聖書 — 口語訳 (1955)

サムエル記上 9

概要

サムエル記第一9章で、ベニヤミン人の凛々しい青年サウルは、父の迷った雌ろばを捜しに出ます。何日も捜したあと、しもべは隣町の神の人に尋ねてみようと提案します。ところが前日、神は預言者サムエルに、民の君主として油を注ぐべき人を遣わすと告げておられました。サムエルはサウルを食事に迎え、そこには彼のために取り分けられた肉がありました。この章は、神が日常の出来事を導いて、ご自分の計画を成し遂げられることを示しています。

この章の5つの区分

  1. 1-10節サウルとしもべが、迷った雌ろばを捜す
  2. 11-14節町へ向かう:サムエルとの出会いは近い
  3. 15-17節神はサムエルに告げておられた:この人が治める
  4. 18-24節サムエルは食事にサウルを迎え、肉を取り分けさせる
  5. 25-27節屋上での語らい、そして夜明けの出発

1さて、ベニヤミンの人で、キシという名の裕福な人があった。キシはアビエルの子、アビエルはゼロルの子、ゼロルはベコラテの子、ベコラテはアピヤの子、アピヤはベニヤミンびとである。

2キシにはサウルという名の子があった。若くて麗しく、イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はなく、民のだれよりも肩から上、背が高かった。

3サウルの父キシの数頭のろばがいなくなった。そこでキシは、その子サウルに言った、「しもべをひとり連れて、立って行き、ろばを捜してきなさい」。

4そこでふたりはエフライムの山地を通りすぎ、シャリシャの地を通り過ぎたけれども見当らず、シャリムの地を通り過ぎたけれどもおらず、ベニヤミンの地を通り過ぎたけれども見当らなかった。

5彼らがツフの地にきた時、サウルは連れてきたしもべに言った、「さあ、帰ろう。父は、ろばのことよりも、われわれのことを心配するだろう」。

6ところが、しもべは言った、「この町には神の人がおられます。尊い人で、その言われることはみなそのとおりになります。その所へ行きましょう。われわれの出てきた旅のことについて何か示されるでしょう」。

7サウルはしもべに言った、「しかし行くのであれば、その人に何を贈ろうか。袋のパンはもはや、なくなり、神の人に持っていく贈り物がない。何かありますか」。

8しもべは、またサウルに答えた、「わたしの手に四分の一シケルの銀があります。わたしはこれを、神の人に与えて、われわれの道を示してもらいましょう」。

9――昔イスラエルでは、神に問うために行く時には、こう言った、「さあ、われわれは先見者のところへ行こう」。今の預言者は、昔は先見者といわれていたのである。――

10サウルはそのしもべに言った、「それは良い。さあ、行こう」。こうして彼らは、神の人のいるその町へ行った。

11彼らは町へ行く坂を上っている時、水をくむために出てくるおとめたちに出会ったので、彼らに言った、「先見者はここにおられますか」。

12おとめたちは答えた、「おられます。ごらんなさい、この先です。急いで行きなさい。民がきょう高き所で犠牲をささげるので、たった今、町にこられたところです。

13あなたがたは、町にはいるとすぐ、あのかたが高き所に上って食事される前に会えるでしょう。民はそのかたがこられるまでは食事をしません。あのかたが犠牲を祝福されてから、招かれた人々が食事をするのです。さあ、上っていきなさい。すぐに会えるでしょう」。

14こうして彼らは町に上っていった。そして町の中に、はいろうとした時、サムエルは高き所に上るため彼らのほうに向かって出てきた。

15さてサウルが来る一日前に、主はサムエルの耳に告げて言われた、

16「あすの今ごろ、あなたの所に、ベニヤミンの地から、ひとりの人をつかわすであろう。あなたはその人に油を注いで、わたしの民イスラエルの君としなさい。彼はわたしの民をペリシテびとの手から救い出すであろう。わたしの民の叫びがわたしに届き、わたしがその悩みを顧みるからである」。

17サムエルがサウルを見た時、主は言われた、「見よ、わたしの言ったのはこの人である。この人がわたしの民を治めるであろう」。

18そのときサウルは、門の中でサムエルに近づいて言った、「先見者の家はどこですか。どうか教えてください」。

19サムエルはサウルに答えた、「わたしがその先見者です。わたしの前に行って、高き所に上りなさい。あなたがたは、きょう、わたしと一緒に食事しなさい。わたしはあすの朝あなたを帰らせ、あなたの心にあることをみな示しましょう。

