聖書 — 口語訳 (1955)
列王紀上 16
概要
列王紀上16章は、北王国イスラエルが王朝から王朝へと衰えていく姿を語ります。バアシャは預言者エヒウに罪を宣告され、その子エラはジムリに殺されます。ジムリは七日しか王となれず、やがてオムリが実権を握ってサマリヤを築きます。章は、それまでのだれよりも悪い者とされるアハブで終わります。彼はシドンの王の娘イゼベルを妻にめとり、バアル礼拝を持ち込みました。これが、預言者エリヤが現れる暗い舞台です。
この章の5つの区分
1そこで主の言葉がハナニの子エヒウに臨み、バアシャを責めて言った、
2「わたしはあなたをちりの中からあげて、わたしの民イスラエルの上に君としたが、あなたはヤラベアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪をもってわたしを怒らせた。
3それでわたしは、バアシャとその家を全く滅ぼし去り、あなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにする。
4バアシャに属する者で、町で死ぬ者は犬が食べ、彼に属する者で、野で死ぬ者は空の鳥が食べるであろう」。
5バアシャのその他の事績と、彼がした事と、その勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。
6バアシャはその先祖と共に眠って、テルザに葬られ、その子エラが代って王となった。
7主の言葉はまたハナニの子預言者エヒウによって臨み、バアシャとその家を責めた。これは彼が主の目の前に、もろもろの悪を行い、その手のわざをもって主を怒らせ、ヤラベアムの家にならったためであり、また彼がヤラベアムの家を滅ぼしたためであった。
8ユダの王アサの第二十六年にバアシャの子エラはテルザでイスラエルの王となり、二年世を治めた。
9彼がテルザにいて、テルザの宮殿のつかさアルザの家で酒を飲んで酔った時、その家来で戦車隊の半ばを指揮していたジムリが、彼にそむいた。
10そしてユダの王アサの第二十七年にジムリは、はいってきて彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。
11ジムリは王となって、位についた時、バアシャの全家を殺し、その親族または友だちの男子は、ひとりも残さなかった。
12こうしてジムリはバアシャの全家を滅ぼした。主が預言者エヒウによってバアシャを責めて言われた言葉のとおりである。
13これはバアシャのもろもろの罪と、その子エラの罪のためであって、彼らが罪を犯し、またイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたからである。
14エラのその他の事績と、彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。
15ユダの王アサの第二十七年にジムリはテルザで七日の間、世を治めた。民はペリシテびとに属するギベトンにむかって陣取っていたが、
16その陣取っていた民が「ジムリはむほんを起して王を殺した」と人のいうのを聞いたので、イスラエルは皆その日陣営で、軍の長オムリをイスラエルの王とした。
17そこでオムリはイスラエルの人々と共にギベトンから上ってテルザを囲んだ。
18ジムリはその町の陥るのを見て、王の宮殿の天守にはいり、王の宮殿に火をかけてその中で死んだ。
19これは彼が犯した罪のためであって、彼が主の目の前に悪を行い、ヤラベアムの道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに犯させたその罪を行ったからである。
20ジムリのその他の事績と、彼が企てた陰謀は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。
21その時イスラエルの民は二つに分れ、民の半ばはギナテの子テブニに従って、これを王としようとし、半ばはオムリに従った。
22しかしオムリに従った民はギナテの子テブニに従った民に勝って、テブニは死に、オムリが王となった。
23ユダの王アサの第三十一年にオムリはイスラエルの王となって十二年世を治めた。彼はテルザで六年王であった。
24彼は銀二タラントでセメルからサマリヤの山を買い、その上に町を建て、その建てた町の名をその山の持ち主であったセメルの名に従ってサマリヤと呼んだ。
25オムリは主の目の前に悪を行い、彼よりも先にいたすべての者にまさって悪い事をした。
26彼はネバテの子ヤラベアムのすべての道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたその罪を行った。
27オムリが行ったその他の事績と、彼があらわした勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。
28オムリはその先祖と共に眠って、サマリヤに葬られ、その子アハブが代って王となった。
29ユダの王アサの第三十八年にオムリの子アハブがイスラエルの王となった。オムリの子アハブはサマリヤで二十二年イスラエルを治めた。
30オムリの子アハブは彼よりも先にいたすべての者にまさって、主の目の前に悪を行った。
31彼はネバテの子ヤラベアムの罪を行うことを、軽い事とし、シドンびとの王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、行ってバアルに仕え、これを拝んだ。
32彼はサマリヤに建てたバアルの宮に、バアルのために祭壇を築いた。
33アハブはまたアシラ像を造った。アハブは彼よりも先にいたイスラエルのすべての王にまさってイスラエルの神、主を怒らせることを行った。
34彼の代にベテルびとヒエルはエリコを建てた。彼はその基をすえる時に長子アビラムを失い、その門を立てる時に末の子セグブを失った。主がヌンの子ヨシュアによって言われた言葉のとおりである。
鍵となる聖句
「わたしはあなたをちりの中からあげて、わたしの民イスラエルの上に君としたが、あなたはヤラベアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪をもってわたしを怒らせた。
神はバアシャに、ちりの中からあげて民の君としたのに、彼はヤラベアムの道に歩んだと告げます。神から受けた権力は、忠実さを求めます。
オムリは主の目の前に悪を行い、彼よりも先にいたすべての者にまさって悪い事をした。
オムリは、それまでのすべての者にまさって悪を行いました。聖書は彼の政治的な業績にはほとんど触れず、その治世の霊的な面を強調しています。
彼はネバテの子ヤラベアムの罪を行うことを、軽い事とし、シドンびとの王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、行ってバアルに仕え、これを拝んだ。
アハブはシドンの王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、バアルに仕えます。この結びつきは、イスラエルにバアル礼拝が根づいた理由と、エリヤの働きの背景を説明しています。
アハブはまたアシラ像を造った。アハブは彼よりも先にいたイスラエルのすべての王にまさってイスラエルの神、主を怒らせることを行った。
章はアハブの治世をこう要約します。彼はイスラエルのすべての王にまさって、主を怒らせることを行いました。これが、エリヤ以前の王国の霊的な放棄の大きさを示しています。
この章に登場する人物
説教が語っていること
列王紀上16章についてよくある質問
列王紀上16章のイゼベルとは、どんな人ですか。
イゼベルはシドンの王エテバアルの娘で、アハブ王が妻にめとります。彼女はイスラエルにバアル礼拝を持ち込み、アハブはバアルを拝み、サマリヤにその祭壇を築きます。その後、彼女は預言者エリヤと主の預言者たちの敵として登場します。
列王紀上16章のメッセージは何ですか。
この章はイスラエルの霊的な衰えを示します。崩れていく王朝、暗殺、ヤラベアムの道に歩む王たち。そしてそれは、先の者たちよりも悪いアハブで頂点に達します。この箇所を貫く糸は、主のことばが成就するということです。預言者たちを通して告げられたさばきは、実現します。
34節で、なぜベテルびとヒエルのことが記されているのですか。
ヒエルはエリコを建て直しますが、その代償として長子アビラムと末の子セグブを失います。聖書は、これがヌンの子ヨシュアの語った言葉のとおりに成就したと記しています。ヨシュアは、エリコを再建する者をのろっていたのです。この出来事は、民がそれを忘れていても、神のことばは実現することを示しています。
列王紀上 16を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。