聖書 — 口語訳 (1955)

ルカによる福音書 21

概要

ルカ21章は、静かな場面で始まります。貧しいやもめが小さな二つの硬貨を献げ、イエスは、この人がだれよりもたくさん入れたと言われます。続いてイエスは宮の崩壊を告げ、いつ、どんな前兆があるのかという弟子たちの問いに答え、惑わし、戦争、迫害、エルサレムの苦難、そして人の子が来ることを語ります。イエスは弟子たちに、頭をもたげるよう、救いが近づいているからと励まし、絶えず目をさまして祈るよう勧めます。

この章の6つの区分

  1. 1-4節乏しい中から生活費全部を献げたやもめ
  2. 5-11節宮の崩壊の予告と最初のしるし
  3. 12-19節迫害と耐え忍ぶこと
  4. 20-24節軍隊に包囲されるエルサレム
  5. 25-33節人の子の来臨といちじくの木のたとえ
  6. 34-38節絶えず目をさまして祈る

1イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、

2また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て

3言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。

4これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。

5ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、

6「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。

7そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。

8イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたし名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。

9戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。

10それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。

11また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。

12しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。

13それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。

14だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。

15あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。

16しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。

17また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。

18しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。

19あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。

20エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。

21そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。

22それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ

23その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、

24彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。

25また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、

26人々は世界に起ろうとする事を思い、恐怖と不安で気絶するであろう。もろもろの天体が揺り動かされるからである。

27そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。

28これらの事が起りはじめたら、身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。

29それから一つの譬を話された、「いちじくの木を、またすべての木を見なさい。

30はや芽を出せば、あなたがたはそれを見て、夏がすでに近いと、自分で気づくのである。

31このようにあなたがたも、これらの事が起るのを見たなら、神の国が近いのだとさとりなさい。

32よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。

33天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。

34あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕えることがないように、よく注意していなさい。

35その日は地の全面に住むすべての人に臨むのであるから。

36これらの起ろうとしているすべての事からのがれて、人の子の前に立つことができるように、絶えず目をさまして祈っていなさい」。

37イエスは昼のあいだは宮で教え、夜には出て行ってオリブという山で夜をすごしておられた。

38民衆はみな、み教えを聞こうとして、いつも朝早く宮に行き、イエスのもとに集まった。

鍵となる聖句

3-4節
言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。

イエスは献金を比べられます。金持ちはありあまる中から、やもめは乏しい中から全部を入れました。イエスは、献げ物を金額ではなく、献げる人にとっての犠牲の大きさで見ておられます。

19節
あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。

予告された迫害の中で、イエスは、耐え忍ぶことによって弟子たちが自分の魂をかち取ると約束されます。これは強がりの勧めではなく、忠実にとどまり続けるための呼びかけです。

28節
これらの事が起りはじめたら、身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。

これらのことが起こりはじめたら、イエスは身を隠すのではなく、身を起し頭をもたげなさいと言われます。救いが近づいているからです。信じる者への希望のことばです。

33節
天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。

天地は滅びますが、イエスのことばは決して滅びません。この宣言が、イエスが将来について語られたすべてのことに確かさを与えています。

36節
これらの起ろうとしているすべての事からのがれて、人の子の前に立つことができるように、絶えず目をさまして祈っていなさい」。

この教えの結びは実際的です。人の子の前に立つ力を得るために、絶えず目をさまして祈りなさいということです。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

ルカによる福音書21章についてよくある質問

ルカ21章のやもめの献金は何を意味していますか。

貧しいやもめが宮の献金箱に小さな二つの硬貨を入れ、イエスは、この人がほかのだれよりもたくさん入れたと言われます。金持ちはありあまる中から、彼女は生活費全部を入れたからです。この箇所は、神は金額ではなく、心と、払われた犠牲を見ておられることを教えています。

ルカ21章は終わりの時について何と語っていますか。

イエスは、エルサレムの崩壊、惑わし、戦争、迫害、そして人の子が雲に乗って来ることを語られます。クリスチャンの間でも、これらの節の読み方は一つではありません。主に紀元70年のエルサレム崩壊と見る人、これから起こる出来事と見る人、その両方と見る人がいます。どの立場でも共通しているのは、目をさましていなさいという呼びかけです。

28節の「身を起し頭をもたげなさい」とはどういう意味ですか。

不安をもたらす出来事が起こりはじめる時、イエスは弟子たちに、身を起し頭をもたげるよう言われます。救いが近づいているからです。求められている態度は、恐れではなく希望です。人の子の来臨は、御自分に属する者たちの解放として示されています。

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