聖書 — 口語訳 (1955)

サムエル記上 18

概要

サムエル記上18章は、ダビデの台頭と、サウルの内側からの崩れを語ります。ヨナタンはダビデに心を結びつけ、契約を結びます。ダビデはどこでも手柄を立て、民に喜ばれますが、女たちの「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」という歌が、王のねたみを呼び覚まします。サウルはやりでダビデを殺そうとし、さらに自分の娘たちを使ってわなを仕掛けます。そのたびに、本文は主がダビデと共におられたことを繰り返し記しています。

この章の5つの区分

  1. 1-5節ヨナタンはダビデに心を結びつける
  2. 6-9節女たちの歌とサウルのねたみ
  3. 10-16節やりとサウルの恐れ
  4. 17-27節メラブとミカルをめぐるわな
  5. 28-30節サウルはダビデを恐れ、ダビデの名は尊敬される

1ダビデがサウルに語り終えた時、ヨナタンの心はダビデの心に結びつき、ヨナタンは自分の命のようにダビデを愛した。

2この日、サウルはダビデを召しかかえて、父の家に帰らせなかった。

3ヨナタンとダビデとは契約を結んだ。ヨナタンが自分の命のようにダビデを愛したからである。

4ヨナタンは自分が着ていた上着を脱いでダビデに与えた。また、そのいくさ衣、およびつるぎも弓も帯も、そのようにした。

5ダビデはどこでもサウルがつかわす所に出て行って、てがらを立てたので、サウルは彼を兵の隊長とした。それはすべての民の心にかない、またサウルの家来たちの心にもかなった。

6人々が引き揚げてきた時、すなわちダビデが、かのペリシテびとを殺して帰った時、女たちはイスラエルの町々から出てきて、手鼓と祝い歌と三糸の琴をもって、歌いつ舞いつ、サウル王を迎えた。

7女たちは踊りながら互に歌いかわした、「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」。

8サウルは、ひじょうに怒り、この言葉に気を悪くして言った、「ダビデには万と言い、わたしには千と言う。この上、彼に与えるものは、国のほかないではないか」。

9サウルは、この日からのちダビデをうかがった。

10次の日、神から来る悪霊がサウルにはげしく臨んで、サウルが家の中で狂いわめいたので、ダビデは、いつものように、手で琴をひいた。その時、サウルの手にやりがあったので、

11サウルは「ダビデを壁に刺し通そう」と思って、そのやりをふり上げた。しかしダビデは二度身をかわしてサウルを避けた。

12主がサウルを離れて、ダビデと共におられたので、サウルはダビデを恐れた。

13それゆえサウルは、ダビデを遠ざけて、千人の長としたので、ダビデは民の先に立って出入りした。

14またダビデは、すべてそのすることに、てがらを立てた。主が共におられたからである。

15サウルはダビデが大きなてがらを立てるのを見て彼を恐れたが、

16イスラエルとユダのすべての人はダビデを愛した。彼が民の先に立って出入りしたからである。

17その時サウルはダビデに言った、「わたしの長女メラブを、あなたに妻として与えよう。ただ、あなたはわたしのために勇ましく、主の戦いを戦いなさい」。サウルは「自分の手で彼を殺さないで、ペリシテびとの手で殺そう」と思ったからである。

18ダビデはサウルに言った、「わたしは何者なのでしょう。わたしの親族、わたしの父の一族はイスラエルのうちで何者なのでしょう。そのわたしが、どうして王のむこになることができましょう」。

19しかしサウルの娘メラブは、ダビデにとつぐべき時になって、メホラびとアデリエルに妻として与えられた。

20サウルの娘ミカルはダビデを愛した。人々がそれをサウルに告げたとき、サウルはその事を喜んだ。

21サウルは「ミカルを彼に与えて、彼を欺く手だてとし、ペリシテびとの手で彼を殺そう」と思ったので、サウルはふたたびダビデに言った、「あなたを、きょう、わたしのむこにします」。

