聖書の人物 ニムロデ

生涯、名前の意味、人生の教訓

要約

ニムロデはクシュの子でハムの孫、創世記の諸民族の表によればノアの子孫です。聖書は、彼が地上で最初の権力ある者となり、主の前に力ある猟師であったと記します。彼の王国の初めは、シンアルの地のバベル、エレク、アカデ、カルネでした。本文が語ることは少なく、それ以上に伝えられていることは、聖書が裏付けない伝承です。

ニムロデという名前の意味

ニムロデという名は、反逆するという意味のヘブル語の動詞に結びつけられることがありますが、その由来は確かではありません。聖書はこの名の由来を説明していません。クシュの子として紹介されているだけです(創世記10章8節)。

ニムロデの時代背景

ニムロデは創世記10章の諸国民の表に登場します。この表は、洪水のあとのノアの三人の子セム、ハム、ヤペテの子孫を並べ、地上に広がった国々がこの家系から出たと述べます(創世記10章32節)。ニムロデはハムの系統で、クシの子です。年代は記されず、物語はアブラハムの話(創世記12章〜)より前に置かれます。彼の国はシナルの地、のちに人々がバベルと塔を築いた平野にありました(創世記11章2〜4節)。ダニエル書は、バビロンの王ネブカデネザルの国をシナルの地と呼びます(ダニエル書1章1〜2節)。ニムロデの町はバベル、エレク、アカデ、カルネでした。さらにこの地の流れから、ニネベやカラなどの町が築かれたと語られます。数節で聖書は、ニムロデを、のちのイスラエルの歴史に現れるメソポタミアの二大王国、アッスリヤとバビロンに結びつけます。ただしこれらの節は、彼自身についてはごくわずかしか語らず、その国について多くを語ります。

ニムロデの生涯

  1. 洪水のあとのノアの子ら

    創世記9章18〜19節、10章1〜5節

    洪水のあと、箱舟から出たノアの子はセム、ハム、ヤペテで、その子孫が全地に広がりました(創世記9章18〜19節)。10章はそれぞれの子孫を、家系、言語、土地に従って国ごとに並べます。ヤペテの子はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラス。ハムの子はクシ、ミツライム、プテ、カナン。セムの子孫にはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムがいます。ニムロデはこの表のハムの側に現れ、独立した物語はなく、系図の中に置かれています。

  2. クシとその子ら

    創世記10章6〜8節、歴代志上1章8〜10節

    ハムの子クシから、セバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカが生まれ、ラアマの子がシバとデダンです。続いて本文は、クシがニムロデも生んだと述べ、彼に目を留めます。歴代志上も同じ系統を引き、クシがニムロデを生み、彼が地上で力ある者となり始めたと記します(歴代志上1章10節)。クシとの関係はニムロデがハムの家系の出であることを示しますが、誕生や教育、身近な家族について聖書は何も語らず、妻も子も挙げません。

  3. 地上で力ある者となり始めた

    創世記10章8〜9節

    創世記は、ニムロデが地上で力ある者となり始めたと言います。彼は主の前に力ある狩猟者で、そこから、主の前に力ある狩猟者ニムロデのようだという言い習わしが生まれました。力あるという言葉は、しばしば戦士を指します。聖書は彼の功績の詳細を語らず、狩猟者が獣の狩人なのか、戦いや人々の狩人なのかも説明しません。主の前にという表現が何を意味するかも述べず、非難や称賛をそこに読み込むのは正直とは言えません。

  4. シナルの地の王国

    創世記10章10節

    ニムロデの国は初め、シナルの地にあるバベル、エレク、アカデ、カルネでした。バベルは塔の物語に出てくる町の名です(創世記11章9節)。ほかの三つの町は説明されません。シナルは、人々が東から来て住みついた平野を指します(創世記11章2節)。聖書は、ニムロデがどれだけの間治めたか、どのように権力を得たか、その力をこれらの町で何に用いたかを語りません。場所の名を挙げるだけで、この四つの名がメソポタミアに彼の治世を位置づけています。

