聖書 — 口語訳 (1955)

サムエル記下 12

概要

バテシバとの姦淫とウリヤの殺害のあと、神は預言者ナタンをダビデのもとに遣わされます。ナタンは、富んだ人が貧しい人の小羊を取り上げるというたとえ話によって、王が自分自身をさばくように導き、そして、あなたがその人だと告げます。ダビデは自分の罪を認めて赦しを受けますが、その結果は残ります。子は死に、この出来事は彼の家に影を落とします。章は、ソロモンの誕生とラバの攻略で終わります。

この章の5つの区分

  1. 1-6節ナタンのたとえ話:富んだ人と貧しい人の小羊
  2. 7-14節あなたがその人だ:さばき、告白、そして赦し
  3. 15-23節ダビデは子のために祈り、そしてその死を受け入れる
  4. 24-25節主に愛されたソロモンの誕生
  5. 26-31節アンモン人の町ラバの攻略

1主はナタンをダビデにつかわされたので、彼はダビデの所にきて言った、「ある町にふたりの人があって、ひとりは富み、ひとりは貧しかった。

2富んでいる人は非常に多くの羊と牛を持っていたが、

3貧しい人は自分が買った一頭の小さい雌の小羊のほかは何も持っていなかった。彼がそれを育てたので、その小羊は彼および彼の子供たちと共に成長し、彼の食物を食べ、彼のわんから飲み、彼のふところで寝て、彼にとっては娘のようであった。

4時に、ひとりの旅びとが、その富んでいる人のもとにきたが、自分の羊または牛のうちから一頭を取って、自分の所にきた旅びとのために調理することを惜しみ、その貧しい人の小羊を取って、これを自分の所にきた人のために調理した」。

5ダビデはその人の事をひじょうに怒ってナタンに言った、「主は生きておられる。この事をしたその人は死ぬべきである。

6かつその人はこの事をしたため、またあわれまなかったため、その小羊を四倍にして償わなければならない」。

7ナタンはダビデに言った、「あなたがその人です。イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とし、あなたをサウルの手から救いだし、

8あなたに主人の家を与え、主人の妻たちをあなたのふところに与え、またイスラエルとユダの家をあなたに与えた。もし少なかったならば、わたしはもっと多くのものをあなたに増し加えたであろう。

9どうしてあなたは主の言葉を軽んじ、その目の前に悪事をおこなったのですか。あなたはつるぎをもってヘテびとウリヤを殺し、その妻をとって自分の妻とした。すなわちアンモンの人々のつるぎをもって彼を殺した。

10あなたがわたしを軽んじてヘテびとウリヤの妻をとり、自分の妻としたので、つるぎはいつまでもあなたの家を離れないであろう』。

11主はこう仰せられる、『見よ、わたしはあなたの家からあなたの上に災を起すであろう。わたしはあなたの目の前であなたの妻たちを取って、隣びとに与えるであろう。その人はこの太陽の前で妻たちと一緒に寝るであろう。

12あなたはひそかにそれをしたが、わたしは全イスラエルの前と、太陽の前にこの事をするのである』」。

13ダビデはナタンに言った、「わたしは主に罪をおかしました」。ナタンはダビデに言った、「主もまたあなたの罪を除かれました。あなたは死ぬことはないでしょう。

14しかしあなたはこの行いによって大いに主を侮ったので、あなたに生れる子供はかならず死ぬでしょう」。

15こうしてナタンは家に帰った。さて主は、ウリヤの妻がダビデに産んだ子を撃たれたので、病気になった。

16ダビデはその子のために神に嘆願した。すなわちダビデは断食して、へやにはいり終夜地に伏した。

17ダビデの家の長老たちは、彼のかたわらに立って彼を地から起そうとしたが、彼は起きようとはせず、また彼らと一緒に食事をしなかった。

18七日目にその子は死んだ。ダビデの家来たちはその子が死んだことをダビデに告げるのを恐れた。それは彼らが、「見よ、子のなお生きている間に、われわれが彼に語ったのに彼はその言葉を聞きいれなかった。どうして彼にその子の死んだことを告げることができようか。彼は自らを害するかも知れない」と思ったからである。

19しかしダビデは、家来たちが互にささやき合うのを見て、その子の死んだのを悟り、家来たちに言った、「子は死んだのか」。彼らは言った、「死なれました」。

20そこで、ダビデは地から起き上がり、身を洗い、油をぬり、その着物を替えて、主の家にはいって拝した。そののち自分の家に行き、求めて自分のために食物を備えさせて食べた。

21家来たちは彼に言った、「あなたのなさったこの事はなんでしょうか。あなたは子の生きている間はその子のために断食して泣かれました。しかし子が死ぬと、あなたは起きて食事をなさいました」。

