聖書の人物 オルパ

生涯、名前の意味、人生の教訓

要約

オルパは、さばきつかさの時代にモアブで、エリメレクとナオミの息子の一人に嫁いだモアブ人の女性です。夫に先立たれると、ナオミやルツとともにいったんユダへの道に出ます。ナオミに実家へ帰るよう強く勧められて泣き、姑に口づけして、自分の民と神々のもとへ帰りました。一方ルツはナオミに付き従います。聖書に彼女の名が出るのはルツ記1章だけです。

オルパという名前の意味

オルパという名は、うなじを意味するヘブル語に結びつけられるのが一般的で、背を向ける者という解釈もありますが、確かではありません。聖書はこの名前について何も説明していません。

オルパの時代背景

ルツ記は「さばきづかさが世を治めているころ」(ルツ記1章1節)、つまりイスラエルに王が立つ前の時代に始まります。一般には紀元前13世紀から11世紀の間とされますが、この物語について正確な年代は定められていません。ユダの国にききんが起こり、ベツレヘムのエリメレクが妻ナオミとふたりの男の子マロンとキリオンを連れ、モアブの地へ滞在しに行きます。モアブは死海の東にあるイスラエルの隣国で、そこの人々はイスラエルの神とは別の神々に仕えていました。一家はそこに住みつき、息子たちはモアブの女を妻に迎えます。オルパはそのひとりです。こうしてオルパは、ユダの故郷を離れて暮らす家族の一員となり、ナオミと十年ほどを共にし、やがて悲しみも分かち合います。聖書は短い数節で、喪失の連続を描きます。ナオミの夫が死に、続いてふたりの息子も死にます。この章で三人の女がやもめとなり、モアブへの道とユダへの道を前に立ちます。この背景から、オルパの選択が単なる感情の問題ではなく、若いやもめが自分の民、家族、将来を前にした決断であったことが分かります。

オルパの生涯

  1. ききんとモアブへの旅立ち

    ルツ記1章1〜2節

    さばきづかさが世を治めているころ、国にききんがありました。ベツレヘムのひとりの人が、妻とふたりの男の子を連れてユダを去り、モアブの地へ行って滞在します。聖書は彼らの名を記します。エリメレク、ナオミ、マロン、キリオン、ユダのベツレヘムのエフラタびとです。モアブに着いて、一家はそこにおりました。滞在のはずが定住になります。オルパはまだ登場しませんが、神がイスラエルに与えられた地の外にあるこの国で、この家族との物語が結ばれていきます。

  2. モアブでのふたつの結婚

    ルツ記1章3〜4節

    ナオミの夫エリメレクは死に、ナオミとふたりの男の子が残されます。ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えました。ひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといいます。彼らはそこに十年ほど住んでいました。聖書は、出会いのいきさつも、女たちの生家のことも語らず、どちらがどちらの息子の妻かも記さず、ただ、まずオルパの名を、次にルツの名を挙げます。十年ほどの間、オルパはユダから来た家族の生活を共にし、そのならわしや、ナオミが語るイスラエルの神への信仰にも触れていました。

  3. 三人のやもめ

    ルツ記1章5節

    マロンとキリオンのふたりもまた死にます。こうしてナオミは、ふたりの子と夫とに先だたれました。この一節は短いのに、悲しみの大きさを伝えます。オルパとルツも、今度はやもめになりました。三人のだれにも子がいたとは記されず、家に残る男もいません。聖書は、ここで彼女たちの涙を描かず、続けて起こる死の理由も説明しません。ただ状況を示します。モアブの地に取り残された三人の女が、それぞれ、どこへ行き、だれと暮らすのかを問われているのです。

  4. ユダへの出発

    ルツ記1章6〜7節

    ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞きます。そこで嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとしました。彼女は今いる所を出立し、ふたりの嫁を連れて、ユダの地へ帰る道に進みます。オルパも、まずナオミと共にその道を歩き出します。ナオミが出発したとき、オルパはモアブに残りませんでした。道に出たという事実は、義母への確かな愛着を示しています。

