聖書 — 口語訳 (1955)

詩篇 69

概要

詩篇69篇は切実な叫びです。ダビデは深い泥に沈み、大水に呑まれ、神を呼び求めて疲れ果てています。ゆえなく憎まれ、兄弟にとっても知らぬ者となりました。彼は自分の過ちを認め、神の家を思う熱心が自分を食いつくすと語ります。助けを求め、迫害する者への厳しい言葉も口にしますが、最後には賛美へと向かいます。新約聖書は、この詩篇をイエスに結びつけて引用しています。神殿を思う熱心と、渇きのときに差し出された酢です。

この章の5つの区分

  1. 1-5節水かさが増す:力尽きていく叫び
  2. 6-12節神の家を思う熱心と、受けるそしり
  3. 13-21節慰める者もなく、救いを求める祈り
  4. 22-29節迫害する者に対する正義への訴え
  5. 30-36節賛美と、苦しむ者への望み

1神よ、わたしをお救いください。大水が流れ来て、わたしの首にまで達しました。

2わたしは足がかりもない深い泥の中に沈みました。わたしは深い水に陥り、大水がわたしの上を流れ過ぎました。

3わたしは叫びによって疲れ、わたしののどはかわき、わたしの目は神を待ちわびて衰えました。

4ゆえなく、わたしを憎む者は わたしの頭の毛よりも多く、偽ってわたしの敵となり、わたしを滅ぼそうとする者は強いのです。わたしは盗まなかった物をも 償わなければならないのですか。

5神よ、あなたはわたしの愚かなことを 知っておられます。わたしのもろもろのとがは あなたに隠れることはありません。

6万軍の神、主よ、あなたを待ち望む者が わたしの事によって、はずかしめられることのないようにしてください。イスラエルの神よ、あなたを求める者が わたしの事によって、恥を負わせられることのないようにしてください。

7わたしはあなたのためにそしりを負い、恥がわたしの顔をおおったのです。

8わたしはわが兄弟には、知らぬ者となり、わが母の子らには、のけ者となりました。

9あなたの家を思う熱心がわたしを食いつくし、あなたをそしる者のそしりが わたしに及んだからです。

10わたしが断食をもってわたしの魂を悩ませば、かえってそれによってそしりをうけました。

11わたしが荒布を衣とすれば、かえって彼らのことわざとなりました。

12わたしは門に座する者の話題となり、酔いどれの歌となりました。

13しかし主よ、わたしはあなたに祈ります。神よ、恵みの時に、あなたのいつくしみの豊かなるにより、わたしにお答えください。

14あなたのまことの救により、わたしを泥の中に沈まぬよう助け出してください。わたしを憎む者から、また深い水からわたしを助け出してください。

15大水がわたしの上を流れ過ぎることなく、淵がわたしをのむことなく、穴がその口をわたしの上に閉じることのないように してください。

16主よ、あなたのいつくしみの深きにより、わたしにお答えください。あなたのあわれみの豊かなるにより、わたしを顧みてください。

17あなたの顔をしもべに隠さないでください。わたしは悩んでいるのです。すみやかにわたしにお答えください。

18わたしに近く寄って、わたしをあがない、わが敵のゆえにわたしをお救いください。

19あなたはわたしの受けるそしりと、恥と、はずかしめとを知っておられます。わたしのあだは皆あなたの前にあります。

20そしりがわたしの心を砕いたので、わたしは望みを失いました。わたしは同情する者を求めたけれども、ひとりもなく、慰める者を求めたけれども、ひとりも見ませんでした。