22そしてサウルは家来たちに命じた、「ひそかにダビデに言いなさい、『王はあなたが気に入り、王の家来たちも皆あなたを愛しています。それゆえ王のむこになりなさい』」。

23そこでサウルの家来たちはこの言葉をダビデの耳に語ったので、ダビデは言った、「わたしのような貧しく、卑しい者が、王のむこになることは、あなたがたには、たやすいことと思われますか」。

24サウルの家来たちはサウルに、「ダビデはこう言った」と告げた。

25サウルは言った、「あなたがたはダビデにこう言いなさい、『王はなにも結納を望まれない。ただペリシテびとの陽の皮一百を獲て、王のあだを討つことを望まれる』」。これはサウルが、ダビデをペリシテびとの手によって倒そうと思ったからである。

26サウルの家来たちが、この言葉をダビデに告げた時、ダビデは王のむこになることを良しとした。そして定めた日がまだこないうちに、

27ダビデは従者をつれて、立って行き、ペリシテびと二百人を殺して、その陽の皮を携え帰り、王のむこになるために、それをことごとく王にささげた。そこでサウルは娘ミカルを彼に妻として与えた。

28しかしサウルは見て、主がダビデと共におられること、またイスラエルのすべての人がダビデを愛するのを知った時、

29サウルは、ますますダビデを恐れた。こうしてサウルは絶えずダビデに敵した。

30さてペリシテびとの君たちが攻めてきたが、ダビデは、彼らが攻めてくるごとに、サウルのどの家来よりも多くのてがらを立てたので、その名はひじょうに尊敬された。

鍵となる聖句

1節
ダビデがサウルに語り終えた時、ヨナタンの心はダビデの心に結びつき、ヨナタンは自分の命のようにダビデを愛した。

ヨナタンの心はダビデの心に結びつきました。3節で契約によって固められたこの友情は、章の後半に描かれるサウルのねたみと対照をなしています。

7-8節
女たちは踊りながら互に歌いかわした、「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」。 サウルは、ひじょうに怒り、この言葉に気を悪くして言った、「ダビデには万と言い、わたしには千と言う。この上、彼に与えるものは、国のほかないではないか」。

女たちの歌は、サウルとダビデの勝利を比べ、サウルはそれに気を悪くします。この章は、比較が、自信のない心にねたみを呼び起こしうることを示しています。

9節
サウルは、この日からのちダビデをうかがった。

サウルは、この日からのち、ダビデをうかがいました。本文は、ねたみを、かたくなになっていく目つきとして追い、それが暴力的な行動へと至る様子を描いています。

14節
またダビデは、すべてそのすることに、てがらを立てた。主が共におられたからである。

ダビデは、すべてそのすることに手柄を立てました。理由として挙げられているのは、主が共におられたからです。本文は、成功を才能だけによるものとはせず、神の臨在によるものとしています。

この章に登場する人物

説教が語っていること

サムエル記上18章についてよくある質問

なぜサウルはダビデをねたんだのですか

女たちが、サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺したと歌ったからです。サウルは怒り、ダビデに足りないのは国だけだと言います。また、主がダビデと共におられ、自分から離れられたことも見ています。ねたみはサウルを恐れへ、そして暴力へと導きました。

サムエル記上18章のメッセージは何ですか

この章は二つの態度を対比させています。ねたみなしにダビデを愛するヨナタンと、比較に心をむしばまれるサウルです。ねたみは養えば大きくなること、そして、わなが仕掛けられても、神は選ばれた人と共におられることを示しています。人を導く者の心への警告でもあります。

ヨナタンとダビデの契約は何を意味しますか

ヨナタンは、自分の命のようにダビデを愛したので、契約を結び、上着、いくさ衣、つるぎ、弓、帯を与えました。ヨナタンが王の跡継ぎであるだけに、この行いは重いものです。自分の地位を守るのではなく、ダビデに対する神の計画を受け入れる、真実な友情を表しています。

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