要約
エリはシロの祭司で、さばきつかさの時代、紀元前二千年紀の終わり近くにハンナを迎えてその祈りを祝福し、少年サムエルを育てました。四十年間イスラエルをさばきましたが、主へのささげ物を軽んじた息子のホフニとピネハスを止めませんでした。神の声に敏感で柔和な人でありながら、子らへの弱さが大きな代償を招いた人物として記憶されます。
エリという名前の意味
エリという名は、ヘブル語で「高い」や「上げられた」を意味する語に結びつけられるのが一般的です。聖書にはこの名前の説明がないため、正確な意味は確かではありません。
エリの生涯
シロの祭司
サムエル記上1章3-9節エリはシロの祭司で、エルカナは毎年そこへ上って万軍の主を礼拝しました。息子のホフニとピネハスも祭司として仕えていました。エリが神殿の柱のそばの座にいるとき、子のないハンナが、ペニンナに悩まされて主の前で泣いていました。
ハンナの祈りを祝福する
サムエル記上1章12-20節エリはハンナのくちびるが動くのに声が聞こえないのを見て、酔っていると思い、彼女をとがめます。ハンナが主の前に心を注ぎ出していたと答えると、エリは態度を改めて祝福しました。ハンナは男の子を産んでサムエルと名づけ、誓いどおり主にささげました。
ささげ物を軽んじる子ら
サムエル記上2章12-17、22-29節エリの子らは犠牲の分け前を力ずくで取り、主の前に大きな罪を犯しました。年老いたエリは戒めますが、聞き入れません。神の人はエリが主よりも子らを重んじていると責め、祭司としての家系が断たれることを告げました。
夜に呼ばれるサムエル
サムエル記上3章1-18節主の言葉はまれな時代でした。サムエルは三度名を呼ばれ、そのたびにエリのもとへ走ります。三度目にエリは主が呼んでおられると悟り、答え方を教えました。翌朝、エリは厳しい内容でも隠さず話すよう求め、へりくだって受け入れました。
エリの最期
サムエル記上4章10-18節イスラエルはペリシテ人に敗れ、神の箱は奪われ、ホフニとピネハスは死にます。九十八歳で目の見えないエリは道のそばで知らせを待ちました。箱が奪われたと聞くと座から落ちて首を折り、亡くなりました。四十年間イスラエルをさばいた人でした。
エリから学ぶこと
- 痛みの中でささげた祈りは、たとえ人に誤解されても、神に聞かれます。
- エリがハンナに対してそうしたように、早合点を改められることは、霊的な成熟のしるしです。
- 神を敬うことは、自分の子どもを含め、愛する人をかばいたい気持ちよりも先にあります。
- 神は不完全なしもべをも用いて、ほかの人に主の声を聞く姿勢を教えられます。
- 神からの厳しい言葉を避けるより、へりくだって受け止めるほうが幸いです。
鍵となる聖句
エリはハンナに「安心して行きなさい。どうかイスラエルの神があなたの求める願いを聞きとどけられるように」と言います。厳しかった祭司が、悩む女性の祈りに寄り添うとりなし手となりました。
主はエリの家に「わたしを尊ぶ者を、わたしは尊び、わたしを卑しめる者は、軽んぜられるであろう」と告げます。この原則が、エリの子らへのさばきと、エリ自身への警告を説明しています。
エリはサムエルに「もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」と教えます。限界はあっても、少年を主の声へと導きました。
告げられたさばきに対し、エリは「それは主である。どうぞ主が、良いと思うことを行われるように」と言います。自分の家の没落を聞いたその時にも、神への本当の従順を示した言葉です。
よくある質問
なぜエリの家はさばかれたのですか。
子のホフニとピネハスが主へのささげ物を軽んじ、祭司の務めを悪用したためです。エリは戒めましたが、止めることはできませんでした。神はエリが主よりも子らを重んじていると責め(サムエル記上2章29節)、祭司の家系が断たれると告げました。
エリという名前の意味は何ですか。
ヘブル語で「高い」や「上げられた」を意味する語に結びつけられるのが一般的です。聖書にはこの名の説明がないため、意味は推測にとどまります。十字架上のイエスの叫び「エリ、エリ」(わが神)とは別のものとして区別する必要があります。
エリの物語は聖書のどこにありますか。
サムエル記上の最初の四つの章にあります。1章はハンナとの出会い、2章は子らの罪、3章はサムエルの召命、4章はシロでのエリの最期を記しています。