聖書 — 口語訳 (1955)
士師記 3
概要
士師記3章は、神がカナンにいくつかの国民を残された理由を説明します。イスラエルを試し、戦いを知らない世代に戦いを教えるためです。イスラエルは周りの民と交わり、その神々に仕え、抑圧を受けます。民が主に叫ぶと、神は救う者を起こされます。最初はオテニエル、次に、左ききで、モアブの王エグロンからイスラエルを救うエホデ、そして牛の突き棒でペリシテ人六百人を打ったシャムガルです。
この章の4つの区分
1すべてカナンのもろもろの戦争を知らないイスラエルの人々を試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおりである。
2これはただイスラエルの代々の子孫、特にまだ戦争を知らないものに、それを教え知らせるためである。
3すなわちペリシテびとの五人の君たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン山に住んで、バアル・ヘルモン山からハマテの入口までを占めていたヒビびとなどであって、
4これらをもってイスラエルを試み、主がモーセによって先祖たちに命じられた命令に、彼らが従うかどうかを知ろうとされたのである。
5しかるにイスラエルの人々はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに住んで、
6彼らの娘を妻にめとり、また自分たちの娘を彼らのむすこに与えて、彼らの神々に仕えた。
7こうしてイスラエルの人々は主の前に悪を行い、自分たちの神、主を忘れて、バアルおよびアシラに仕えた。
8そこで主はイスラエルに対して激しく怒り、彼らをメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムの手に売りわたされたので、イスラエルの人々は八年の間、クシャン・リシャタイムに仕えた。
9しかし、イスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主はイスラエルの人々のために、ひとりの救助者を起して彼らを救われた。すなわちカレブの弟、ケナズの子オテニエルである。
10主の霊がオテニエルに臨んだので、彼はイスラエルをさばいた。彼が戦いに出ると、主はメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムをその手にわたされたので、オテニエルの手はクシャン・リシャタイムに勝ち、
11国は四十年のあいだ太平であった。ケナズの子オテニエルはついに死んだ。
12イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなった。すなわち彼らが主の前に悪をおこなったので、主はモアブの王エグロンを強めて、イスラエルに敵対させられた。
13エグロンはアンモンおよびアマレクの人々を集め、きてイスラエルを撃ち、しゅろの町を占領した。
14こうしてイスラエルの人々は十八年の間モアブの王エグロンに仕えた。
15しかしイスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主は彼らのために、ひとりの救助者を起された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子、左ききのエホデである。イスラエルの人々は彼によってモアブの王エグロンに、みつぎ物を送った。
16エホデは長さ一キュビトのもろ刃のつるぎを作らせ、それを衣の下、右のももの上に帯びて、
17モアブの王エグロンにみつぎ物をもってきた。エグロンは非常に肥えた人であった。
18エホデがみつぎ物をささげ終ったとき、彼はみつぎ物をになってきた民を帰らせ、
19かれ自身はギルガルに近い石像のある所から引きかえして言った、「王よ、わたしはあなたに申しあげる機密をもっています」。そこで王は「さがっておれ」と言ったので、かたわらに立っている者は皆出て行った。
20エホデが王のところにはいって来ると、王はひとりで涼みの高殿に座していたので、エホデが「わたしは神の命によってあなたに申しあげることがあります」と言うと、王は座から立ちあがった。
21そのときエホデは左の手を伸ばし、右のももからつるぎをとって王の腹を刺した。
22つるぎのつかも刃と共にはいったが、つるぎを腹から抜き出さなかったので、脂肪が刃をふさいだ。そして汚物が出た。
23エホデは廊下に出て、王のおる高殿の戸を閉じ、錠をおろした。
24彼が出た後、王のしもべどもがきて、高殿の戸に錠のおろされてあるのを見て、「王はきっと涼み殿のへやで足をおおっておられるのだ」と思った。
