聖書 — 口語訳 (1955)

創世記 9

概要

洪水のあと、神はノアとその子らを祝福し、地に満ちるという使命をふたたび与えられます。神は命についての指針、つまり血の尊重を示し、6節は人の命の価値を、神のかたちに置いています。続いて神は、ノアとその子孫、そしてすべての生き物と契約を立て、もう洪水は起こらないというしるしとして、雲の中のにじを置かれます。章の終わりには、ノアの酔い、カナンへののろい、そしてノアの死が記されています。

この章の5つの区分

  1. 1-7節ノアへの祝福と、命の尊重
  2. 8-17節神の契約と、雲の中のにじのしるし
  3. 18-19節ノアの三人の子と、その子孫
  4. 20-27節ノアの酔いと、カナンへののろい
  5. 28-29節ノアの死

1神はノアとその子らとを祝福して彼らに言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ。

2地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚は恐れおののいて、あなたがたの支配に服し、

3すべて生きて動くものはあなたがたの食物となるであろう。さきに青草をあなたがたに与えたように、わたしはこれらのものを皆あなたがたに与える。

4しかし肉を、その命である血のままで、食べてはならない。

5あなたがたの命の血を流すものには、わたしは必ず報復するであろう。いかなる獣にも報復する。兄弟である人にも、わたしは人の命のために、報復するであろう。

6人の血を流すものは、人に血を流される、神が自分のかたちに人を造られたゆえに。

7あなたがたは、生めよ、ふえよ、地に群がり、地の上にふえよ」。

8神はノアおよび共にいる子らに言われた、

9「わたしはあなたがた及びあなたがたの後の子孫と契約を立てる。

10またあなたがたと共にいるすべての生き物、あなたがたと共にいる鳥、家畜、地のすべての獣、すなわち、すべて箱舟から出たものは、地のすべての獣にいたるまで、わたしはそれと契約を立てよう。

11わたしがあなたがたと立てるこの契約により、すべて肉なる者は、もはや洪水によって滅ぼされることはなく、また地を滅ぼす洪水は、再び起らないであろう」。

12さらに神は言われた、「これはわたしと、あなたがた及びあなたがたと共にいるすべての生き物との間に代々かぎりなく、わたしが立てる契約のしるしである。

13すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。

14わたしが雲を地の上に起すとき、にじは雲の中に現れる。

15こうして、わたしは、わたしとあなたがた、及びすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた契約を思いおこすゆえ、水はふたたび、すべて肉なる者を滅ぼす洪水とはならない。

16にじが雲の中に現れるとき、わたしはこれを見て、神が地上にあるすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思いおこすであろう」。

17そして神はノアに言われた、「これがわたしと地にあるすべて肉なるものとの間に、わたしが立てた契約のしるしである」。

18箱舟から出たノアの子らはセム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父である。

19この三人はノアの子らで、全地の民は彼らから出て、広がったのである。

20さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、

21彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。

22カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。

23セムとヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。

24やがてノアは酔いがさめて、末の子が彼にした事を知ったとき、

25彼は言った、「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。

26また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。

27神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。

28ノアは洪水の後、なお三百五十年生きた。

29ノアの年は合わせて九百五十歳であった。そして彼は死んだ。

鍵となる聖句

1節
神はノアとその子らとを祝福して彼らに言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ。

神は創造の初めに語られた祝福のことばを、ノアにもう一度語られます。「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」。洪水のあとも、神は人類のための計画をふたたび進められます。

6節
人の血を流すものは、人に血を流される、神が自分のかたちに人を造られたゆえに。

この節は、人の血を流してはならないという禁止を、人が神のかたちに造られたことに基づけています。一人ひとりの尊厳を語るために、よく引用される聖句です。

11節
わたしがあなたがたと立てるこの契約により、すべて肉なる者は、もはや洪水によって滅ぼされることはなく、また地を滅ぼす洪水は、再び起らないであろう」。

神は、すべて肉なる者が、もはや洪水によって滅ぼされることはないと約束されます。これは神の側からの一方的な約束であり、人の誠実さではなく、神の真実に基づいています。

13節
すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。

雲の中に置かれたにじは、神と地との間の契約のしるしです。にじが現れるたびに、神はご自分の約束を思い起こされると、続く節は語っています。

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説教が語っていること

創世記9章についてよくある質問

創世記9章のにじは何を意味していますか。

雲の中のにじは、神がノア、その子孫、そしてすべての生き物と立てられた契約のしるしです。にじが雲の中に現れる時、神は、地を滅ぼす洪水はもう二度と起こさないというご自分の約束を思い起こされます。このしるしは、人に課された義務ではなく、神の真実を思い起こさせるものです。

創世記9章6節の神のかたちとは何を意味していますか。

この節は、人の血を流すことが重大であるのは、神が人をご自分のかたちに造られたからだと語ります。そのため、人の命の価値は、有用性や境遇ではなく、その由来によって決まります。この節は、一人ひとりの尊厳を守るために引用されますが、死刑への適用については、クリスチャンの間でも意見が分かれています。

ノアはなぜ創世記9章でカナンをのろったのですか。

ノアの酔いのあと、ハムは父の裸を見て、外にいる兄弟たちに告げ、兄弟たちはそれをおおいます。酔いがさめたノアは、ハムの子カナンをのろい、セムとヤペテを祝福します。聖書はその理由を詳しく語らず、この箇所はしばしば誤って用いられてきました。多くの読者は、これをある民が他の民を支配することの正当化ではなく、予告として読んでいます。

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