  5. ナオミの別れの言葉

    ルツ記1章8〜13節

    道の途中で、ナオミはふたりの嫁に言います。「あなたがたは、それぞれ自分の母の家に帰って行きなさい」。死んだ者たちとわたしに親切をつくしたように、主があなたがたにいつくしみを賜わり、それぞれ夫の家で身の落ち着き所を得させてくださるように、と祈ります。ナオミが口づけすると、ふたりは声をあげて泣き、あなたの民のところへ一緒に帰りますと言います。ナオミは重ねて言い聞かせます。夫となる子はもういない、わたしは年をとって夫をもてない、そして主の手がわたしに臨み、わたしを責められたことで、あなたがたのために非常に心を痛めている、と。

  6. オルパは口づけして帰る

    ルツ記1章14〜15節

    彼らはまた声をあげて泣きました。「そしてオルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった」。ナオミはルツに言います。「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」。聖書はオルパを責めず、その後のことも語りません。同じ道、同じ言葉、同じ涙を前にして、ふたつの決断が示されます。オルパの選択は愛情のこもった別れであり、ルツの選択は離れない結びつきでした。

  7. ルツの答えとベツレヘム到着

    ルツ記1章16〜22節

    ルツはナオミに言います。「あなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です」。ナオミは、ルツが固く決心しているのを見て、そのうえ言うのをやめます。ふたりは旅をつづけてベツレヘムに着き、町はこぞって騒ぎたちます。ナオミは、自分をマラ(苦しみ)と呼んでほしい、全能者がひどく苦しめられたからと言います。ふたりが着いたのは、大麦刈の初めのころでした。オルパとのこの対比は物語の続きを準備しますが、聖書はオルパをモアブに残したまま、何も裁いていません。

オルパの家族

義母
ナオミ ルツ記1章2節
義父
エリメレク ルツ記1章2節
相嫁(義理の姉妹)
ルツ ルツ記1章4節

オルパから学ぶこと

  • 真心からの涙や愛情だけでは足りません。神に従うには、人生全体を懸ける決断が必要です。
  • オルパとルツの対比は、自分が何に向かうのかを問いかけます。自分の民と神々か、イスラエルの神かです。
  • 神へ開かれた門は中途半端には通れません。ルツは付き従い、オルパは口づけして帰りました。
  • 聖書の記述を超えてオルパを裁いてはなりません。聖書は彼女の真実な愛情を示し、その後については何も語りません。
  • 神はルツのような一つの信仰の決断を通して働き、異邦人を御計画の中に迎え入れることができます。

鍵となる聖句

ルツ記1章8節

ナオミは嫁たちに母の家へ帰るよう言い、主が恵みを施されるよう祈ります。オルパも、亡き者たちとナオミに対する親切を認められています。

ルツ記1章14節

オルパは姑に口づけして別れ、ルツは姑にすがりつきました。同じ場面から二つの結末が生まれます。愛情ある別れと、離れない固い結びつきです。

ルツ記1章15節

ナオミは、ルツの相嫁が自分の民と神々のもとへ帰ったと言います。オルパの選択は家族の問題だけでなく、霊的な選択でもあることがこの節からわかります。

オルパについての説教

よくある質問

聖書のオルパとは誰ですか?

エリメレクの息子の一人に嫁いだモアブ人で、ナオミの嫁です。やもめとなってナオミとルツとともにユダへの旅に出ましたが、姑に口づけして自分の民と神々のもとへ帰りました(ルツ記1章4、14-15節)。聖書は彼女についてこれ以上語っていません。

オルパという名前の意味は何ですか?

名前の意味は確かではありません。うなじを意味するヘブル語に結びつけられ、背を向ける者という考えが生まれました。聖書はこの名前を説明せず、そこから教訓を引き出してもいません。物語そのものにとどまるのが慎重な読み方です。

オルパの物語は聖書のどこにありますか?