  5. その地からアッスリヤへ

    創世記10章11〜12節

    本文は続けて、その地からニネベ、レホボテ・イリ、カラ、そしてニネベとカラの間にある大きな町レセンが築かれたと述べます。訳によって読みが分かれます。口語訳は、ニムロデがその地からアッスリヤに出てこれらを建てたと訳しますが、セムの子アシュル(創世記10章22節)がシナルの地を出て建てたと読む訳もあります。どちらにしても、聖書はニネベの地域をシナルの地に結びつけます。この結びつきは、のちに預言者ミカがアッスリヤとニムロデの地を並べることにつながります。本文はこれ以上展開しません。

  6. シナルの地のバベル

    創世記11章1〜9節

    創世記はこの先で、全地が一つの言葉だったと語ります。人々は東から移動してシナルの地の平野を見つけて住み、れんがを作り、頂が天に届く町と塔を築いて名を上げ、散らされないようにしようとしました。主は降りて彼らの言葉を乱し、彼らを全地に散らされ、町はバベルと呼ばれます。この物語はニムロデの国と同じ場所で起こりますが、ニムロデの名は一度も出ません。したがって、ニムロデが塔を建てたとは言えず、その結びつけは後代の伝承によるものです。

  7. ミカ書のニムロデの地

    ミカ書5章2〜6節

    預言者ミカは、ベツレヘム・エフラタから治める者が出ると告げ、アッスリヤびとが国に来る時のことに触れます。その時イスラエルは七人の牧者、八人の君を起こし、彼らはつるぎをもってアッスリヤの地とニムロデの地を治めます(ミカ書5章5〜6節)。預言者はアッスリヤとニムロデの地を並べ、同じ地域の二つの呼び名として用いています。創世記からずっとのち、ニムロデの名はメソポタミアの地に結びついたままです。預言者がニムロデに言及するのはここだけで、その人物については何も語りません。

ニムロデの家族

祖父
ハム 創世記10章6節
曽祖父
ノア 創世記10章1節
兄弟
セバ 創世記10章7節
兄弟
ハビラ 創世記10章7節
兄弟
サブタ 創世記10章7節
兄弟
ラアマ 創世記10章7節
兄弟
サブテカ 創世記10章7節
おじ
ミツライム 創世記10章6節
おじ
プテ 創世記10章6節
おじ
カナン 創世記10章6節

ニムロデから学ぶこと

  • 聖書はニムロデの力を認めながら、その物語を広げていません。聖書が語らないことを付け加えないよう気をつけるべきです。
  • 主の前にという表現は、人が功績ばかりを語っても、神が権力者とその王国を見ておられることを思い出させます。
  • すべての民族はノアの子らから出ています(創世記10章32節)。神のまなざしと計画から逃れる民はありません。
  • 人の大きな力はそれ自体では続きません。ニムロデの王国もバベルのように、聖書の中の名となりました。

鍵となる聖句

創世記10章8-9節

ニムロデは、地上で最初の権力ある者、主の前に力ある猟師と紹介されます。聖書が彼について与える最も詳しい姿です。

創世記10章10節

彼の治世の始まりは、シンアルの地のバベル、エレク、アカデ、カルネにありました。聖書は、どれだけ治めたか、そこで何をしたかを述べていません。

ミカ書5章6節

預言者はアッシリヤの地をニムロデの地とも呼びます。彼の名が、その後も長くこの地域と結びついていたことを示唆します。

よくある質問

聖書のニムロデとは誰ですか。

ニムロデはクシュの子でハムの孫、つまりノアの子孫です。聖書は、彼が地上で権力ある者となり始め、主の前に力ある猟師であり、シンアルの地のバベル、エレク、アカデ、カルネを治めたと記しています。