20三日前に、いなくなったあなたのろばは、もはや見つかったので心にかけなくてもよろしい。しかしイスラエルのすべての望ましきものはだれのものですか。それはあなたのもの、あなたの父の家のすべての人のものではありませんか」。

21サウルは答えた、「わたしはイスラエルのうちの最も小さい部族のベニヤミンびとであって、わたしの一族はまたベニヤミンのどの一族よりも卑しいものではありませんか。どうしてあなたは、そのようなことをわたしに言われるのですか」。

22サムエルはサウルとそのしもべを導いて、へやにはいり、招かれた三十人ほどのうちの上座にすわらせた。

23そしてサムエルは料理人に言った、「あなたに渡して、取りのけておくようにと言っておいた分を持ってきなさい」。

24料理人は、ももとその上の部分を取り上げて、それをサウルの前に置いた。そしてサムエルは言った、「ごらんなさい。取っておいた物が、あなたの前に置かれています。召しあがってください。あなたが客人たちと一緒に食事ができるように、この時まで、あなたのために取っておいたものです」。こうしてサウルはその日サムエルと一緒に食事をした。

25そして彼らが高き所を下って町にはいった時、サウルのために屋上に床が設けられ、彼はその上に身を横たえて寝た。

26そして夜明けになって、サムエルは屋上のサウルに呼ばわって言った、「起きなさい。あなたをお送りします」。サウルは起き上がった。そしてサウルとサムエルのふたりは、共に外に出た。

27彼らが町はずれに下った時、サムエルはサウルに言った、「あなたのしもべに先に行くように言いなさい。しもべが先に行ったら、あなたは、しばらくここに立ちとどまってください。神の言葉を知らせましょう」。

鍵となる聖句

2節
キシにはサウルという名の子があった。若くて麗しく、イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はなく、民のだれよりも肩から上、背が高かった。

サウルは、その容姿で描かれます。美しく、だれよりも背が高い。人間の基準で見れば王にふさわしい人です。説教者たちは、神が心を見られるダビデと彼を比べます。

6節
ところが、しもべは言った、「この町には神の人がおられます。尊い人で、その言われることはみなそのとおりになります。その所へ行きましょう。われわれの出てきた旅のことについて何か示されるでしょう」。

しもべは、神の人に尋ねてみようと提案します。よい考えであり、賢い助言でした。ときには、そばにいる人が、私たちを正しい道へ導いてくれるのです。

16節
「あすの今ごろ、あなたの所に、ベニヤミンの地から、ひとりの人をつかわすであろう。あなたはその人に油を注いで、わたしの民イスラエルの君としなさい。彼はわたしの民をペリシテびとの手から救い出すであろう。わたしの民の叫びがわたしに届き、わたしがその悩みを顧みるからである」。

神はご自分の計画を説明されます。ご自分の民を救う人を遣わす。民を顧み、その叫びを聞かれたからです。王の選びは、イスラエルの苦しみに応えるものでした。

24節
料理人は、ももとその上の部分を取り上げて、それをサウルの前に置いた。そしてサムエルは言った、「ごらんなさい。取っておいた物が、あなたの前に置かれています。召しあがってください。あなたが客人たちと一緒に食事ができるように、この時まで、あなたのために取っておいたものです」。こうしてサウルはその日サムエルと一緒に食事をした。

サウルは、自分のために取っておかれた肉を受けます。この細部は、サウルが来るはるか前から、神がすべてを備えておられたことを示しています。

この章に登場する人物

説教が語っていること

サムエル記上9章についてよくある質問

サムエル記第一9章の中心的なメッセージは何ですか

神は、迷った雌ろばを捜すような日常の出来事を導いて、ご自分の計画を成し遂げられます。サウルが来ることをサムエルに知らせ、食事の肉まで備えておられました。道に迷っているように感じるときも、神は舞台裏で働いておられると信じるよう、この章は招いています。

なぜサウルは王に選ばれたのですか

イスラエルはほかの国々のような王を求め、神は若く美しく、だれよりも背の高いサウルを与えられました。9章は、サウルが最良の選択だとは述べず、神が指名された人だと述べます。その後の物語は、外見では足りないこと、ダビデは心によって選ばれることを示します。

サムエル記第一9章の先見者とはどういう意味ですか

聖書は、著者の注として、今で言う預言者を、かつては先見者と呼んでいたと説明します。先見者は、神からのことばや幻を受けて、それを伝えます。サムエルはここで、先見者であり預言者でもあり、サウルに君主として油を注ぐ人です。

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