25しもべどもは長いあいだ待っていたが、王がなお高殿の戸を開かないので、心配してかぎをとって開いて見ると、王は床にたおれて死んでいた。
26エホデは彼らのためらうまに、のがれて石像のある所を過ぎ、セイラに逃げていった。
27彼が行ってエフライムの山地にラッパを吹き鳴らしたので、イスラエルの人々は彼と共に山地から下ってエホデに従った。
28エホデは彼らに言った、「わたしについてきなさい。主はあなたがたの敵モアブびとをあなたがたの手にわたされます」。そこで彼らはエホデに従って下り、ヨルダンの渡し場をおさえ、モアブびとをひとりも渡らせなかった。
29そのとき彼らはモアブびとおおよそ一万人を殺した。これはいずれも肥え太った勇士であって、ひとりも、のがれた者がなかった。
30こうしてモアブはその日イスラエルの手に服し、国は八十年のあいだ太平であった。
31エホデの後、アナテの子シャムガルが起り、牛のむちをもってペリシテびと六百人を殺した。この人もまたイスラエルを救った。
鍵となる聖句
すべてカナンのもろもろの戦争を知らないイスラエルの人々を試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおりである。 これはただイスラエルの代々の子孫、特にまだ戦争を知らないものに、それを教え知らせるためである。
神は、イスラエルを試し、カナンの戦いを知らない世代を鍛えるために、いくつかの国を残されます。説教者たちはここから、試練の中には罰ではなく、訓練の場であるものがあると語ります。
彼らの娘を妻にめとり、また自分たちの娘を彼らのむすこに与えて、彼らの神々に仕えた。 こうしてイスラエルの人々は主の前に悪を行い、自分たちの神、主を忘れて、バアルおよびアシラに仕えた。
イスラエルは周りの民の習慣と神々に染まり、やがて主を忘れます。聖書は、その漂流の始まりを描いています。それは交わりから始まり、最後は偶像礼拝に行き着きます。
しかし、イスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主はイスラエルの人々のために、ひとりの救助者を起して彼らを救われた。すなわちカレブの弟、ケナズの子オテニエルである。
苦しみの中でイスラエルの人々は主に叫び、主は彼らのために救い手を起こされます。同じパターンが士師記全体を通して繰り返されます。不忠実、抑圧、叫び、救いです。
しかしイスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主は彼らのために、ひとりの救助者を起された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子、左ききのエホデである。イスラエルの人々は彼によってモアブの王エグロンに、みつぎ物を送った。
神は、右手を使わないベニヤミン人のエホデを起こされます。神は、その不自由さが作戦の強みとなる救い手を選ばれ、通常の基準には頼られないことを示しています。
こうしてモアブはその日イスラエルの手に服し、国は八十年のあいだ太平であった。
モアブに対する勝利の後、国は八十年のあいだ平和を得ます。神が与える救いは、長く続く平和を生み出すことを物語は示しますが、この書はこのあと、サイクルが戻ってくる様子を追っていきます。
この章に登場する人物
説教が語っていること
士師記3章についてよくある質問
士師記3章で、神はなぜカナンに諸国民を残されたのですか
1節から4節は二つの理由を挙げています。イスラエルがモーセを通して受けた命令に従うかどうかを試すこと、そして、戦いを知らなかった世代にそれを教えることです。説教者たちは、試練が、親から受け継いだだけの信仰を、自分のものとして鍛えるのだと指摘します。
士師記3章の中心的なメッセージは何ですか
この章は、士師記全体を貫くサイクルを示しています。イスラエルが神から離れ、抑圧され、主に叫び、救い手が与えられます。また、不忠実な民に対する神の真実を明らかにし、神が左ききのエホデや、牛の突き棒を持つシャムガルのように、思いがけない救い手を選ばれることを示しています。
士師記3章のエホデとは誰ですか
エホデは、神がモアブの王エグロンからイスラエルを救うために起こされた、左ききのベニヤミン人です。貢ぎ物を携えて行き、隠した剣で王を夏の間にある部屋で討ち、イスラエルを集めてモアブを打ち破ります。その後、国は八十年のあいだ平和を得ました。この記録はきわめて生々しく、歴史的な背景の中で読む必要があります。
士師記 3を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。