聖書 — 口語訳 (1955)
使徒行伝 4
概要
使徒行伝4章では、足のなえた人をいやしたあと、ペテロとヨハネが捕らえられ、どんな力で行ったのかと問われます。聖霊に満たされたペテロは、それは復活されたイエス・キリストの名によるのであり、ほかのだれによっても救はないと答えます。権力者たちはイエスの名で語ることを禁じますが、使徒たちは語らないわけにはいかないと答えます。仲間のもとに戻って彼らが一緒に祈ると、集まっていた場所が揺れ動き、皆が大胆に御言葉を語りました。章は、持ち物を分かち合う一つの共同体で終わります。
この章の4つの区分
1彼らが人々にこのように語っているあいだに、祭司たち、宮守がしら、サドカイ人たちが近寄ってきて、
2彼らが人々に教を説き、イエス自身に起った死人の復活を宣伝しているのに気をいら立て、
3彼らに手をかけて捕え、はや日が暮れていたので、翌朝まで留置しておいた。
4しかし、彼らの話を聞いた多くの人たちは信じた。そして、その男の数が五千人ほどになった。
5明くる日、役人、長老、律法学者たちが、エルサレムに召集された。
6大祭司アンナスをはじめ、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな集まった。
7そして、そのまん中に使徒たちを立たせて尋問した、「あなたがたは、いったい、なんの権威、また、だれの名によって、このことをしたのか」。
8その時、ペテロが聖霊に満たされて言った、「民の役人たち、ならびに長老たちよ、
9わたしたちが、きょう、取調べを受けているのは、病人に対してした良いわざについてであり、この人がどうしていやされたかについてであるなら、
10あなたがたご一同も、またイスラエルの人々全体も、知っていてもらいたい。この人が元気になってみんなの前に立っているのは、ひとえに、あなたがたが十字架につけて殺したのを、神が死人の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのである。
11このイエスこそは『あなたがた家造りらに捨てられたが、隅のかしら石となった石』なのである。
12この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていないからである」。
13人々はペテロとヨハネとの大胆な話しぶりを見、また同時に、ふたりが無学な、ただの人たちであることを知って、不思議に思った。そして彼らがイエスと共にいた者であることを認め、
14かつ、彼らにいやされた者がそのそばに立っているのを見ては、まったく返す言葉がなかった。
15そこで、ふたりに議会から退場するように命じてから、互に協議をつづけて
16言った、「あの人たちを、どうしたらよかろうか。彼らによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全体に知れわたっているので、否定しようもない。
17ただ、これ以上このことが民衆の間にひろまらないように、今後はこの名によって、いっさいだれにも語ってはいけないと、おどしてやろうではないか」。
18そこで、ふたりを呼び入れて、イエスの名によって語ることも説くことも、いっさい相成らぬと言いわたした。
19ペテロとヨハネとは、これに対して言った、「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従う方が、神の前に正しいかどうか、判断してもらいたい。
20わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。
21そこで、彼らはふたりを更におどしたうえ、ゆるしてやった。みんなの者が、この出来事のために、神をあがめていたので、その人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。
22そのしるしによっていやされたのは、四十歳あまりの人であった。
23ふたりはゆるされてから、仲間の者たちのところに帰って、祭司長たちや長老たちが言ったいっさいのことを報告した。
24一同はこれを聞くと、口をそろえて、神にむかい声をあげて言った、「天と地と海と、その中のすべてのものとの造りぬしなる主よ。
25あなたは、わたしたちの先祖、あなたの僕ダビデの口をとおして、聖霊によって、こう仰せになりました、『なぜ、異邦人らは、騒ぎ立ち、もろもろの民は、むなしいことを図り、
26地上の王たちは、立ちかまえ、支配者たちは、党を組んで、主とそのキリストとに逆らったのか』。
27まことに、ヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人らやイスラエルの民と一緒になって、この都に集まり、あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆らい、
28み手とみ旨とによって、あらかじめ定められていたことを、なし遂げたのです。
29主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい。
30そしてみ手を伸ばしていやしをなし、聖なる僕イエスの名によって、しるしと奇跡とを行わせて下さい」。
31彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言を語り出した。
32信じた者の群れは、心を一つにし思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、いっさいの物を共有にしていた。
33使徒たちは主イエスの復活について、非常に力強くあかしをした。そして大きなめぐみが、彼ら一同に注がれた。
34彼らの中に乏しい者は、ひとりもいなかった。地所や家屋を持っている人たちは、それを売り、売った物の代金をもってきて、
35使徒たちの足もとに置いた。そしてそれぞれの必要に応じて、だれにでも分け与えられた。
36クプロ生れのレビ人で、使徒たちにバルナバ(「慰めの子」との意)と呼ばれていたヨセフは、
37自分の所有する畑を売り、その代金をもってきて、使徒たちの足もとに置いた。
鍵となる聖句
この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていないからである」。
ペテロは、救いはイエスの名以外のどこにもないと断言します。この節は、キリストにある救いの唯一性というキリスト教信仰の中心にあるもので、ペテロは最高の宗教的権威者たちの前でこれを語ります。
ペテロとヨハネとは、これに対して言った、「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従う方が、神の前に正しいかどうか、判断してもらいたい。 わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。
語ることを禁じられたペテロとヨハネは、人に従うより神に従うほうが正しく、自分たちの見聞きしたことを語らないわけにはいかないと答えます。この箇所は、良心の自由や証しについて語られるときによく引かれます。
主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい。 そしてみ手を伸ばしていやしをなし、聖なる僕イエスの名によって、しるしと奇跡とを行わせて下さい」。 彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言を語り出した。
信者たちは脅しが終わることではなく、「思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい」と求めます。祈りのあと、場所は揺れ動き、彼らは聖霊に満たされます。ここで祈りが変えたのは、状況よりも弟子たちの大胆さでした。
信じた者の群れは、心を一つにし思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、いっさいの物を共有にしていた。
ルカは、心を一つにし思いを一つにした共同体を描いています。持ち物の分かち合いはこの一致から生まれたもので、強いられたものではありません。だれも不足しないように、それぞれが与えるのです。
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
使徒行伝4章についてよくある質問
使徒行伝4章12節の「この人による以外に救はない」とはどういう意味ですか
ペテロは議会の前で、救いは、指導者たちが十字架につけ、神がよみがえらせたイエス・キリストの名によってのみ来ると断言します。キリスト者にとってこの節は、救いは行いや宗教によって得るものではなく、キリストにあって受けるものだということを語っています。福音を聞いたことのない人々の行方については、キリスト教の伝統によって理解が異なります。
使徒行伝4章11節の捨てられた石とは何を意味しますか
ペテロは詩篇118篇を引いてイエスに当てはめます。家造りらすなわち民の指導者たちに捨てられた方が、建物全体を支える隅のかしら石となったのです。この比喩は、イエスが捨てられ死なれたあとでも、神がイエスをまさに土台とされることを語っています。
使徒行伝4章の教会は脅されたときどうしますか
彼らは一緒に祈ります。信者たちは神の偉大さを思い起こし、脅しがなくなることではなく、御言葉を語る大胆さを求めます。本文は、彼らが集まっていた場所が揺れ動き、皆が聖霊に満たされたと伝えています。
使徒行伝 4を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。