聖書 — 口語訳 (1955)
申命記 31
概要
申命記31章は、約束の地に入る前のモーセの最後のときを語ります。百二十歳のモーセは、自分はヨルダン川を渡らないが、神が民の先に立って進まれると告げます。彼はイスラエルを励まし、後継者ヨシュアを励まします。モーセは律法をレビ人と長老たちに託し、そのあと神は会見の天幕で、民が彼の死後に背くと警告し、証人となる歌を書くよう命じられます。この章には、希望と冷静な洞察が入り混じっています。
この章の4つの区分
1そこでモーセは続いてこの言葉をイスラエルのすべての人に告げて、
2彼らに言った、「わたしは、きょう、すでに百二十歳になり、もはや出入りすることはできない。また主はわたしに『おまえはこのヨルダンを渡ることはできない』と言われた。
3あなたの神、主はみずからあなたに先立って渡り、あなたの前から、これらの国々の民を滅ぼし去って、あなたにこれを獲させられるであろう。また主がかつて言われたように、ヨシュアはあなたを率いて渡るであろう。
4主がさきにアモリびとの王シホンとオグおよびその地にされたように、彼らにもおこなって彼らを滅ぼされるであろう。
5主は彼らをあなたがたに渡されるから、あなたがたはわたしが命じたすべての命令のとおりに彼らに行わなければならない。
6あなたがたは強く、かつ勇ましくなければならない。彼らを恐れ、おののいてはならない。あなたの神、主があなたと共に行かれるからである。主は決してあなたを見放さず、またあなたを見捨てられないであろう」。
7モーセはヨシュアを呼び、イスラエルのすべての人の目の前で彼に言った、「あなたはこの民と共に行き、主が彼らの先祖たちに与えると誓われた地に入るのであるから、あなたは強く、かつ勇ましくなければならない。あなたは彼らにそれを獲させるであろう。
8主はみずからあなたに先立って行き、またあなたと共におり、あなたを見放さず、見捨てられないであろう。恐れてはならない、おののいてはならない」。
9モーセはこの律法を書いて、主の契約の箱をかつぐレビの子孫である祭司およびイスラエルのすべての長老たちに授けた。
10そしてモーセは彼らに命じて言った、「七年の終りごとに、すなわち、ゆるしの年の定めの時になり、かりいおの祭に、
11イスラエルのすべての人があなたの神、主の前に出るため、主の選ばれる場所に来るとき、あなたはイスラエルのすべての人の前でこの律法を読んで聞かせなければならない。
12すなわち男、女、子供およびあなたの町のうちに寄留している他国人など民を集め、彼らにこれを聞かせ、かつ学ばせなければならない。そうすれば彼らはあなたがたの神、主を恐れてこの律法の言葉を、ことごとく守り行うであろう。
13また彼らの子供たちでこれを知らない者も聞いて、あなたがたの神、主を恐れることを学ぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡って行って取る地にながらえる日のあいだ常にそうしなければならない」。
14主はまたモーセに言われた、「あなたの死ぬ日が近づいている。ヨシュアを召して共に会見の幕屋に立ちなさい。わたしは彼に務を命じるであろう」。モーセとヨシュアが行って会見の幕屋に立つと、
15主は幕屋で雲の柱のうちに現れられた。その雲の柱は幕屋の入口のかたわらにとどまった。
16主はモーセに言われた、「あなたはまもなく眠って先祖たちと一緒になるであろう。そのときこの民はたちあがり、はいって行く地の異なる神々を慕って姦淫を行い、わたしを捨て、わたしが彼らと結んだ契約を破るであろう。
17その日には、わたしは彼らにむかって怒りを発し、彼らを捨て、わたしの顔を彼らに隠すゆえに、彼らは滅ぼしつくされ、多くの災と悩みが彼らに臨むであろう。そこでその日、彼らは言うであろう、『これらの災がわれわれに臨むのは、われわれの神がわれわれのうちにおられないからではないか』。
18しかも彼らがほかの神々に帰して、もろもろの悪を行うゆえに、わたしはその日には必ずわたしの顔を隠すであろう。
19それであなたがたは今、この歌を書きしるし、イスラエルの人々に教えてその口に唱えさせ、この歌をイスラエルの人々に対するわたしのあかしとならせなさい。
20わたしが彼らの先祖たちに誓った、乳と蜜の流れる地に彼らを導き入れる時、彼らは食べて飽き、肥え太るに及んで、ほかの神々に帰し、それに仕えて、わたしを軽んじ、わたしの契約を破るであろう。
21こうして多くの災と悩みとが彼らに臨む時、この歌は彼らに対して、あかしとなるであろう。(それはこの歌が彼らの子孫の口にあって、彼らはそれを忘れないからである。)わたしが誓った地に彼らを導き入れる前、すでに彼らが思いはかっている事をわたしは知っているからである」。
