聖書 — 口語訳 (1955)

サムエル記上 22

概要

サムエル記上22章は、二人の人物を対比します。逃亡中のダビデはアドラムのほら穴に身を寄せ、家族が彼のもとに来て、苦しむ者、負債のある者、不満を抱く者たちが集まり、彼はその長となります。一方サウルは、裏切られたと思い込み、ダビデを助けたアヒメレクとノブの祭司たちを呼び寄せます。サウルは彼らの死を命じ、家来たちは拒みますが、ドエグがその命令を実行します。アビヤタルは逃れてダビデのもとに身を寄せます。この章は、道徳的な権威を失う王と、人を集める逃亡者の姿を示しています。

この章の5つの区分

  1. 1-5節アドラムのほら穴:ダビデは苦しむ人々を集める
  2. 6-10節疑い深いサウルは、家来たちが陰謀を企てていると責める
  3. 11-16節アヒメレクはサウルの前でダビデを弁護し、有罪とされる
  4. 17-19節家来たちは手を下すことを拒み、ドエグがノブの祭司たちを殺す
  5. 20-23節アビヤタルはダビデのもとへ逃れ、ダビデは責任を感じる

1こうしてダビデはその所を去り、アドラムのほら穴へのがれた。彼の兄弟たちと父の家の者は皆、これを聞き、その所に下って彼のもとにきた。

2また、しえたげられている人々、負債のある人々、心に不満のある人々も皆、彼のもとに集まってきて、彼はその長となった。おおよそ四百人の人々が彼と共にあった。

3ダビデはそこからモアブのミヅパへ行き、モアブの王に言った、「神がわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの父母をあなたの所におらせてください」。

4そして彼はモアブの王に彼らを託したので、彼らはダビデが要害におる間、王の所におった。

5さて、預言者ガドはダビデに言った、「要害にとどまっていないで、去ってユダの地へ行きなさい」。そこでダビデは去って、ハレテの森へ行った。

6サウルは、ダビデおよび彼と共にいる人々が見つかったということを聞いた。サウルはギベアで、やりを手にもって、丘のぎょりゅうの木の下にすわっており、家来たちはみなそのまわりに立っていた。

7サウルはまわりに立っている家来たちに言った、「あなたがたベニヤミンびとは聞きなさい。エッサイの子もまた、あなたがたおのおのに畑やぶどう畑を与え、おのおのを千人の長、百人の長にするであろうか。

8あなたがたは皆共にはかってわたしに敵した。わたしの子がエッサイの子と契約を結んでも、それをわたしに告げるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのために憂えず、きょうのように、わたしの子がわたしのしもべをそそのかしてわたしに逆らわせ、道で彼がわたしを待ち伏せするようになっても、わたしに告げる者はない」。

9その時エドムびとドエグは、サウルの家来たちのそばに立っていたが、答えて言った、「わたしはエッサイの子がノブにいるアヒトブの子アヒメレクの所にきたのを見ました。

10アヒメレクは彼のために主に問い、また彼に食物を与え、ペリシテびとゴリアテのつるぎを与えました」。

11そこで王は人をつかわして、アヒトブの子祭司アヒメレクとその父の家のすべての者、すなわちノブの祭司たちを召したので、みな王の所にきた。

12サウルは言った、「アヒトブの子よ、聞きなさい」。彼は答えた、「わが主よ、わたしはここにおります」。

13サウルは彼に言った、「どうしてあなたはエッサイの子と共にはかってわたしに敵し、彼にパンとつるぎを与え、彼のために神に問い、きょうのように彼をわたしに逆らって立たせ、道で待ち伏せさせるのか」。

14アヒメレクは王に答えて言った、「あなたの家来のうち、ダビデのように忠義な者がほかにありますか。彼は王の娘婿であり、近衛兵の長であって、あなたの家で尊ばれる人ではありませんか。

15彼のために神に問うたのは、きょう初めてでしょうか。いいえ、決してそうではありません。王よ、どうぞ、しもべと父の全家に罪を負わせないでください。しもべは、これについては、事の大小を問わず、何をも知らなかったのです」。

16王は言った、「アヒメレクよ、あなたは必ず殺されなければならない。あなたの父の全家も同じである」。

17そして王はまわりに立っている近衛の兵に言った、「身をひるがえして、主の祭司たちを殺しなさい。彼らもダビデと協力していて、ダビデの逃げたのを知りながら、それをわたしに告げなかったからです」。ところが王の家来たちは主の祭司たちを殺すために手を下そうとはしなかった。

