聖書 — 口語訳 (1955)
テモテへの第一の手紙 6
概要
テモテへの第一の手紙の最後の章で、パウロは若い教会の指導者テモテに実際的な指示を与えます。仕事の場での敬意について語り、偽りの教師たちを戒め、足ることを知る心を伴った信心をたたえます。続いて、富を求める欲望の危険を警告し、信仰の戦いをりっぱに戦うようテモテに呼びかけ、富む人々への助言を述べます。最後は、委ねられたものを忠実に守るようにとの勧めで結ばれます。
この章の6つの区分
1くびきの下にある奴隷はすべて、自分の主人を、真に尊敬すべき者として仰ぐべきである。それは、神の御名と教とが、そしりを受けないためである。
2信者である主人を持っている者たちは、その主人が兄弟であるというので軽視してはならない。むしろ、ますます励んで仕えるべきである。その益を受ける主人は、信者であり愛されている人だからである。あなたは、これらの事を教えかつ勧めなさい。
3もし違ったことを教えて、わたしたちの主イエス・キリストの健全な言葉、ならびに信心にかなう教に同意しないような者があれば、
4彼は高慢であって、何も知らず、ただ論議と言葉の争いとに病みついている者である。そこから、ねたみ、争い、そしり、さいぎの心が生じ、
5また知性が腐って、真理にそむき、信心を利得と心得る者どもの間に、はてしのないいがみ合いが起るのである。
6しかし、信心があって足ることを知るのは、大きな利得である。
7わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。
8ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。
9富むことを願い求める者は、誘惑と、わなとに陥り、また、人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陷るのである。
10金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲ばって金銭を求めたため、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺しとおした。
11しかし、神の人よ。あなたはこれらの事を避けなさい。そして、義と信心と信仰と愛と忍耐と柔和とを追い求めなさい。
12信仰の戦いをりっぱに戦いぬいて、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたは、そのために召され、多くの証人の前で、りっぱなあかしをしたのである。
13わたしはすべてのものを生かして下さる神のみまえと、またポンテオ・ピラトの面前でりっぱなあかしをなさったキリスト・イエスのみまえで、あなたに命じる。
14わたしたちの主イエス・キリストの出現まで、その戒めを汚すことがなく、また、それを非難のないように守りなさい。
15時がくれば、祝福に満ちた、ただひとりの力あるかた、もろもろの王の王、もろもろの主の主が、キリストを出現させて下さるであろう。
16神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。
17この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように、
18また、良い行いをし、良いわざに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを喜び、
19こうして、真のいのちを得るために、未来に備えてよい土台を自分のために築き上げるように、命じなさい。
20テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして、俗悪なむだ話と、偽りの「知識」による反対論とを避けなさい。
21ある人々はそれに熱中して、信仰からそれてしまったのである。恵みが、あなたがたと共にあるように。
鍵となる聖句
しかし、信心があって足ることを知るのは、大きな利得である。 わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。 ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。
パウロは信心と足ることを知る心を結びつけます。持っているものは死のときに持って行けず、衣食があれば十分です。働くことも財産を持つことも責めず、それらに対して心が自由であるよう勧めています。
金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲ばって金銭を求めたため、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺しとおした。
この節は、金銭そのものが悪の根だと言っているのではありません。問題は金銭を愛すること、つまり心の執着であり、それは多くの悪の根となり、人を信仰から迷い出させることがあります。
信仰の戦いをりっぱに戦いぬいて、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたは、そのために召され、多くの証人の前で、りっぱなあかしをしたのである。
クリスチャンの歩みは、信仰の戦いとして示されています。それは他の人と争うことではなく、多くの証人の前で告白した永遠のいのちへの召しに、しっかりととどまることです。
神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。
パウロは、近づきがたい光の中に住まれる神の偉大さを語ります。人は自分の力で神に近づくことができません。だからこそ、イエス・キリストが重要なのです。
この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように、 また、良い行いをし、良いわざに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを喜び、 こうして、真のいのちを得るために、未来に備えてよい土台を自分のために築き上げるように、命じなさい。
富む人々は責められていません。彼らは、たよりにならない富に望みをおかず、神に望みをおき、惜しみなく施すように招かれています。その施しは、将来のための良い土台となります。
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説教が語っていること
テモテへの第一の手紙6章についてよくある質問
「金銭を愛することは、すべての悪の根である」とはどういう意味ですか。
10節が責めているのはお金そのものではなく、お金を愛すること、つまり心の執着です。パウロは、この欲望にとらわれた人々が信仰から迷い出て、多くの苦痛を味わったと述べます。聖書は、財産を知恵をもって管理し、それを主人にしないよう勧めています。
テモテへの第一の手紙6章は、富む人々について何と言っていますか。
17節から19節で、パウロは財産を手放すようには求めていません。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、神に望みをおくこと、良い行いに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを勧めています。
テモテへの第一の手紙6章の中心的なメッセージは何ですか。
パウロはテモテに、本当の富とは足ることを知る心を伴った信心だと思い起こさせます。金銭を愛することと実りのない論争を避け、信仰の戦いをりっぱに戦い、キリストが再び来られるときまで忠実であるようにと勧めています。
テモテへの第一の手紙 6を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。