはエペソの銀細工人で、町の女神アルテミスの銀の神殿を作り、職人たちに少なからぬ収入をもたらしていました。パウロの宣教で多くの人が偶像から離れているのを知ると、職人たちを集めて使徒に対して扇動します。町中が騒ぎ立ち、二時間近く叫び続けましたが、町の書記役が群衆をなだめて収めました。福音は偶像にからむ利害を揺るがすことが心に残ります。
銀細工人デメテリオという名前の意味
デメテリオはギリシアの女神デメテルにちなんで作られた名前です。聖書はその意味を説明していません。このエペソの銀細工人は、使徒ヨハネがよい証言を与えているデメテリオ(ヨハネの手紙第三12節)とは別人です。
銀細工人デメテリオの生涯
エペソの大きな騒ぎ
使徒の働き19章23-24節パウロは二年あまりエペソで教え、主のことばは力強く広がっていました。そのころ、この道のことでただならぬ騒ぎが起こります。その原因は、デメテリオという銀細工人でした。彼はアルテミスの銀の神殿を作り、職人たちに少なからぬ収入を得させていました。
デメテリオの演説
使徒の働き19章25-27節デメテリオは職人たちと同業者を集め、自分たちの暮らしがこの仕事によっていると語ります。パウロが、エペソだけでなくアジヤのほぼ全域で、手で造った物は神ではないと言って、大ぜいの人々を説き伏せたとも述べました。自分たちの商売と、アルテミスの神殿の権威が失われることを恐れたのです。
アルテミスをたたえる叫び
使徒の働き19章28-31節この話を聞いた職人たちは怒りに満たされ、自分たちの女神の名を叫び始めました。町中が混乱し、人々はパウロの同行者ガイオとアリスタルコを捕らえて劇場へなだれ込みます。パウロは民衆の前に出ようとしますが、弟子たちと、パウロの友人であるアジヤ州の高官数人も止めました。
二時間近い叫び
使徒の働き19章32-34節集会は混乱し、ある者はこう叫び、ある者はああ叫び、大多数は何のために集まったのかさえ知りませんでした。ユダヤ人たちはアレクサンドロという人を前に押し出し、彼が弁明しようとします。しかし群衆は彼がユダヤ人だと知ると、みなが一斉に二時間近くも叫び続けました。
書記役が群衆をなだめる
使徒の働き19章35-41節町の書記役が群衆を静め、パウロの同行者は神殿を荒らしても女神をののしってもいないと語ります。デメテリオと職人たちに訴えがあるなら、法廷があり、総督たちがいます。騒ぎのかどで町が責められるおそれもあります。こう述べて、彼は集会を解散させました。
銀細工人デメテリオから学ぶこと
- 福音は偶像、とくに利益をもたらす偶像を問い直します。
- 個人的な利益が、宗教的な言葉の陰に隠れていることがあります。
- 群衆は理由も知らずに長く叫ぶことがあります。真理は声の大きさでは測れません。
- 神はしもべを守り、思いがけない人を用いて静けさを取り戻してくださいます。
鍵となる聖句
デメテリオは、手で造った物は神ではないというパウロのメッセージを自ら要約します。彼の不安は、宣教が町の暮らしにどれほど触れていたかを物語っています。
騒ぎの直前に、ルカは主のことばがエペソで力強く広まり、勢いを増したと記します。デメテリオの商売を脅かしたのは、この福音の前進でした。
よくある質問
エペソ人のアルテミスとはだれですか。
日本語の聖書ではアルテミスと呼ばれ、ギリシア語の本文でも同じ名です。町の書記役は、エペソを大女神アルテミスの神殿と、天から下った御神体の守り手として語ります(使徒の働き19章35節)。デメテリオはこの女神の銀の神殿を作っていました。
デメテリオはなぜパウロに反対したのですか。
彼自身が語っています。職人たちの暮らしはこの仕事によっており、パウロの宣教は多くの人を手で造った神々から離れさせていました(使徒の働き19章25-26節)。また、アルテミスの神殿が軽んじられることも恐れました。町の宗教と金銭が、怒りの中で混ざり合っていたのです。
デメテリオの話は聖書のどこにありますか。
銀細工人デメテリオの話は使徒の働き19章23節から41節にあります。パウロのエペソでの長い滞在を締めくくる出来事で、すぐあとにパウロはマケドニアへ向かいます(使徒の働き20章1節)。