18そこで王はドエグに言った、「あなたが身をひるがえして、祭司たちを殺しなさい」。エドムびとドエグは身をひるがえして祭司たちを撃ち、その日亜麻布のエポデを身につけている者八十五人を殺した。

19彼はまた、つるぎをもって祭司の町ノブを撃ち、つるぎをもって男、女、幼な子、乳飲み子、牛、ろば、羊を殺した。

20しかしアヒトブの子アヒメレクの子たちのひとりで、名をアビヤタルという人は、のがれてダビデの所に走った。

21そしてアビヤタルは、サウルが主の祭司たちを殺したことをダビデに告げたので、

22ダビデはアビヤタルに言った、「あの日、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは彼がきっとサウルに告げるであろうと思った。わたしがあなたの父の家の人々の命を失わせるもととなったのです。

23あなたはわたしの所にとどまってください。恐れることはありません。あなたの命を求める者は、わたしの命をも求めているのです。わたしの所におられるならば、あなたは安全でしょう」。

鍵となる聖句

1-2節
こうしてダビデはその所を去り、アドラムのほら穴へのがれた。彼の兄弟たちと父の家の者は皆、これを聞き、その所に下って彼のもとにきた。 また、しえたげられている人々、負債のある人々、心に不満のある人々も皆、彼のもとに集まってきて、彼はその長となった。おおよそ四百人の人々が彼と共にあった。

ダビデはサウルから逃れ、家族と、苦しむ者、負債のある者、不満を抱く者およそ四百人とともにアドラムにいます。神は、のちに彼の仲間となる傷ついた人々を、彼の周りに集められます。

5節
さて、預言者ガドはダビデに言った、「要害にとどまっていないで、去ってユダの地へ行きなさい」。そこでダビデは去って、ハレテの森へ行った。

預言者ガドはダビデに、要害にとどまらず、ユダの地に入るよう告げます。逃亡の身であっても、ダビデは預言のことばによって導かれています。

14節
アヒメレクは王に答えて言った、「あなたの家来のうち、ダビデのように忠義な者がほかにありますか。彼は王の娘婿であり、近衛兵の長であって、あなたの家で尊ばれる人ではありませんか。

アヒメレクは、サウルの前で、ダビデをもっとも忠実な家来として弁護します。王に仕えているつもりで、自分がすでに罪に定められていることを理解していません。

17節
そして王はまわりに立っている近衛の兵に言った、「身をひるがえして、主の祭司たちを殺しなさい。彼らもダビデと協力していて、ダビデの逃げたのを知りながら、それをわたしに告げなかったからです」。ところが王の家来たちは主の祭司たちを殺すために手を下そうとはしなかった。

サウルは護衛の者たちに、主の祭司たちを殺すよう命じますが、彼の家来たちは拒みます。彼らさえ尻込みしたことで、この命令の重大さが強調されています。

22節
ダビデはアビヤタルに言った、「あの日、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは彼がきっとサウルに告げるであろうと思った。わたしがあなたの父の家の人々の命を失わせるもととなったのです。

ダビデは、アヒメレクの一族の死に自分にも責任があることを認めます。そして、自分と同じように命をねらわれているアビヤタルに、守りを約束します。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

サムエル記上22章についてよくある質問

アドラムのほら穴でダビデに加わったのは誰ですか

サムエル記上22章1節と2節によれば、まず家族が彼のもとに下り、続いて、苦しむ者、債権者に追われる者、不満を抱く者がみな彼のもとに集まりました。およそ四百人が加わり、彼はその長となります。困難の中にいるこれらの人々を、神は将来の王の周りに集められました。

なぜサウルはノブの祭司たちを殺させたのですか

サウルは、周りの者がダビデと共謀していると思い込んでいます。アヒメレクがダビデを助けたと知ると、その弁明を聞かずに、家族全員とともに彼を罪に定めます。家来たちは主の祭司たちを打つことを拒みますが、ドエグがそれを実行します。本文は、恐れとねたみに支配された王の姿を示しています。

サムエル記上22章のアビヤタルとは誰ですか

アビヤタルはアヒメレクの子で、ノブの虐殺を逃れた唯一の人です。彼はダビデのもとに逃れ、起こったことを話します。ダビデは責任を感じていることを認め、彼を守ると約束します。アビヤタルはのちに、ダビデに近い祭司となります。

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