聖書 — 口語訳 (1955)
サムエル記上 13
概要
サムエル記上13章は、サウルの治世が傾く場面を語ります。イスラエルは、はるかに優勢なペリシテの軍勢に脅かされ、民は恐れて散っていきます。サムエルがギルガルに来るのが遅れ、サウルは自分で燔祭をささげてしまいます。それは彼の役目ではありませんでした。サムエルは彼をとがめます。王国は続かない。主はご自分の心にかなう人を求められたからです。章は、武器を持たない民の姿で終わり、イスラエルがどれほど無力であったかを示します。
この章の3つの区分
1サウルは三十歳で王の位につき、二年イスラエルを治めた。
2さてサウルはイスラエルびと三千を選んだ。二千はサウルと共にミクマシ、およびベテルの山地におり、一千はヨナタンと共にベニヤミンのギベアにいた。サウルはその他の民を、おのおの、その天幕に帰らせた。
3ヨナタンは、ゲバにあるペリシテびとの守備兵を敗った。ペリシテびとはそのことを聞いた。そこで、サウルは国中に、あまねく角笛を吹きならして言わせた、「ヘブルびとよ、聞け」。
4イスラエルの人は皆、サウルがペリシテびとの守備兵を敗ったこと、そしてイスラエルがペリシテびとに憎まれるようになったことを聞いた。こうして民は召されて、ギルガルのサウルのもとに集まった。
5ペリシテびとはイスラエルと戦うために集まった。戦車三千、騎兵六千、民は浜べの砂のように多かった。彼らは上ってきて、ベテアベンの東のミクマシに陣を張った。
6イスラエルびとは、ひどく圧迫され、味方が危くなったのを見て、ほら穴に、縦穴に、岩に、墓に、ため池に身を隠した。
7また、あるヘブルびとはヨルダンを渡って、ガドとギレアデの地へ行った。しかしサウルはなおギルガルにいて、民はみな、ふるえながら彼に従った。
8サウルは、サムエルが定めたように、七日のあいだ待ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、民は彼を離れて散って行った。
9そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。
10その燔祭をささげ終ると、サムエルがきた。サウルはあいさつをしようと、彼を迎えに出た。
11その時サムエルは言った、「あなたは何をしたのですか」。サウルは言った、「民はわたしを離れて散って行き、あなたは定まった日のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに集まったのを見たので、
12わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。
13サムエルはサウルに言った、「あなたは愚かなことをした。あなたは、あなたの神、主の命じられた命令を守らなかった。もし守ったならば、主は今あなたの王国を長くイスラエルの上に確保されたであろう。
14しかし今は、あなたの王国は続かないであろう。主は自分の心にかなう人を求めて、その人に民の君となることを命じられた。あなたが主の命じられた事を守らなかったからである」。
15こうしてサムエルは立って、ギルガルからベニヤミンのギベアに上っていった。サウルは共にいる民を数えてみたが、おおよそ六百人あった。
16サウルとその子ヨナタン、ならびに、共にいる民は、ベニヤミンのゲバにおり、ペリシテびとはミクマシに陣を張っていた。
17そしてペリシテびとの陣から三つの部隊にわかれた略奪隊が出てきて、一部隊はオフラの方に向かって、シュアルの地に行き、
18一部隊はベテホロンの方に向かい、一部隊は荒野の方のゼボイムの谷を見おろす境の方に向かった。
19そのころ、イスラエルの地にはどこにも鉄工がいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりも造ってはならない」と言ったからである。
20ただしイスラエルの人は皆、そのすきざき、くわ、おの、かまに刃をつけるときは、ペリシテびとの所へ下って行った。
21すきざきと、くわのための料金は一ピムであり、おのに刃をつけるのと、とげのあるむちを直すのは三分の一シケルであった。
22それでこの戦いの日には、サウルおよびヨナタンと共にいた民の手には、つるぎもやりもなく、ただサウルとその子ヨナタンとがそれを持っていた。
23ペリシテびとの先陣はミクマシの渡りに進み出た。
鍵となる聖句
サウルは、サムエルが定めたように、七日のあいだ待ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、民は彼を離れて散って行った。 そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。
サウルは七日間待ちますが、ついに忍耐が尽きます。民が散っていくのを見て、自ら燔祭をささげます。その判断は恐れから出たものですが、神が定められた一線を越えてしまいました。
わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。
サウルは、主の恵みを求めるため、やむを得ずしたのだと自分の行いを弁明します。もっともらしく聞こえますが、従順よりも自分の判断を優先していたことを表しています。
サムエルはサウルに言った、「あなたは愚かなことをした。あなたは、あなたの神、主の命じられた命令を守らなかった。もし守ったならば、主は今あなたの王国を長くイスラエルの上に確保されたであろう。 しかし今は、あなたの王国は続かないであろう。主は自分の心にかなう人を求めて、その人に民の君となることを命じられた。あなたが主の命じられた事を守らなかったからである」。
サムエルは、サウルが愚かなことをしたと告げます。王国は確かなものとされるはずだったのに、続かなくなります。「主は自分の心にかなう人を求めて」とあり、その人は、この書の続きでダビデに当てはまります。
そのころ、イスラエルの地にはどこにも鉄工がいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりも造ってはならない」と言ったからである。 ただしイスラエルの人は皆、そのすきざき、くわ、おの、かまに刃をつけるときは、ペリシテびとの所へ下って行った。 すきざきと、くわのための料金は一ピムであり、おのに刃をつけるのと、とげのあるむちを直すのは三分の一シケルであった。 それでこの戦いの日には、サウルおよびヨナタンと共にいた民の手には、つるぎもやりもなく、ただサウルとその子ヨナタンとがそれを持っていた。
ペリシテ人は鍛冶屋を押さえることで、イスラエルが武器を作るのを防いでいました。民は無力であり、この箇所は、勝利が力から来るのではない物語を準備します。
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説教が語っていること
サムエル記上13章についてよくある質問
サムエル記上13章でのサウルの罪は何ですか。
サムエルが来るのが遅れ、民が散っていったので、サウルはギルガルで自ら燔祭をささげました。サムエルは、主の命じられた命令を守らなかったと彼をとがめます。本文は彼の過ちを、恐れと焦りに結びつけています。神の使者を待つよりも、自分のやり方で行うことを選び、続くはずの王国を失ったのです。
サムエル記上13章14節の「自分の心にかなう人」とはどういう意味ですか。
心が神に向き、神に従う備えのある人を指します。過ちがない人という意味ではありません。この書の続きは、それをダビデに当てはめています。ダビデは、名声ではなく心のあり方によって選ばれました。神がまず求められるのは、ご自身の心に合わされた心です。
なぜサウルは王国を失ったのですか。
サムエルによれば、主の命じられた命令を守らなかったからです。神が時を定めておられたのに、待たずに犠牲をささげました。本文は、王国が永遠に確かなものとされ得たと述べています。これを従順の試験と見る人もいれば、試練の中で神への信頼を欠いたと見る人もいます。
なぜイスラエルには剣がなかったのですか(サムエル記上13章19節から22節)。
ペリシテ人は金属の加工を支配し、ヘブル人が鍛冶屋を持つことを妨げていました。そのためイスラエル人は、道具を研ぐのにペリシテ人のところへ下らなければなりませんでした。戦いの日には、剣や槍を持っていたのはサウルとヨナタンだけでした。これは、よく武装した敵を前にしたイスラエルの弱さを示しています。
サムエル記上 13を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。