聖書 — 口語訳 (1955)
詩篇 107
概要
詩篇107篇は、主にあがなわれた者たちの感謝の歌です。荒野をさまよう者、暗闇の中の捕らわれ人、死に近い病人、嵐の中の船乗りという、四つの苦難の場面が描かれます。どの場面でも、神への叫び、救い、感謝への招きという同じ流れが繰り返されます。しばしば捕囚からの帰還の歌として読まれ、神の導きを見つめる知恵のまなざしで結ばれます。試練を抜けたときにも、試練のただ中でも、祈ることができる詩篇です。
この章の5つの区分
1「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と、
2主にあがなわれた者は言え。主は彼らを悩みからあがない、
3もろもろの国から、東、西、北、南から彼らを集められた。
4彼らは人なき荒野にさまよい、住むべき町にいたる道を見いださなかった。
5彼らは飢え、またかわき、その魂は彼らのうちに衰えた。
6彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから助け出し、
7住むべき町に行き着くまで、まっすぐな道に導かれた。
8どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。
9主はかわいた魂を満ち足らせ、飢えた魂を良き物で満たされるからである。
10暗黒と深いやみの中にいる者、苦しみと、くろがねに縛られた者、
11彼らは神の言葉にそむき、いと高き者の勧めを軽んじたので、
12主は重い労働をもって彼らの心を低くされた。彼らはつまずき倒れても、助ける者がなかった。
13彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、
14暗黒と深いやみから彼らを導き出して、そのかせをこわされた。
15どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。
16主は青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切られたからである。
17ある者はその罪に汚れた行いによって病み、その不義のゆえに悩んだ。
18彼らはすべての食物をきらって、死の門に近づいた。
19彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、
20そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された。
21どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。
22彼らが感謝のいけにえをささげ、喜びの歌をもって、そのみわざを言いあらわすように。
23舟で海にくだり、大海で商売をする者は、
24主のみわざを見、また深い所でそのくすしきみわざを見た。
25主が命じられると暴風が起って、海の波をあげた。
26彼らは天にのぼり、淵にくだり、悩みによってその勇気は溶け去り、
27酔った人のようによろめき、よろめいて途方にくれる。
28彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。
29主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。
30こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。
31どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。
32彼らが民の集会で主をあがめ、長老の会合で主をほめたたえるように。
33主は川を野に変らせ、泉をかわいた地に変らせ、
34肥えた地をそれに住む者の悪のゆえに 塩地に変らせられる。
35主は野を池に変らせ、かわいた地を泉に変らせ、
36飢えた者をそこに住まわせられる。こうして彼らはその住むべき町を建て、
37畑に種をまき、ぶどう畑を設けて 多くの収穫を得た。
38主が彼らを祝福されたので彼らは大いにふえ、その家畜の減るのをゆるされなかった。
39彼らがしえたげと、悩みと、悲しみとによって 減り、かつ卑しめられたとき、
40主はもろもろの君に侮りをそそぎ、道なき荒れ地にさまよわせられた。
41しかし主は貧しい者を悩みのうちからあげて、その家族を羊の群れのようにされた。
42正しい者はこれを見て喜び、もろもろの不義はその口を閉じた。
43すべて賢い者はこれらの事に心をよせ、主のいつくしみをさとるようにせよ。
鍵となる聖句
「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と、
冒頭の呼びかけが、賛美の理由を示します。神は恵みふかく、そのいつくしみは絶えることがありません。この句は多くの詩篇に現れ、民全体の繰り返しの句として用いられます。
彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから助け出し、
最初の苦難の叫びと、それに続く救いです。同じ繰り返しの句は13節、19節、28節にも現れます。試練の中でささげる真実な祈りは、聞かれるのです。
そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された。
神がみことばを送ると、それがいやしをもたらします。詩篇は、神のことばを人を立ち上がらせ救う力として示しますが、自動的な決まり文句にはしていません。
主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。 こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。
神は嵐を静め、船乗りたちを望む港へ導かれます。このイメージは、もう自分では何もコントロールできない試練のたびに、よく思い起こされます。
説教が語っていること
詩篇107篇についてよくある質問
詩篇107篇のメッセージは何ですか
詩篇107篇は、苦難の中で神に叫ぶ者の声を神が聞き、救い出してくださることを教えています。まったく異なる四つの状況が、同じ繰り返しの句に答えられています。苦難の中で彼らが主に叫ぶと、主は彼らを悩みから助け出されたのです。そして詩篇は、すべての人に、神の恵みに感謝し、神がなさったことを語るよう招いています。
「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」とはどういう意味ですか
この句は、聖書の賛美の存在理由を要約しています。神は、状況が良いときだけでなく、本質的に良い方です。そのいつくしみ、ヘブライ語のヘセドは、決して離れることのない忠実な愛を表します。イスラエルは礼拝でこの句を繰り返し、詩篇106篇、118篇、136篇にも見られます。
詩篇107篇はどのように祈り、黙想すればよいですか
ゆっくり読み、四つの場面(さまよい、捕らわれ、病、嵐)の中から、自分の状況を見つけてください。次に繰り返しの句を、自分のことばで祈りながら唱え直し、最後にすでに受けた救いのひとつについて、具体的な感謝をささげて結びましょう。何人かで読み、それぞれが繰り返しの句を声に出して唱えることもできます。
詩篇 107を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。