聖書 — 口語訳 (1955)

列王紀上 3

概要

列王紀上3章は、ソロモンの治世の始まりを語ります。主を愛する若い王は、犠牲をささげるためにギベオンへ行きます。神は夢に現れ、何でも求めなさいと言われます。経験の乏しさを自覚するソロモンは、民を治め、善悪をわきまえるために、聞きわける心を求めます。神はこの願いを喜ばれ、求めなかったものまで加えてくださいます。章は、ひとりの子を争う二人の女のさばきで終わり、ソロモンの知恵はイスラエルの全体に知られます。

この章の4つの区分

  1. 1-4節主を愛する王ソロモン、ギベオンにて
  2. 5-9節夢:何を求めなさいと言われ、知恵ある心を求める祈り
  3. 10-15節神の答え:知恵、そしてソロモンが求めなかったもの
  4. 16-28節二人の女へのさばきと、すべての人に認められた知恵

1ソロモン王はエジプトの王パロと縁を結び、パロの娘をめとってダビデの町に連れてきて、自分の家と、主の宮と、エルサレムの周囲の城壁を建て終るまでそこにおらせた。

2そのころまで主の名のために建てた宮がなかったので、民は高き所で犠牲をささげていた。

3ソロモンは主を愛し、父ダビデの定めに歩んだが、ただ彼は高き所で犠牲をささげ、香をたいた。

4ある日、王はギベオンへ行って、そこで犠牲をささげようとした。それが主要な高き所であったからである。ソロモンは一千の燔祭をその祭壇にささげた。

5ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。

6ソロモンは言った、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、この大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。

7わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。

8かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。

9それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。

10ソロモンはこの事を求めたので、そのことが主のみこころにかなった。

11そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、

12見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。

13わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう。

14もしあなたが、あなたの父ダビデの歩んだように、わたしの道に歩んで、わたしの定めと命令とを守るならば、わたしはあなたの日を長くするであろう」。

15ソロモンが目をさましてみると、それは夢であった。そこで彼はエルサレムへ行き、主の契約の箱の前に立って燔祭と酬恩祭をささげ、すべての家来のために祝宴を設けた。

16さて、ふたりの遊女が王のところにきて、王の前に立った。

17ひとりの女は言った、「ああ、わが主よ、この女とわたしとはひとつの家に住んでいますが、わたしはこの女と一緒に家にいる時、子を産みました。

18ところがわたしの産んだ後、三日目にこの女もまた子を産みました。そしてわたしたちは一緒にいましたが、家にはほかにだれもわたしたちと共にいた者はなく、ただわたしたちふたりだけでした。

19ところがこの女は自分の子の上に伏したので、夜のうちにその子は死にました。

20彼女は夜中に起きて、はしための眠っている間に、わたしの子をわたしのかたわらから取って、自分のふところに寝かせ、自分の死んだ子をわたしのふところに寝かせました。

21わたしは朝、子に乳を飲ませようとして起きて見ると死んでいました。しかし朝になってよく見ると、それはわたしが産んだ子ではありませんでした」。

22ほかの女は言った、「いいえ、生きているのがわたしの子です。死んだのはあなたの子です」。初めの女は言った、「いいえ、死んだのがあなたの子です。生きているのはわたしの子です」。彼らはこのように王の前に言い合った。

23この時、王は言った、「ひとりは『この生きているのがわたしの子で、死んだのがあなたの子だ』と言い、またひとりは『いいえ、死んだのがあなたの子で、生きているのはわたしの子だ』と言う」。

24そこで王は「刀を持ってきなさい」と言ったので、刀を王の前に持ってきた。

25王は言った、「生きている子を二つに分けて、半分をこちらに、半分をあちらに与えよ」。

26すると生きている子の母である女は、その子のために心がやけるようになって、王に言った、「ああ、わが主よ、生きている子を彼女に与えてください。決してそれを殺さないでください」。しかしほかのひとりは言った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、分けてください」。

27すると王は答えて言った、「生きている子を初めの女に与えよ。決して殺してはならない。彼女はその母なのだ」。

28イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。

鍵となる聖句

5節
ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。

神が主導権を取り、ソロモンに自由な問いを投げかけます。彼が何を求めるかは、本当に何を愛しているかを明らかにします。この聖句は心の試しです。

7節
わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。

ソロモンは自分を、経験の乏しい若者として示します。祈りの謙遜は、受ける知恵に先立ちます。求める前に、自分が神に頼る者であることを認めているのです。

9節
それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。

ソロモンは、民をさばき、善悪をわきまえるために、聞きわける心を求めます。彼が求める知恵は、自分のためである前に、他の人のためのものです。

13節
わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう。

神は、ソロモンが求めなかったもの、富と誉を加えられます。この聖句は、神が願いを超えて答えてくださること、しかし富を祈りの目的にはしていないことを示します。

28節
イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。

二人の女のさばきは、知恵が具体的な決断に表れることを示します。イスラエルの全体が、王のうちに神の知恵を認めます。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

列王紀上3章についてよくある質問

ソロモンは列王紀上3章で神に何を求めましたか

ソロモンは、神の民を治め、善悪をわきまえるための聞きわける心を求めます。富も長寿も、敵の命も求めません。神はこの願いを喜ばれ、賢い、英明な心を与え、さらに、求めなかったものも加えてくださいます。

ソロモンのさばきとはどんな出来事ですか

二人の女が生きている子を争います。ソロモンは子を二つに分けるよう命じます。本当の母は、子が生きるために手放すことを望み、もうひとりはそれを受け入れます。ソロモンは母がだれかを悟ります。イスラエルの全体は、王のうちに神の知恵を認めます。

ソロモンのように祈れば、神はだれにでも富を約束されますか

いいえ。本文は、特定の状況で神がソロモンになさったことを語っており、約束は神の道への忠実さにかかっていると付け加えています。中心となる教えは、知恵と謙遜を求める祈りであり、すべての信者が見習えるものですが、富の保証ではありません。

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