22モーセはその日、この歌を書いてイスラエルの人々に教えた。
23主はヌンの子ヨシュアに命じて言われた、「あなたはイスラエルの人々をわたしが彼らに誓った地に導き入れなければならない。それゆえ強くかつ勇ましくあれ。わたしはあなたと共にいるであろう」。
24モーセがこの律法の言葉を、ことごとく書物に書き終った時、
25モーセは主の契約の箱をかつぐレビびとに命じて言った、
26「この律法の書をとって、あなたがたの神、主の契約の箱のかたわらに置き、その所であなたにむかってあかしをするものとしなさい。
27わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知っている。きょう、わたしが生きながらえて、あなたがたと一緒にいる間ですら、あなたがたは主にそむいた。ましてわたしが死んだあとはどんなであろう。
28あなたがたの部族のすべての長老たちと、つかさたちをわたしのもとに集めなさい。わたしはこれらの言葉を彼らに語り聞かせ、天と地とを呼んで彼らにむかってあかしさせよう。
29わたしは知っている。わたしが死んだのち、あなたがたは必ず悪い事をして、わたしが命じた道を離れる。そして後の日に災があなたがたに臨むであろう。これは主の悪と見られることを行い、あなたがたのすることをもって主を怒らせるからである」。
30そしてモーセはイスラエルの全会衆に次の歌の言葉を、ことごとく語り聞かせた。
鍵となる聖句
あなたがたは強く、かつ勇ましくなければならない。彼らを恐れ、おののいてはならない。あなたの神、主があなたと共に行かれるからである。主は決してあなたを見放さず、またあなたを見捨てられないであろう」。
モーセは勇気を命じますが、それを約束の上に据えます。主ご自身が民とともに歩まれ、見放さず、見捨てない。勇気は民の強さから来るのではなく、神の臨在から来ます。
モーセはヨシュアを呼び、イスラエルのすべての人の目の前で彼に言った、「あなたはこの民と共に行き、主が彼らの先祖たちに与えると誓われた地に入るのであるから、あなたは強く、かつ勇ましくなければならない。あなたは彼らにそれを獲させるであろう。 主はみずからあなたに先立って行き、またあなたと共におり、あなたを見放さず、見捨てられないであろう。恐れてはならない、おののいてはならない」。
モーセは全イスラエルの前でヨシュアに約束を繰り返します。継承は公の場で行われ、モーセは自分を前に出しません。先に進み、後継者とともにとどまられる神を指し示します。
それであなたがたは今、この歌を書きしるし、イスラエルの人々に教えてその口に唱えさせ、この歌をイスラエルの人々に対するわたしのあかしとならせなさい。
神は歌を書いて、イスラエルの子らに教えるよう命じられます。民が忘れたとき、それが証人となります。神の記憶は、ことば、賛美、教えによって受け継がれます。
主はヌンの子ヨシュアに命じて言われた、「あなたはイスラエルの人々をわたしが彼らに誓った地に導き入れなければならない。それゆえ強くかつ勇ましくあれ。わたしはあなたと共にいるであろう」。
神はヨシュアに直接語りかけて任命されます。強くあれ。あなたがイスラエルをその地に導き入れるのだ。わたしがあなたとともにいる。
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説教が語っていること
申命記31章についてよくある質問
申命記31章6節は何を意味しますか
モーセはイスラエルに、強くあれと言います。主ご自身がともに歩まれ、民を見捨てないからです。聖書の勇気は、自分を強いと思い込むことではなく、神の真実な臨在に支えられることです。この節は、先の見えない段階に入る人々のためによく引かれます。
なぜモーセは約束の地に入らないのですか
2節で、モーセは、ヨルダン川を渡らないと神から言われたことを思い起こします。そして、バトンをヨシュアに渡します。この章は理由を詳しく述べていません。それはモーセ五書の別の箇所に記されています。ただ、苦々しさなしに次を備えるモーセの姿を示しています。
申命記31章の中心的なメッセージは何ですか
神は、指導者が替わっても、ご自分の民の先に立って進まれるお方です。この章は、勇気、信仰の継承、律法の記憶へと招きます。また冷静でもあります。神は民が迷い出ることを知っておられ、証人としての歌を備えられます。
申命記 31を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。