聖書 — 口語訳 (1955)
詩篇 10
概要
詩篇10篇は、多くの人が抱く問いを投げかけます。悪しき者が栄えているとき、なぜ神は不在のように思えるのでしょうか。詩人は、神は何もなさらないと考える者の高ぶり、暴力、傲慢を描きます。そして神に、立ちあがって、苦しむ者を忘れないでほしいと叫びます。詩篇は確信で結ばれます。主はとこしえに王であり、苦しむ者の願いを聞き、その心を強くし、みなしごとしえたげられる者のためにさばきを行われるのです。
この章の4つの区分
1主よ、なにゆえ遠く離れて 立たれるのですか。なにゆえ悩みの時に身を隠されるのですか。
2悪しき者は高ぶって貧しい者を激しく責めます。どうぞ彼らがその企てたはかりごとに みずから捕えられますように。
3悪しき者は自分の心の願いを誇り、むさぼる者は主をのろい、かつ捨てる。
4悪しき者は誇り顔をして、神を求めない。その思いに、すべて「神はない」という。
5彼の道は常に栄え、あなたのさばきは彼を離れて高く、彼はそのすべてのあだを口先で吹く。
6彼は心の内に言う、「わたしは動かされることはなく、世々わざわいにあうことがない」と。
7その口はのろいと、欺きと、しえたげとに満ち、その舌の下には害毒と不正とがある。
8彼は村里の隠れ場におり、忍びやかな所で罪のない者を殺す。その目は寄るべなき者をうかがい、
9隠れ場にひそむししのように、ひそかに待ち伏せする。彼は貧しい者を捕えようと待ち伏せし、貧しい者を網にひきいれて捕える。
10寄るべなき者は彼の力によって 打ちくじかれ、衰え、倒れる。
11彼は心のうちに言う、「神は忘れた、神はその顔を隠した、神は絶えて見ることはなかろう」と。
12主よ、立ちあがってください。神よ、み手をあげてください。苦しむ者を忘れないでください。
13なにゆえ、悪しき者は神を侮り、心のうちに「あなたはとがめることをしない」と言うのですか。
14あなたはみそなわし、悩みと苦しみとを見て、それをみ手に取られます。寄るべなき者はあなたに身をゆだねるのです。あなたはいつもみなしごを助けられました。
15悪しき者と悪を行う者の腕を折り、その悪を一つも残さないまでに探り出してください。
16主はとこしえに王でいらせられる。もろもろの国民は滅びて 主の国から跡を断つでしょう。
17主よ、あなたは柔和な者の願いを聞き、その心を強くし、耳を傾けて、
18みなしごと、しえたげられる者とのために さばきを行われます。地に属する人は再び人を脅かすことはないでしょう。
鍵となる聖句
主よ、なにゆえ遠く離れて 立たれるのですか。なにゆえ悩みの時に身を隠されるのですか。
詩篇は率直な嘆きで始まります。神が遠く、隠れておられるように見えるのは、まさに神を必要とするときです。聖書は、この問いを神に向けて問うことを許しています。
悪しき者は誇り顔をして、神を求めない。その思いに、すべて「神はない」という。
悪しき者は、神がいないかのように、あるいは罰を下さないかのように生きています。神が悪に関心がないという考えが、彼の自信を育てています。
あなたはみそなわし、悩みと苦しみとを見て、それをみ手に取られます。寄るべなき者はあなたに身をゆだねるのです。あなたはいつもみなしごを助けられました。
神がいないという印象に反して、この節は、神が悩みと苦しみを見ておられ、寄るべなき者とみなしごの訴えを御手に取られると告げます。
主よ、あなたは柔和な者の願いを聞き、その心を強くし、耳を傾けて、 みなしごと、しえたげられる者とのために さばきを行われます。地に属する人は再び人を脅かすことはないでしょう。
詩篇は確信で終わります。神は聞き、苦しむ者の心を強くし、さばきを行われます。祈りが、嘆きを信頼に変えるのです。
詩篇10篇についてよくある質問
詩篇10篇はどんな意味ですか
悪が栄えるのを見て、神はどこにおられるのかと問う人の祈りです。詩篇は悪しき者を正確に描いたのち、神に介入を願います。そして、神は見ておられ、聞いておられ、しえたげられる者のためにさばきを行われるという確信で結ばれます。信仰を保ちながら、正直に嘆きを言い表すことを教えています。
詩篇10篇はだれが書きましたか
前後の詩篇と違って、この詩篇には表題がありません。古いギリシア語訳や一部の写本では、詩篇9篇と一つの作品になっており、伝統的にはダビデに結びつけられます。二つの詩篇は部分的なアルファベット詩の構造でつながっていますが、専門家の意見は分かれています。
神が沈黙しておられるように思えるとき、詩篇10篇をどう祈ればよいですか
まず全体を読み、次に1節に戻って、あなたが感じていることを飾らずに神に告げましょう。あなたに迫る不正をひとつ挙げ、12節のことばで、神が立ちあがってくださるよう祈ります。最後に17節と18節で、すぐに答えがなくても、神は聞いておられると信じる選びをして結びます。
詩篇 10を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。