聖書 — 口語訳 (1955)
ルツ記 1
概要
ルツ記1章は、さばきづかさが世を治めていたころに始まります。飢きんのため、エリメレクの一家はベツレヘムからモアブへ移りますが、夫と二人の息子が亡くなります。夫も子も失ったやもめのナオミは、主がその民を顧みられたと聞いて、故郷へ帰ることにします。オルパは自分の家へ戻りますが、モアブの女ルツはナオミと、ナオミの神にすがります。ベツレヘムに着いたナオミは、自分は苦しみに満たされていると語ります。章は悲しみで始まりますが、結びはすでに大麦刈りの始まり、つまり収穫を告げています。
この章の4つの区分
1さばきづかさが世を治めているころ、国に飢きんがあったので、ひとりの人がその妻とふたりの男の子を連れてユダのベツレヘムを去り、モアブの地へ行ってそこに滞在した。
2その人の名はエリメレク、妻の名はナオミ、ふたりの男の子の名はマロンとキリオンといい、ユダのベツレヘムのエフラタびとであった。彼らはモアブの地へ行って、そこにおったが、
3ナオミの夫エリメレクは死んで、ナオミとふたりの男の子が残された。
4ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。そのひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといった。彼らはそこに十年ほど住んでいたが、
5マロンとキリオンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子と夫とに先だたれた。
6その時、ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。
7そこで彼女は今いる所を出立し、ユダの地へ帰ろうと、ふたりの嫁を連れて道に進んだ。
8しかしナオミはふたりの嫁に言った、「あなたがたは、それぞれ自分の母の家に帰って行きなさい。あなたがたが、死んだふたりの子とわたしに親切をつくしたように、どうぞ、主があなたがたに、いつくしみを賜わりますよう。
9どうぞ、主があなたがたに夫を与え、夫の家で、それぞれ身の落ち着き所を得させられるように」。こう言って、ふたりの嫁に口づけしたので、彼らは声をあげて泣き、
10ナオミに言った、「いいえ、わたしたちは一緒にあなたの民のところへ帰ります」。
11しかしナオミは言った、「娘たちよ、帰って行きなさい。どうして、わたしと一緒に行こうというのですか。あなたがたの夫となる子がまだわたしの胎内にいると思うのですか。
12娘たちよ、帰って行きなさい。わたしは年をとっているので、夫をもつことはできません。たとい、わたしが今夜、夫をもち、また子を産む望みがあるとしても、
13そのためにあなたがたは、子どもの成長するまで待っているつもりなのですか。あなたがたは、そのために夫をもたずにいるつもりなのですか。娘たちよ、それはいけません。主の手がわたしに臨み、わたしを責められたことで、あなたがたのために、わたしは非常に心を痛めているのです」。
14彼らはまた声をあげて泣いた。そしてオルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった。
15そこでナオミは言った、「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」。
16しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。
17あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。
18ナオミはルツが自分と一緒に行こうと、固く決心しているのを見たので、そのうえ言うことをやめた。
19そしてふたりは旅をつづけて、ついにベツレヘムに着いた。彼らがベツレヘムに着いたとき、町はこぞって彼らのために騒ぎたち、女たちは言った、「これはナオミですか」。
20ナオミは彼らに言った、「わたしをナオミ(楽しみ)と呼ばずに、マラ(苦しみ)と呼んでください。なぜなら全能者がわたしをひどく苦しめられたからです。
21わたしは出て行くときは豊かでありましたが、主はわたしをから手で帰されました。主がわたしを悩まし、全能者がわたしに災をくだされたのに、どうしてわたしをナオミと呼ぶのですか」。
22こうしてナオミは、モアブの地から帰った嫁、モアブの女ルツと一緒に帰ってきて、大麦刈の初めにベツレヘムに着いた。
鍵となる聖句
しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。
外国人であるルツは、何の保証もないまま、「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です」と、ナオミとその民とその神に、死ぬまで身をささげると決めます。聖書の中でもっとも美しい忠誠の告白の一つです。
その時、ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。
ナオミが帰るのは、主がその民を顧みて食物を与えられたと聞いたからです。帰郷は、神の真実について耳にした言葉から始まります。
ナオミは彼らに言った、「わたしをナオミ(楽しみ)と呼ばずに、マラ(苦しみ)と呼んでください。なぜなら全能者がわたしをひどく苦しめられたからです。 わたしは出て行くときは豊かでありましたが、主はわたしをから手で帰されました。主がわたしを悩まし、全能者がわたしに災をくだされたのに、どうしてわたしをナオミと呼ぶのですか」。
ナオミは自分の痛みを声に出し、ついには自分を、苦しみという意味のマラと呼んでほしいと言います。聖書は彼女をとがめません。神に苦い思いを打ち明けても、神の民から離れずにいられることを示しています。
こうしてナオミは、モアブの地から帰った嫁、モアブの女ルツと一緒に帰ってきて、大麦刈の初めにベツレヘムに着いた。
最後の一文はさりげなく、二人の女が大麦刈りの始まりに着いたことを告げます。ナオミにはまだ見えなくても、物語は動き出そうとしています。
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
ルツ記1章についてよくある質問
ルツ記1章の中心メッセージは何ですか。
この章は、外国人ルツが、飢きん、移住、死別という試練のただ中で、しゅうとめナオミとその神に示した忠実さを描きます。また、神に苦い思いを打ち明けてよいことも示しています。大麦刈りの始まりにベツレヘムへ帰る場面は、すべてが失われたように見えても、神がなお働いておられることをうかがわせます。
ナオミはなぜマラと呼ばれたいのですか。
ナオミは「楽しみ」、マラは「苦しみ」という意味です。夫と二人の息子を亡くした彼女は、全能者が自分を苦しめたと感じ、から手で帰ってきたと言います。聖書は彼女を正さず、物語が別の方向へ進む前に、その苦しみをそのまま伝えています。
「あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神」とはどういう意味ですか。
帰るよう勧めるナオミに、ルツが答えた言葉です。彼女は自分の民と土地と神々を離れ、ナオミとイスラエルの神にすがります。結婚式でよく引かれますが、本来は結婚の契約ではなく、忠誠と信仰の決意です。
ルツ記 1を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。