聖書 — 口語訳 (1955)

士師記 16

概要

士師記16章は、母の胎にいるときから神にささげられたイスラエルの士師、サムソンの堕落と死を語ります。ガザの後、サムソンはデリラを愛し、ペリシテ人の君たちは彼女を買収して、力の秘密を探らせます。何度かうそをついた後、サムソンは屈して、ナジル人の誓いを明かします。髪をそられ、引き渡され、目をえぐられ、鎖につながれて、彼はひき臼を回します。ダゴンの神殿で主を呼び求め、敵と共に死にます。この章は、人間の弱さと神の真実を織り交ぜています。

この章の5つの区分

  1. 1-3節ガザのサムソン:町の門を肩に担ぐ
  2. 4-14節デリラと、サムソンの三つのうそ
  3. 15-22節秘密が明かされ、サムソンは髪をそられ、目をえぐられ、鎖につながれる
  4. 23-27節ダゴンの祭りと、見せ物にされるサムソン
  5. 28-31節最後の祈りと、サムソンの死

1サムソンはガザへ行って、そこでひとりの遊女を見、その女のところにはいった。

2「サムソンがここにきた」と、ガザの人々に告げるものがあったので、ガザの人々はその所を取り囲み、夜通し町の門で待ち伏せし、「われわれは朝まで待って彼を殺そう」と言って、夜通し静かにしていた。

3サムソンは夜中まで寝たが、夜中に起きて、町の門のとびらと二つの門柱に手をかけて、貫の木もろともに引き抜き、肩に載せて、ヘブロンの向かいにある山の頂に運んで行った。

4この後、サムソンはソレクの谷にいるデリラという女を愛した。

5ペリシテびとの君たちはその女のところにきて言った、「あなたはサムソンを説きすすめて、彼の大力はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば彼に勝って、彼を縛り苦しめることができるかを見つけなさい。そうすればわれわれはおのおの銀千百枚ずつをあなたにさしあげましょう」。

6そこでデリラはサムソンに言った、「あなたの大力はどこにあるのか、またどうすればあなたを縛って苦しめることができるか、どうぞわたしに聞かせてください」。

7サムソンは女に言った、「人々がもし、かわいたことのない七本の新しい弓弦をもってわたしを縛るなら、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。

8そこでペリシテびとの君たちが、かわいたことのない七本の新しい弓弦を女に持ってきたので、女はそれをもってサムソンを縛った。

9女はかねて奥のへやに人を忍ばせておいて、サムソンに言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンはその弓弦を、あたかも亜麻糸が火にあって断たれるように断ち切った。こうして彼の力の秘密は知れなかった。

10デリラはサムソンに言った、「あなたはわたしを欺いて、うそを言いました。どうしたらあなたを縛ることができるか、どうぞ今わたしに聞かせてください」。

11サムソンは女に言った、「もし人々がまだ用いたことのない新しい綱をもって、わたしを縛るなら、弱くなってほかの人のようになるでしょう」。

12そこでデリラは新しい綱をとり、それをもって彼を縛り、そして彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。時に人々は奥のへやに忍んでいたが、サムソンはその綱を糸のように腕から断ち落した。

13そこでデリラはサムソンに言った、「あなたは今まで、わたしを欺いて、うそを言いましたが、どうしたらあなたを縛ることができるか、わたしに聞かせてください」。彼は女に言った、「あなたがもし、わたしの髪の毛七ふさを機の縦糸と一緒に織って、くぎでそれを留めておくならば、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。そこで彼が眠ったとき、デリラはサムソンの髪の毛、七ふさをとって、それを機の縦糸に織り込み、

14くぎでそれを留めておいて、彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンは目をさまして、くぎと機と縦糸とを引き抜いた。

15そこで女はサムソンに言った、「あなたの心がわたしを離れているのに、どうして『おまえを愛する』と言うことができますか。あなたはすでに三度もわたしを欺き、あなたの大力がどこにあるかをわたしに告げませんでした」。

16女は毎日その言葉をもって彼に迫り促したので、彼の魂は死ぬばかりに苦しんだ。

17彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」。

18デリラはサムソンがその心をことごとく打ち明けたのを見、人をつかわしてペリシテびとの君たちを呼んで言った、「サムソンはその心をことごとくわたしに打ち明けましたから、今度こそ上っておいでなさい」。そこでペリシテびとの君たちは、銀を携えて女のもとに上ってきた。

