聖書の人物 大祭司アンナス

生涯、名前の意味、人生の教訓

要約

アンナスは一世紀のユダヤの大祭司で、カヤパのしゅうとです。ルカは、バプテスマのヨハネの働きの時期を示すためにカヤパと並べてその名を挙げています。イエスが捕らえられた夜、兵士たちはまずイエスをアンナスのもとへ連れて行き、アンナスは弟子たちと教えについて尋問したうえで、縛られたままのイエスをカヤパに送りました。使徒の働き4章では、足の不自由な人が癒やされた後、ペテロとヨハネを取り調べる議会の中にも彼の名が見えます。メシアを前にしてなお拒む道を選んだ、宗教的権威の姿です。

大祭司アンナスという名前の意味

アンナスはギリシア語のハンナスに由来し、ヘブル語のハナンに結びつけられるのが一般的で、「主は恵み深い」という意味です。聖書はその名の意味を説明せず、大祭司でありカヤパのしゅうとであることだけを記しています(ヨハネの福音書18章13節)。サムエルの母ハンナや、ルカの福音書2章の女預言者アンナと混同しないよう注意が必要です。

大祭司アンナスの生涯

  1. 神のことばの時を示す目印

    ルカの福音書3章1-2節

    ルカはバプテスマのヨハネの働きの始まりを、大祭司アンナスとカヤパの時代と記します。二人の名が並ぶのは、アンナスがすでに正式な職を退いていても、なお大きな影響力を保っていたからでしょう。宗教と政治の権力者が舞台に立つ中、神のことばは荒野にいるヨハネに臨みました。

  2. まずアンナスのもとへ

    ヨハネの福音書18章12-14節

    ゲツセマネでの逮捕の後、軍隊と千人隊長、ユダヤ人の役人たちはイエスを縛り、まずアンナスのところへ連れて行きました。彼がその年の大祭司カヤパのしゅうとだったからです。ヨハネは、一人の人が民のために死ぬほうがよいとカヤパが助言していたことも思い出させ、裁判が始まる前から結論が決まっていたことを示します。

  3. 尋問と平手打ち

    ヨハネの福音書18章19-23節

    アンナスはイエスに弟子たちと教えについて尋ねました。イエスは、会堂でも宮でも公然と語り、隠れて話したことは何もないので、聞いた人たちに尋ねるように答えられます。すると下役の一人がイエスを平手で打ちました。イエスは落ち着いて、悪いことを言ったのなら証明し、正しいのならなぜ打つのかと問われました。

  4. 縛られたままカヤパのもとへ

    ヨハネの福音書18章24-28節

    アンナスはイエスを縛ったまま大祭司カヤパのもとへ送りました。その間、庭ではペテロが三度イエスを知らないと言い、鶏が鳴きます。朝になるとイエスはカヤパのところから総督官邸に連れて行かれました。アンナスは十字架へ続く一連の取り調べの口火を切りましたが、真理を求めてはいませんでした。

  5. 議会でペテロとヨハネと向き合う

    使徒の働き4章5-21節

    足の不自由な人が癒やされた後、民の指導者たちが、大祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレクサンデルらとともに集まります。聖霊に満たされたペテロは、あなたがたが十字架につけ、神がよみがえらせたナザレのイエス・キリストの名によるのだと告げました。奇跡を否定できない議会は、語ることを禁じて二人を脅し、釈放しました。

大祭司アンナスから学ぶこと

  • 宗教的な影響力や肩書きは何の保証にもなりません。神のことに近くにいながら、御子を見過ごすことがあります。
  • 不当な扱いを受けたとき、アンナスの前に立ったイエスは、復讐ではなく真実と落ち着きをもって答えることを教えてくれます。
  • 権力者の脅しはペテロとヨハネを黙らせませんでした。あなたも、見聞きしたことを語らずにはいられないはずです。
  • 結論を先に決めてしまうと、心は真理に対して閉じてしまいます。みことばに心を開き続けられるよう神に願いましょう。

鍵となる聖句

ヨハネの福音書18章13節

この節は、イエスがまずアンナスのもとへ行った理由を説明します。彼は当時の大祭司カヤパのしゅうとでした。二人は同じ権力の家として、イエスに敵対して結束していました。

ヨハネの福音書18章23節

下役に打たれても、イエスは打ち返しません。どこが悪かったのか示すよう求められます。この答えは、被告の言い分が聞かれない裁判の不正を浮き彫りにします。

使徒の働き4章12節

アンナス、カヤパ、議会の前で、ペテロはイエス以外に救いはないと宣言します。イエスを退けた場所が、福音が語られる場所になりました。

よくある質問

聖書の大祭司アンナスとは誰ですか?

アンナスはユダヤの大祭司で、カヤパのしゅうとです。ルカはバプテスマのヨハネの働きの時期を示すために彼の名をカヤパとともに挙げています(ルカの福音書3章2節)。逮捕された夜、イエスはまずアンナスのもとに連れて行かれ、その後縛られたままカヤパに送られました(ヨハネの福音書18章13-24節)。ペテロとヨハネが取り調べを受けたときにも議会にいました(使徒の働き4章6節)。

なぜイエスはカヤパより先にアンナスのもとへ連れて行かれたのですか?

ヨハネの福音書が挙げる理由は一つで、アンナスがその年の大祭司カヤパのしゅうとだったからです(ヨハネの福音書18章13節)。ルカがアンナスをカヤパより先に記していることから、正式には職を退いていても強い影響力が続いていたと考えられます。本文はそれ以上のことは述べていません。

大祭司アンナスの記事は聖書のどこにありますか?

新約聖書の三か所に登場します。バプテスマのヨハネの働きの時期を示すルカの福音書3章1-2節、逮捕の夜にイエスを尋問するヨハネの福音書18章12-24節、足の不自由な人が癒やされた後にペテロとヨハネを取り調べる議会が描かれた使徒の働き4章5-22節です。

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