聖書 — 口語訳 (1955)

マルコによる福音書 13

概要

マルコ13章は、宮が崩されるという予告のあと、オリブ山でイエスが語られた説教を記しています。四人の弟子が、それはいつ起こるのかと尋ねます。イエスは惑わす者たちに警戒するよう語り、戦争にあわてないよう教え、迫害と大きな患難、そして大いなる力と栄光をもって人の子が来ることを告げられます。いちじくの木のたとえは見分けることを促しますが、その日、その時はだれも知りません。章は、繰り返される一つの命令で結ばれます。目をさましていなさい。

この章の6つの区分

  1. 1-4節宮の石と、弟子たちの問い
  2. 5-13節惑わし、戦争、迫害:これは産みの苦しみの初めにすぎない
  3. 14-23節荒らす憎むべきものと、大きな患難
  4. 24-27節人の子の来臨
  5. 28-31節いちじくの木のたとえ
  6. 32-37節その日はだれも知らない:目をさましていなさい

1イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。

2イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。

3またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。

4「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。

5そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。

6多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。

7また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。

8民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。

9あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。

10こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。

11そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。

12また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。

13また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。

14荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。

15屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。

16畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。

17その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。

18この事が冬おこらぬように祈れ。

19その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。

20もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。

21そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。

22にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。

23だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。

24その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、

25星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。

26そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。

27そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。

28いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。

29そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。

30よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。

31天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。

32その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。

33気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。

34それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。

35だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。

36あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。

37目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。

鍵となる聖句

7-8節
また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。

戦争や災害は、終わりが来たという意味ではありません。イエスはこれを産みの苦しみの初めと呼ばれ、あわてないようにと勧めておられます。

13節
また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。

憎しみと迫害のただ中で、イエスは、最後まで耐え忍ぶ者は救われると約束されます。強調されているのは、試練の中での忠実さです。

31節
天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。

すべては過ぎ去りますが、イエスのことばは滅びません。この確かさが、待つ間、弟子を支えます。

32節
その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。

終わりの日と時を知っておられるのは、ただ父だけです。この節は、日付の計算を戒め、求められている態度、つまり備えることへと立ち返らせます。

37節
目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。

この説教の結びは、目をさましていなさいという呼びかけです。それは、おびえることではなく、待つ間も忠実に仕え続けることです。

説教が語っていること

マルコによる福音書13章についてよくある質問

マルコ13章は何を意味していますか。

マルコ13章は、オリブ山でのイエスの説教です。イエスは宮の崩壊、惑わし、迫害、大きな患難、そして栄光のうちに来られることを告げ、目をさましていなさいと呼びかけます。これらの予告の読み方は、クリスチャンの間でも分かれていて、特に、紀元70年に関わる部分と、世の終わりに関わる部分をどう見るかが問われます。

マルコ13章14節の「荒らす憎むべきもの」とは何を意味していますか。

この表現はダニエル書に由来します。イエスは、「荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つ」のを見たら、ユダヤにいる人々は山へ逃げよと言われます。紀元70年のエルサレム崩壊と見る人、終わりの日の出来事と見る人、二重の成就と見る人がいます。聖書がとくに強調するのは、ためらわずに行動する緊急性です。

マルコ13章から、イエスの再臨の日を知ることはできますか。

できません。32節でイエスは、その日、その時は、天にいる御使たちも、子も知らず、ただ父だけが知っておられると言われます。この章は日程表ではなく、態度を示します。目をさまし、忠実であり続け、仕えることです。

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