19女は自分のひざの上にサムソンを眠らせ、人を呼んで髪の毛、七ふさをそり落させ、彼を苦しめ始めたが、その力は彼を去っていた。

20そして女が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」と言ったので、彼は目をさまして言った、「わたしはいつものように出て行って、からだをゆすろう」。彼は主が自分を去られたことを知らなかった。

21そこでペリシテびとは彼を捕えて、両眼をえぐり、ガザに引いて行って、青銅の足かせをかけて彼をつないだ。こうしてサムソンは獄屋の中で、うすをひいていたが、

22その髪の毛はそり落された後、ふたたび伸び始めた。

23さてペリシテびとの君たちは、彼らの神ダゴンに大いなる犠牲をささげて祝をしようと、共に集まって言った、「われわれの神は、敵サムソンをわれわれの手にわたされた」。

24民はサムソンを見て、自分たちの神をほめたたえて言った、「われわれの神は、われわれの国を荒し、われわれを多く殺した敵をわれわれの手にわたされた」。

25彼らはまた心に喜んで言った、「サムソンを呼んで、われわれのために戯れ事をさせよう」。彼らは獄屋からサムソンを呼び出して、彼らの前に戯れ事をさせた。彼らがサムソンを柱のあいだに立たせると、

26サムソンは自分の手をひいている若者に言った、「わたしの手を放して、この家をささえている柱をさぐらせ、それに寄りかからせてください」。

27その家には男女が満ち、ペリシテびとの君たちも皆そこにいた。また屋根の上には三千人ばかりの男女がいて、サムソンの戯れ事をするのを見ていた。

28サムソンは主に呼ばわって言った、「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」。

29そしてサムソンは、その家をささえている二つの中柱の一つを右の手に、一つを左の手にかかえて、身をそれに寄せ、

30「わたしはペリシテびとと共に死のう」と言って、力をこめて身をかがめると、家はその中にいた君たちと、すべての民の上に倒れた。こうしてサムソンが死ぬときに殺したものは、生きているときに殺したものよりも多かった。

31やがて彼の身内の人たちおよび父の家族の者がみな下ってきて、彼を引き取り、携え上って、ゾラとエシタオルの間にある父マノアの墓に葬った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十年であった。

鍵となる聖句

15節
そこで女はサムソンに言った、「あなたの心がわたしを離れているのに、どうして『おまえを愛する』と言うことができますか。あなたはすでに三度もわたしを欺き、あなたの大力がどこにあるかをわたしに告げませんでした」。

デリラは、サムソンが愛していると言いながら、その心は自分にないと責めます。この節は、堕落へ導く感情的な圧力と操作を示しています。

17節
彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」。

サムソンは心をすべて打ち明け、力が神へのささげものであることから来ると明かします。信頼してはならない人に、自分の召しの秘密を打ち明けてしまったのです。

22節
その髪の毛はそり落された後、ふたたび伸び始めた。

サムソンの髪がまた伸び始めます。この目立たない一言は、その後の展開を準備し、神がまだ彼を見放しておられないことを暗示しています。

28節
サムソンは主に呼ばわって言った、「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」。

サムソンは、最後にもう一度力を得るために主を呼び求めます。堕落の後に神へ向かう姿は、失敗の後にも祈りが可能であることを示しています。

この章に登場する人物

このテーマで祈る

説教が語っていること

士師記16章についてよくある質問

士師記16章のサムソンとデリラの物語はどういう意味ですか

この物語は、神にささげられ、並外れた力を持つ人が、女性のしつこい圧力に屈して、召しの秘密を明かしてしまう姿を描いています。誘惑と戯れ、自分のささげ物をおろそかにする危険を思い起こさせます。同時に、神が最後にもサムソンの祈りを聞かれたことも示しています。

なぜサムソンは士師記16章で力を失ったのですか

サムソンは、母の胎にいるときから神にささげられているので、かみそりを頭に当てたことがないと説明します。髪をそられると、力は彼から去りました。本文はこの喪失を、ささげ物が破られたことに結びつけています。力は髪そのものではなく、神から来ていたのです。

士師記16章でサムソンはどのように死にましたか

ペリシテ人は彼をあざけるために、ダゴンの神殿へ連れて来させます。サムソンは主を呼び求め、中央の二本の柱を抱えて、ペリシテ人と共に死なせてくださいと言います。神殿は崩れ、彼は多くの敵と共に死にます。兄弟たちは彼を父の墓に葬りました。

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