21彼らはわたしの食物に毒を入れ、わたしのかわいた時に酢を飲ませました。

22彼らの前の食卓を網とし、彼らが犠牲をささげる祭を、わなとしてください。

23彼らの目を暗くして見えなくし、彼らの腰を常に震わせ、

24あなたの憤りを彼らの上にそそぎ、あなたの激しい怒りを彼らに追いつかせてください。

25彼らの宿営を荒し、ひとりもその天幕に住まわせないでください。

26彼らはあなたが撃たれた者を迫害し、あなたが傷つけられた者をさらに苦しめるからです。

27彼らに、罰に罰を加え、あなたの赦免にあずからせないでください。

28彼らをいのちの書から消し去って、義人のうちに記録されることのないようにしてください。

29しかしわたしは悩み苦しんでいます。神よ、あなたの救が わたしを高い所に置かれますように。

30わたしは歌をもって神の名をほめたたえ、感謝をもって神をあがめます。

31これは雄牛または角とひずめのある雄牛にまさって 主を喜ばせるでしょう。

32へりくだる者は、これを見て喜べ。神を求める者よ、あなたがたの心を生きかえらせよ。

33主は乏しい者に聞き、その捕われ人をかろしめられないからである。

34天と地は主をほめたたえ、海とその中に動くあらゆるものは主をほめたたえよ。

35神はシオンを救い、ユダの町々を建て直されるからである。そのしもべらはそこに住んでこれを所有し、

36そのしもべらの子孫はこれを継ぎ、み名を愛する者はその中に住むであろう。

鍵となる聖句

9節
あなたの家を思う熱心がわたしを食いつくし、あなたをそしる者のそしりが わたしに及んだからです。

熱心とは、神の家を思う心の内なる火です。ヨハネによる福音書2章17節は、この言葉を、神殿から商人を追い出すイエスに当てはめています。

14-16節
あなたのまことの救により、わたしを泥の中に沈まぬよう助け出してください。わたしを憎む者から、また深い水からわたしを助け出してください。 大水がわたしの上を流れ過ぎることなく、淵がわたしをのむことなく、穴がその口をわたしの上に閉じることのないように してください。 主よ、あなたのいつくしみの深きにより、わたしにお答えください。あなたのあわれみの豊かなるにより、わたしを顧みてください。

深みのただ中で、ダビデは主に祈り、その恵みによりすがります。呑み込まれる前に、泥の中から引き上げてほしいと願います。

21節
彼らはわたしの食物に毒を入れ、わたしのかわいた時に酢を飲ませました。

苦い物と酢は、十字架上のイエスの苦しみを思い起こさせます(マタイ27章、ヨハネ19章)。渇きのときに、酢が差し出されました。

30-31節
わたしは歌をもって神の名をほめたたえ、感謝をもって神をあがめます。 これは雄牛または角とひずめのある雄牛にまさって 主を喜ばせるでしょう。

詩篇は嘆きから賛美の歌へと転じます。心からの賛美は、いけにえの動物にまさって神を喜ばせます。

説教が語っていること

詩篇69篇についてよくある質問

詩篇69篇はどんな意味ですか

ゆえなく憎まれ、押し流されそうな人が、神に救いを求める祈りです。詩人は神の家を思う熱心を語り、迫害する者に対する正義を求め、最後は賛美で結びます。新約聖書は、そこにイエスの苦しみの響きを見ています。

なぜ詩篇69篇はイエスについて引用されるのですか

福音書の著者たちは、この詩篇から二か所を引いています。「あなたの家を思う熱心」はヨハネ2章17節で、イエスが神殿を清める場面に用いられます。渇きのときに酢を飲ませる言葉は、十字架の場面と結びつけられます。詩篇はまずダビデを描いていますが、福音書はそれをイエスの光のもとで読んでいます。

詩篇69篇の敵に対する厳しい言葉をどう読めばよいですか

迫害する者を神がさばいてくださるようにという願いは、現実の痛みの表れです。自分で復讐せず、正義を神にゆだねています。クリスチャンはこれを、死刑執行人のために赦しを求め、敵を愛するよう教えられたイエスの光のもとで読みます。神の前で正直に祈ることは健全なことです。

つらい時期に詩篇69篇でどう祈ればよいですか

1節から3節を自分の状態の正直な描写として読み、そのまま神に伝えます。次に14節を祈りとして神にささげ、最後に30節と31節で、まだ答えが見えなくても先に感謝をささげて結びます。

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