聖書 — 口語訳 (1955)
申命記 30
概要
申命記30章は、カナンに入る前のモーセの大きな説教を締めくくります。たとえ諸国民の中に散らされても、民は主に立ち帰ることができ、主はあわれんで彼らを集めてくださると告げます。神は心に割礼を施し、民が心から主を愛するようにしてくださると約束されます。次にモーセは、律法は遠くにも手の届かないところにもないと語り、イスラエルに選択を迫ります。命と幸いか、死とわざわいか。最後は厳かな招きで終わります。命を選びなさい。
この章の3つの区分
1わたしがあなたがたの前に述べたこのもろもろの祝福と、のろいの事があなたに臨み、あなたがあなたの神、主に追いやられたもろもろの国民のなかでこの事を心に考えて、
2あなたもあなたの子供も共にあなたの神、主に立ち帰り、わたしが、きょう、命じるすべてのことにおいて、心をつくし、精神をつくして、主の声に聞き従うならば、
3あなたの神、主はあなたを再び栄えさせ、あなたをあわれみ、あなたの神、主はあなたを散らされた国々から再び集められるであろう。
4たといあなたが天のはてに追いやられても、あなたの神、主はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ帰られるであろう。
5あなたの神、主はあなたの先祖が所有した地にあなたを帰らせ、あなたはそれを所有するに至るであろう。主はまたあなたを栄えさせ、数を増して先祖たちよりも多くされるであろう。
6そしてあなたの神、主はあなたの心とあなたの子孫の心に割礼を施し、あなたをして、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主を愛させ、こうしてあなたに命を得させられるであろう。
7あなたの神、主はまた、あなたを迫害する敵と、あなたを憎む者とに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。
8しかし、あなたは再び主の声に聞き従い、わたしが、きょう、あなたに命じるすべての戒めを守るであろう。
9そうすればあなたの神、主はあなたのするすべてのことと、あなたの身から生れる者と、家畜の産むものと、地に産する物を豊かに与えて、あなたを栄えさせられるであろう。すなわち主はあなたの先祖たちを喜ばれたように再びあなたを喜んで、あなたを栄えさせられるであろう。
10これはあなたが、あなたの神、主の声に聞きしたがい、この律法の書にしるされた戒めと定めとを守り、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主に帰するからである。
11わたしが、きょう、あなたに命じるこの戒めは、むずかしいものではなく、また遠いものでもない。
12これは天にあるのではないから、『だれがわれわれのために天に上り、それをわれわれのところへ持ってきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。
13またこれは海のかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海を渡って行き、それをわれわれのところへ携えてきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。
14この言葉はあなたに、はなはだ近くあってあなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる。
15見よ、わたしは、きょう、命とさいわい、および死と災をあなたの前に置いた。
16すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神、主を愛し、その道に歩み、その戒めと定めと、おきてとを守ることを命じる。それに従うならば、あなたは生きながらえ、その数は多くなるであろう。またあなたの神、主はあなたが行って取る地であなたを祝福されるであろう。
17しかし、もしあなたが心をそむけて聞き従わず、誘われて他の神々を拝み、それに仕えるならば、
18わたしは、きょう、あなたがたに告げる。あなたがたは必ず滅びるであろう。あなたがたはヨルダンを渡り、はいって行って取る地でながく命を保つことができないであろう。
19わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対する証人とする。わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。
20すなわちあなたの神、主を愛して、その声を聞き、主につき従わなければならない。そうすればあなたは命を得、かつ長く命を保つことができ、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地に住むことができるであろう」。
鍵となる聖句
たといあなたが天のはてに追いやられても、あなたの神、主はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ帰られるであろう。
地の果てに追われた民も、神の手の届かないところにはいません。神は集め、ご自身で自分の民を連れ戻してくださると約束されます。
そしてあなたの神、主はあなたの心とあなたの子孫の心に割礼を施し、あなたをして、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主を愛させ、こうしてあなたに命を得させられるであろう。
神は心に割礼を施すと約束されます。内側を造り変え、神を愛することが可能になるようにしてくださるのです。新約聖書は、これを御霊のみわざと見ます。
この言葉はあなたに、はなはだ近くあってあなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる。
神の言葉は遠くにあるのではなく、口にあり、心にあって、行うためのものです。パウロはローマ人への手紙10章で、これを信仰について引用します。
わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対する証人とする。わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。
モーセは天と地を証人に立て、問題を一つの単純な命令にまとめます。「あなたは命を選ばなければならない」。この選びは、神を愛し、神に聞き従い、神にすがることとして表れます。
このテーマで祈る
説教が語っていること
申命記30章についてよくある質問
申命記30章19節の、命を選びなさいとはどういう意味ですか。
モーセはイスラエルの前に二つの道、すなわち命と幸い、あるいは死とわざわいを置き、命を選ぶよう招きます。本文では、この具体的な選びは、主を愛し、その声に聞き従い、主にすがることです。キリスト者はこれを神に向かうようにとの招きと受け取り、新約聖書はそれがイエス・キリストにおいて与えられたと示します。
申命記30章のメッセージは何ですか。
この章は、失敗と捕囚のあとでも神のもとに帰ることはいつでもできると語ります。神はあわれみ、集めること、造り変えられた心を約束されます。また神の言葉は手の届くところにあると告げ、はっきりとした選択を求めます。ですからこの章には、働いてくださる神の恵みと、応える民の責任がともに語られています。
6節の心の割礼とはどういう意味ですか。
この言葉は、神ご自身が行ってくださる内面の変化を指し、民が心を尽くして神を愛するようになるためのものです。体の割礼は契約のしるしでしたが、神が望んでおられるのは素直な心です。キリスト者は、この約束を新しい契約と聖霊のみわざに結びつけて理解します。
申命記 30を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。