22ダビデは言った、「子の生きている間に、わたしが断食して泣いたのは、『主がわたしをあわれんで、この子を生かしてくださるかも知れない』と思ったからです。

23しかし今は死んだので、わたしはどうして断食しなければならないでしょうか。わたしは再び彼をかえらせることができますか。わたしは彼の所に行くでしょうが、彼はわたしの所に帰ってこないでしょう」。

24ダビデは妻バテシバを慰め、彼女の所にはいって、彼女と共に寝たので、彼女は男の子を産んだ。ダビデはその名をソロモンと名づけた。主はこれを愛された。

25そして預言者ナタンをつかわし、命じてその名をエデデアと呼ばせられた。

26さてヨアブはアンモンの人々のラバを攻めて王の町を取った。

27ヨアブは使者をダビデにつかわして言った、「わたしはラバを攻めて水の町を取りました。

28あなたは今、残りの民を集め、この町に向かって陣をしき、これを取りなさい。わたしがこの町を取って、人がわたしの名をもって、これを呼ぶようにならないためです」。

29そこでダビデは民をことごとく集めてラバへ行き、攻めてこれを取った。

30そしてダビデは彼らの王の冠をその頭から取りはなした。それは金で重さは一タラントであった。宝石がはめてあり、それをダビデの頭に置いた。ダビデはその町からぶんどり物を非常に多く持ち出した。

31またダビデはそのうちの民を引き出して、彼らをのこぎりや、鉄のつるはし、鉄のおのを使う仕事につかせ、また、れんが造りの労役につかせた。彼はアンモンの人々のすべての町にこのようにした。そしてダビデと民とは皆エルサレムに帰った。

鍵となる聖句

7節
ナタンはダビデに言った、「あなたがその人です。イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とし、あなたをサウルの手から救いだし、

ナタンは物語から人へと進みます。あなたがその人だ、と。預言者は一般的な教訓にとどまらず、力ある王をあえて正面から諭します。ダビデを救うのは、この率直な言葉です。

13節
ダビデはナタンに言った、「わたしは主に罪をおかしました」。ナタンはダビデに言った、「主もまたあなたの罪を除かれました。あなたは死ぬことはないでしょう。

ダビデの告白は短く、言い訳がありません。私は主に罪を犯しました。ナタンの答えも同じく簡潔です。主はあなたの罪を除かれた、あなたは死なない。赦しはすぐに与えられます。

14節
しかしあなたはこの行いによって大いに主を侮ったので、あなたに生れる子供はかならず死ぬでしょう」。

赦しは、すべての結果を取り去るわけではありません。ここでは結果が重く、子に及びます。本文は、指導者の罪が公の影響を及ぼすことを思い起こさせます。

23節
しかし今は死んだので、わたしはどうして断食しなければならないでしょうか。わたしは再び彼をかえらせることができますか。わたしは彼の所に行くでしょうが、彼はわたしの所に帰ってこないでしょう」。

子が死んだあと、ダビデは、もう断食して何になるのかと問い、自分がその子のところへ行くのだと言います。彼は恨みなく喪失を受け入れます。この言葉の正確な意味については、読み手の間で意見が分かれます。

24節
ダビデは妻バテシバを慰め、彼女の所にはいって、彼女と共に寝たので、彼女は男の子を産んだ。ダビデはその名をソロモンと名づけた。主はこれを愛された。

ソロモンは、喪が明けたあと、ダビデとバテシバの間に生まれます。本文は、彼が主に愛されたと述べています。これは、過ちがあっても神がみわざを続けておられるしるしです。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

サムエル記下12章についてよくある質問

サムエル記下12章7節のあなたがその人だとはどういう意味ですか

ナタンはダビデに、富んだ人が貧しい人のたった一頭の小羊を取り上げた話をします。ダビデは憤り、そこで預言者は、その人こそダビデ自身だと告げます。たとえ話は、ダビデが自分の行いを認める前に、まずそれをさばくように導きました。この物語は、勇気と知恵をもって語られた真実が、眠っていた良心に届くことを示しています。

神は赦されるのに、なぜダビデの子は死ぬのですか

13節は赦しを告げ、14節は結果を告げます。本文はそれ以上説明していません。多くの人はそこに、赦しと結果の区別を見ます。神は罪を赦されますが、その影響を消し去られるわけではないということです。この物語は、子どもの苦しみを前にして、安易な説明よりも慎重さを促しています。

サムエル記下12章は悔い改めについて何を教えていますか

ダビデは言い訳をせず、認めます。私は主に罪を犯しました。赦しはただちに告げられます。そのあと彼は祈り、結果を受け入れ、立ち上がって礼拝します。聖書的な悔い改めは後悔だけではなく、神の前で罪を認め、神のもとへ立ち返ることです。詩篇51篇は、伝統的にこの出来事と結びつけられています。

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