聖書 — 口語訳 (1955)

民数記 16

概要

民数記16章は、荒野でモーセの権威に向けられた最も深刻な反抗を語ります。レビ族のコラが、ルベン族のダタンとアビラム、そして二百五十人の指導者たちと結び、会衆全体が聖なるものなのに、モーセは他の人々の上に立っていると主張します。モーセは決定を神にゆだねます。地は首謀者たちを飲み込み、火は香をささげていた者たちを焼き尽くします。翌日、民はまた不平を言い、疫病が起こります。アロンは死んだ者と生きている者の間に立って、罪のあがないをします。

この章の5つの区分

  1. 1-11節コラの反逆とモーセの答え
  2. 12-22節ダタンとアビラムは上って来ず、火ざらが主の前に置かれる
  3. 23-35節地は反逆者たちを飲み込み、火は香をささげる者たちを焼く
  4. 36-40節火ざらは記念となる
  5. 41-50節民の不平、疫病、そしてアロンのあがない

1ここに、レビの子コハテの子なるイヅハルの子コラと、ルベンの子なるエリアブの子ダタンおよびアビラムと、ルベンの子なるペレテの子オンとが相結び、

2イスラエルの人々のうち、会衆のうちから選ばれて、つかさとなった名のある人々二百五十人と共に立って、モーセに逆らった。

3彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らって言った、「あなたがたは、分を越えています。全会衆は、ことごとく聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、どうしてあなたがたは、主の会衆の上に立つのですか」。

4モーセはこれを聞いてひれ伏した。

5やがて彼はコラと、そのすべての仲間とに言った、「あす、主は、主につくものはだれ、聖なる者はだれであるかを示して、その人をみもとに近づけられるであろう。すなわち、その選んだ人を、みもとに近づけられるであろう。

6それで、次のようにしなさい。コラとそのすべての仲間とは、火ざらを取り、

7その中に火を入れ、それに薫香を盛って、あす、主の前に出なさい。その時、主が選ばれる人は聖なる者である。レビの子たちよ、あなたがたこそ、分を越えている」。

8モーセはまたコラに言った、「レビの子たちよ、聞きなさい。

9イスラエルの神はあなたがたをイスラエルの会衆のうちから分かち、主に近づかせて、主の幕屋の務をさせ、かつ会衆の前に立って仕えさせられる。これはあなたがたにとって、小さいことであろうか。

10神はあなたとあなたの兄弟なるレビの子たちをみな近づけられた。あなたがたはなお、その上に祭司となることを求めるのか。

11あなたとあなたの仲間は、みなそのために集まって主に敵している。あなたがたはアロンをなんと思って、彼に対してつぶやくのか」。

12モーセは人をやって、エリアブの子ダタンとアビラムとを呼ばせたが、彼らは言った、「わたしたちは参りません。

13あなたは乳と蜜の流れる地から、わたしたちを導き出して、荒野でわたしたちを殺そうとしている。これは小さいことでしょうか。その上、あなたはわたしたちに君臨しようとしている。

14かつまた、あなたはわたしたちを、乳と蜜の流れる地に導いて行かず、畑と、ぶどう畑とを嗣業として与えもしない。これらの人々の目をくらまそうとするのですか。わたしたちは参りません」。

15モーセは大いに怒って、主に言った、「彼らの供え物を顧みないでください。わたしは彼らから、ろば一頭をも取ったことなく、また彼らのひとりをも害したことはありません」。

16そしてモーセはコラに言った、「あなたとあなたの仲間はみなアロンと一緒に、あす、主の前に出なさい。

17あなたがたは、おのおの火ざらを取って、それに薫香を盛り、おのおのその火ざらを主の前に携えて行きなさい。その火ざらは会わせて二百五十。あなたとアロンも、おのおの火ざらを携えて行きなさい」。

18彼らは、おのおの火ざらを取り、火をその中に入れ、それに薫香を盛り、モーセとアロンも共に、会見の幕屋の入口に立った。

19そのとき、コラは会衆を、ことごとく会見の幕屋の入口に集めて、彼らふたりに逆らわせようとしたが、主の栄光は全会衆に現れた。

20主はモーセとアロンに言われた、

21「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼすであろう」。

22彼らふたりは、ひれ伏して言った、「神よ、すべての肉なる者の命の神よ、このひとりの人が、罪を犯したからといって、あなたは全会衆に対して怒られるのですか」。

23主はモーセに言われた、

24「あなたは会衆に告げて、コラとダタンとアビラムのすまいの周囲を去れと言いなさい」。

25モーセは立ってダタンとアビラムのもとに行ったが、イスラエルの長老たちも、彼に従って行った。

26モーセは会衆に言った、「どうぞ、あなたがたはこれらの悪い人々の天幕を離れてください。彼らのものには何にも触れてはならない。彼らのもろもろの罪によって、あなたがたも滅ぼされてはいけないから」。

27そこで人々はコラとダタンとアビラムのすまいの周囲を離れ去った。そして、ダタンとアビラムとは、妻、子、および幼児と一緒に出て、天幕の入口に立った。

28モーセは言った、「あなたがたは主がこれらのすべての事をさせるために、わたしをつかわされたこと、またわたしが、これを自分の心にしたがって行うものでないことを、次のことによって知るであろう。

29すなわち、もしこれらの人々が、普通の死に方で死に、普通の運命に会うのであれば、主がわたしをつかわされたのではない。

30しかし、主が新しい事をされ、地が口を開いて、これらの人々と、それに属する者とを、ことごとくのみつくして、生きながら陰府に下らせられるならば、あなたがたはこれらの人々が、主を侮ったのであることを知らなければならない」。