ニムロデはバベルの塔を建てたのですか。

聖書はそう述べていません。創世記10章10節はバベルを彼の王国の町に数え、塔の物語も同じシンアルの地で起こります(創世記11章1-9節)。しかし本文はニムロデを建設者と名指ししていません。それは後世の伝承であり、聖書の主張ではありません。

ニムロデの物語は聖書のどこにありますか。

ニムロデはノアの子孫の表である創世記10章8-12節に登場し、歴代誌第一1章10節にも再び記されています。預言者ミカもミカ書5章6節でニムロデの地に触れます。彼に言及するのはこれらの箇所だけです。

主の前に力ある狩猟者とはどういう意味ですか。

聖書は説明しません。力あるという語は他の箇所で力ある者、戦士に、狩猟者という語は狩りに使われています。主の前にという表現は、ニムロデが神の目に偉大な狩猟者だったとも、神の見ておられる中でそうだったとも取れ、裁きを含むかどうかは分かりません。本文は、これが言い習わしになったと加えます(創世記10章9節)。彼がその力で知られていたことが分かります。それ以上は書かれていません。ニムロデを暴君とみなす解説も、敬虔な英雄とみなす解説も、本文を超えていますので、事実でなく解釈として示すのがよいでしょう。

ニムロデは神に反逆した人でしたか。

聖書はそうは言いません。彼の名を反逆するという意味のヘブライ語の動詞に結びつける人もいますが、語源は不確かで、本文もその関連を示していません。神との関係についての唯一の手がかりは、主の前にという表現(創世記10章9節)で、これはいくつかの意味に取れます。彼の国はバベルから始まり(10章10節)、バベルは人々が名を上げようとして散らされた場所ですが(11章4〜9節)、その物語にニムロデの名は出ません。ニムロデが神に反逆したというのは、事柄を結びつけて引き出された結論であり、聖書の主張ではありません。確かなのは、本文が彼に力と町と王国を帰していることです。

ニムロデ、バビロン、アッスリヤの関係は何ですか。

創世記10章10節は、ニムロデの国の始まりをシナルの地のバベル、エレク、アカデ、カルネとします。バベルとバビロンは同じ名で、ダニエル書はバビロンの王ネブカデネザルの国をシナルの地と呼びます(ダニエル書1章1〜2節)。次の節はこの地をアッスリヤに結びつけ、ニネベなどの町が築かれたと語ります(創世記10章11〜12節)。ミカ書はアッスリヤの地とニムロデの地を同じ地域の呼び名として並べます(ミカ書5章6節)。こうして聖書はニムロデをメソポタミアに、すなわち後にイスラエルを脅かした二つの王国、アッスリヤとバビロンに結びつけます。ただしニムロデがその地で何をしたかは語りません。

シナルの地はどこにありましたか。

創世記は、人々が東から来てシナルの地に平野を見つけたと語り(創世記11章2節)、バベルがそこにあったとします(10章10節)。ダニエル書もそれを裏づけます。バビロンの王ネブカデネザルは神の宮の器をシナルの地に持ち帰り、自分の神の宝物倉に納めました(ダニエル書1章1〜2節)。したがってシナルの地は、メソポタミアのバビロンの地域にあたります。創世記はアブラハムの時代にシナルの王アムラペルにも触れており(創世記14章1節)、この名がニムロデのずっとあとにも、王を持つ国を指していたことが分かります。聖書は正確な境界を示さないので、これらの目印にとどめます。

ニムロデは聖書で最初の王でしたか。

本文はそうは言っていません。ニムロデが地上で力ある者となり始めたこと(創世記10章8節)、まず四つの町を治めたこと(10章10節)が述べられます。この時点の書の中では最初に記される治世ですが、聖書は彼を人類最初の王とは呼ばず、彼以前に王がいなかったとも言いません。のちに創世記は、アブラハムの時代のシナルの王アムラペルなど、ほかの王にも触れます(創世記14章1節)。聖書はニムロデを、バベルから治世が始まる力ある人として示し、それ以上の称号は与えていないと言うのがよいでしょう。

ほかの聖書の人物

← すべての人物