オルパが登場するのはルツ記の第1章だけです。1章4節で名が挙げられ、14節で姑に口づけします。その後15節で、ナオミが彼女は自分の民と神々のもとへ帰ったと語ります。

オルパの夫はだれでしたか。

聖書は直接には述べていません。ナオミのふたりの息子マロンとキリオンの名を挙げ、彼らがモアブの女を妻に迎えたこと、ひとりの名がオルパ、ひとりの名がルツであることを記します(ルツ記1章2〜4節)。のちにボアズは、マロンの妻であったモアブの女ルツを妻に迎えると宣言します(ルツ記4章10節)。突き合わせると、オルパはもうひとりの息子キリオンと結婚していたことになりますが、聖書がはっきり書いているわけではなく、この留保は守った方がよいでしょう。確かなのは、オルパがナオミの息子のひとりと結婚し、やがてやもめになり、最初は義母とともにユダへの道を歩いたことです。

オルパがモアブへ帰ったのは悪いことでしたか。

聖書はオルパを責めていません。それぞれ自分の母の家に帰るよう言い、死んだ者たちとわたしに親切をつくしたように主があなたがたにいつくしみを賜わるようにと祈ったのは、ナオミです(ルツ記1章8節)。ナオミは繰り返し言い聞かせ(11〜13節)、オルパは泣いて義母に口づけしたあとで従いました(14節)。つまり彼女の決断はナオミが願ったことに沿っています。物語が際立たせるのは、ナオミに結びつき、主を自分の神とするルツとの対比ですが、聖書はオルパを断罪していません。

なぜナオミは嫁たちを帰らせようとしたのですか。

ナオミは理由を挙げます。夫となる子はもう自分にはおらず、年をとって夫をもてない。たとえ望みがあっても、その子らが成長するまで待ってはいられないでしょう(ルツ記1章11〜13節)。さらに、あなたがたのために非常に心を痛めている、主の手がわたしに臨んだからだ、と加えます。ナオミは、母の家にいる方が嫁たちの将来は確かだと考えています。何かを捨てるよう求めたのではなく、自分が差し出せるものはほとんどないと率直に語っているのです。

「自分の民と自分の神々のもと」とは何を意味しますか。

ナオミはルツに、相嫁は「自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました」と言います(ルツ記1章15節)。この節は、オルパの帰還が家族や国への帰還だけでなく、宗教にもかかわるものであることを示しています。モアブにはイスラエルの神とは別の神々がありました。ルツの答えは対照をなします。「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です」(16節)。別れのあとのオルパの信仰については、聖書は何も述べていません。ナオミがこの分かれ道で、オルパの選択を自分の民の神々のもとへの帰還として語っていることが分かるだけです。

聖書はオルパとルツの違いをどう示していますか。

ふたりは同じ状況に置かれています。やもめで、ユダでは外国人で、ナオミの同じ言葉を聞いています。ふたりとも泣きます(ルツ記1章9、14節)。そして14節がふたりを分けます。「オルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった」。ルツは別れの挨拶にとどまらず、決意します。ナオミの行く所へ行き、宿る所に宿り、死ぬ所で死ぬと(16〜17節)。この違いが続きを準備します。ルツはボアズの畑で落ち穂を拾い、ダビデの先祖となります(4章17節)。オルパは物語から姿を消します。

オルパはナオミを愛していましたか。

愛情を示すしるしがいくつも記されています。オルパはナオミと共にモアブを出ました(ルツ記1章7節)。ナオミが口づけすると、ふたりは声をあげて泣き、一緒に帰りますと言います(9〜10節)。再び泣き、オルパは別れる前に義母に口づけします(14節)。ナオミ自身、死んだ者たちと自分に親切をつくしてくれたと認め、主がいつくしみを賜わるよう祈ります(8節)。聖書はオルパに愛がなかったとは述べていません。この物語は、誠実な愛情や涙だけでは、人生の全部をイスラエルの神に従う方へ向けるに足りないことがあると示しています。

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