31モーセが、これらのすべての言葉を述べ終ったとき、彼らの下の土地が裂け、

32地は口を開いて、彼らとその家族、ならびにコラに属するすべての人々と、すべての所有物をのみつくした。

33すなわち、彼らと、彼らに属するものは、皆生きながら陰府に下り、地はその上を閉じふさいで、彼らは会衆のうちから、断ち滅ぼされた。

34この時、その周囲にいたイスラエルの人々は、みな彼らの叫びを聞いて逃げ去り、「恐らく地はわたしたちをも、のみつくすであろう」と言った。

35また主のもとから火が出て、薫香を供える二百五十人をも焼きつくした。

36主はモーセに言われた、

37「あなたは祭司アロンの子エレアザルに告げて、その燃える火の中から、かの火ざらを取り出させ、その中の火を遠く広くまき散らさせなさい。それらの火ざらは聖となったから、

38罪を犯して命を失った人々の、これらの火ざらを、広い延べ板として、祭壇のおおいとしなさい。これは主の前にささげられて、聖となったからである。こうして、これはイスラエルの人々に、しるしとなるであろう」。

39そこで祭司エレアザルは、かの焼き殺された人々が供えた青銅の火ざらを取り、これを広く打ち延ばして、祭壇のおおいとし、

40これをイスラエルの人々の記念の物とした。これはアロンの子孫でないほかの人が、主の前に近づいて、薫香をたくことのないようにするため、またその人がコラ、およびその仲間のようにならないためである。すなわち、主がモーセによってエレアザルに言われたとおりである。

41その翌日、イスラエルの人々の会衆は、みなモーセとアロンとにつぶやいて言った、「あなたがたは主の民を殺しました」。

42会衆が集まって、モーセとアロンとに逆らったとき、会見の幕屋を望み見ると、雲がこれをおおい、主の栄光が現れていた。

43モーセとアロンとが、会見の幕屋の前に行くと、

44主はモーセに言われた、

45「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼそう」。そこで彼らふたりは、ひれ伏した。

46モーセはアロンに言った、「あなたは火ざらを取って、それに祭壇から取った火を入れ、その上に薫香を盛り、急いでそれを会衆のもとに持って行って、彼らのために罪のあがないをしなさい。主が怒りを発せられ、疫病がすでに始まったからです」。

47そこで、アロンはモーセの言ったように、それを取って会衆の中に走って行ったが、疫病はすでに民のうちに始まっていたので、薫香をたいて、民のために罪のあがないをし、

48すでに死んだ者と、なお生きている者との間に立つと、疫病はやんだ。

49コラの事によって死んだ者のほかに、この疫病によって死んだ者は一万四千七百人であった。

50アロンは会見の幕屋の入口にいるモーセのもとに帰った。こうして疫病はやんだ。

鍵となる聖句

3節
彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らって言った、「あなたがたは、分を越えています。全会衆は、ことごとく聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、どうしてあなたがたは、主の会衆の上に立つのですか」。

反逆者たちの言葉には真実の一部があります。神の民は確かに聖なる者たちだからです。しかし彼らはそれを、神が立てられた秩序に異議を唱えるために用いています。その非難の裏には、権力への欲望が隠れています。

4節
モーセはこれを聞いてひれ伏した。

モーセは答える前にひれ伏します。攻撃を受けたとき、彼の最初の反応は神に向かうことでした。

22節
彼らふたりは、ひれ伏して言った、「神よ、すべての肉なる者の命の神よ、このひとりの人が、罪を犯したからといって、あなたは全会衆に対して怒られるのですか」。

モーセとアロンは、神がすべての肉なるものの霊の神であることを思い起こさせて、会衆全体のためにとりなします。ひとりの罪人のせいで、怒りがすべての人に及ばないようにと願うのです。

46-48節
モーセはアロンに言った、「あなたは火ざらを取って、それに祭壇から取った火を入れ、その上に薫香を盛り、急いでそれを会衆のもとに持って行って、彼らのために罪のあがないをしなさい。主が怒りを発せられ、疫病がすでに始まったからです」。 そこで、アロンはモーセの言ったように、それを取って会衆の中に走って行ったが、疫病はすでに民のうちに始まっていたので、薫香をたいて、民のために罪のあがないをし、 すでに死んだ者と、なお生きている者との間に立つと、疫病はやんだ。

アロンは火ざらを持って民の中へ走り、あがないをし、死んだ者と生きている者の間に立ちます。すると疫病は止まりました。クリスチャンはここに、仲介者の姿を見ています。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

民数記16章についてよくある質問

コラはなぜモーセに逆らうのですか

レビ人のコラは、民全体が聖なる者なのに、モーセとアロンが会衆の上に立っていると考えます。モーセは、幕屋で神に仕えることはすでに特権であり、コラは祭司の務めまで求めているのだと答えます。反逆は、神がゆだねられた権威と役割をめぐるものでした。

民数記16章の終わりで何が起こりますか

裁きの翌日、民はモーセとアロンが主の民を死なせたと非難します。疫病が起こります。モーセの命令で、アロンは火ざらを取って香をたき、あがないをして、死んだ者と生きている者の間に立ちます。疫病は止まりましたが、本文によれば一万四千七百人が死にました。

コラの子たちはコラと一緒に死んだのですか

16章では、地がコラ、ダタン、アビラムを、その家族とともに飲み込みます。しかし民数記26章は、コラの子たちは死ななかったと記します。ここから読者は、神はひとり一人に対して正しい方であり、父の反逆が必ずしも子どもたちを縛るわけではないと受け止めています。

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