聖書 — 口語訳 (1955)
出エジプト記 10
概要
出エジプト記10章は、エジプトを襲った二つの災いを語ります。神はまず、雹が残したものを食い尽くすいなごを送られます。パロは罪を認めて赦しを求めますが、災いが去るとまた元の態度に戻ります。次に、国にくらやみが臨みます。パロは民を去らせることについて、家畜を残すという妥協を持ちかけますが、モーセは退けます。章は決裂で終わり、パロはモーセを追い出します。神は、これらのしるしが、ご自身がどのような方かを後の世代に語り伝えるためのものだと明らかにされます。
この章の4つの区分
1そこで、主はモーセに言われた、「パロのもとに行きなさい。わたしは彼の心とその家来たちの心をかたくなにした。これは、わたしがこれらのしるしを、彼らの中に行うためである。
2また、わたしがエジプトびとをあしらったこと、また彼らの中にわたしが行ったしるしを、あなたがたが、子や孫の耳に語り伝えるためである。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るであろう」。
3モーセとアロンはパロのもとに行って彼に言った、「ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、『いつまで、あなたは、わたしに屈伏することを拒むのですか。民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。
4もし、わたしの民を去らせることを拒むならば、見よ、あす、わたしはいなごを、あなたの領土にはいらせるであろう。
5それは地のおもてをおおい、人が地を見ることもできないほどになるであろう。そして雹を免れて、残されているものを食い尽し、野にはえているあなたがたの木をみな食い尽すであろう。
6またそれはあなたの家とあなたのすべての家来の家、および、すべてのエジプトびとの家に満ちるであろう。このようなことは、あなたの父たちも、また、祖父たちも、彼らが地上にあった日から今日に至るまで、かつて見たことのないものである』と」。そして彼は身をめぐらして、パロのもとを出て行った。
7パロの家来たちは王に言った、「いつまで、この人はわれわれのわなとなるのでしょう。この人々を去らせ、彼らの神なる主に仕えさせては、どうでしょう。エジプトが滅びてしまうことに、まだ気づかれないのですか」。
8そこで、モーセとアロンは、また、パロのもとに召し出された。パロは彼らに言った、「行って、あなたがたの神、主に仕えなさい。しかし、行くものはだれだれか」。
9モーセは言った、「わたしたちは幼い者も、老いた者も行きます。むすこも娘も携え、羊も牛も連れて行きます。わたしたちは主の祭を執り行わなければならないのですから」。
10パロは彼らに言った、「万一、わたしが、あなたがたに子供を連れてまで去らせるようなことがあれば、主があなたがたと共にいますがよい。あなたがたは悪いたくらみをしている。
11それはいけない。あなたがたは男だけ行って主に仕えるがよい。それが、あなたがたの要求であった」。彼らは、ついにパロの前から追い出された。
12主はモーセに言われた、「あなたの手をエジプトの地の上にさし伸べて、エジプトの地にいなごをのぼらせ、地のすべての青物、すなわち、雹が打ち残したものを、ことごとく食べさせなさい」。
13そこでモーセはエジプトの地の上に、つえをさし伸べたので、主は終日、終夜、東風を地に吹かせられた。朝となって、東風は、いなごを運んできた。
14いなごはエジプト全国にのぞみ、エジプトの全領土にとどまり、その数がはなはだ多く、このようないなごは前にもなく、また後にもないであろう。
15いなごは地の全面をおおったので、地は暗くなった。そして地のすべての青物と、雹の打ち残した木の実を、ことごとく食べたので、エジプト全国にわたって、木にも畑の青物にも、緑の物とては何も残らなかった。
16そこで、パロは、急いでモーセとアロンを召して言った、「わたしは、あなたがたの神、主に対し、また、あなたがたに対して罪を犯しました。
17それで、どうか、もう一度だけ、わたしの罪をゆるしてください。そしてあなたがたの神、主に祈願して、ただ、この死をわたしから離れさせてください」。
18そこで彼はパロのところから出て、主に祈願したので、
19主は、はなはだ強い西風に変らせ、いなごを吹き上げて、これを紅海に追いやられたので、エジプト全土には一つのいなごも残らなかった。
20しかし、主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々を去らせなかった。
21主はまたモーセに言われた、「天にむかってあなたの手をさし伸べ、エジプトの国に、くらやみをこさせなさい。そのくらやみは、さわれるほどである」。
22モーセが天にむかって手をさし伸べたので、濃いくらやみは、エジプト全国に臨み三日に及んだ。
23三日の間、人々は互に見ることもできず、まただれもその所から立つ者もなかった。しかし、イスラエルの人々には、みな、その住む所に光があった。
24そこでパロはモーセを召して言った、「あなたがたは行って主に仕えなさい。あなたがたの子供も連れて行ってもよろしい。ただ、あなたがたの羊と牛は残して置きなさい」。
25しかし、モーセは言った、「あなたは、また、わたしたちの神、主にささげる犠牲と燔祭の物をも、わたしたちにくださらなければなりません。
26わたしたちは家畜も連れて行きます。ひずめ一つも残しません。わたしたちは、そのうちから取って、わたしたちの神、主に仕えねばなりません。またわたしたちは、その場所に行くまでは、何をもって、主に仕えるべきかを知らないからです」。
27けれども、主がパロの心をかたくなにされたので、パロは彼らを去らせようとしなかった。
28それでパロはモーセに言った、「わたしの所から去りなさい。心して、わたしの顔は二度と見てはならない。わたしの顔を見る日には、あなたの命はないであろう」。
29モーセは言った、「よくぞ仰せられました。わたしは、二度と、あなたの顔を見ないでしょう」。
鍵となる聖句
また、わたしがエジプトびとをあしらったこと、また彼らの中にわたしが行ったしるしを、あなたがたが、子や孫の耳に語り伝えるためである。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るであろう」。
神はなぜそうされるのかを説明されます。しるしが、子や孫に語り伝えられるためです。エジプトで起こっていることは、家族の中で信仰とともに受け継がれる物語となるのです。
モーセとアロンはパロのもとに行って彼に言った、「ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、『いつまで、あなたは、わたしに屈伏することを拒むのですか。民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。
モーセのパロへの問いが、対立の核心をまとめています。いつまで神の前にへりくだることを拒むのか。パロの問題は、何よりも高ぶりです。
そこで、パロは、急いでモーセとアロンを召して言った、「わたしは、あなたがたの神、主に対し、また、あなたがたに対して罪を犯しました。 それで、どうか、もう一度だけ、わたしの罪をゆるしてください。そしてあなたがたの神、主に祈願して、ただ、この死をわたしから離れさせてください」。
パロは罪を犯したと認めますが、願いは災いを取り除くことだけにとどまります。本文は、一時的な後悔と、本当の悔い改めとを区別しています。
わたしたちは家畜も連れて行きます。ひずめ一つも残しません。わたしたちは、そのうちから取って、わたしたちの神、主に仕えねばなりません。またわたしたちは、その場所に行くまでは、何をもって、主に仕えるべきかを知らないからです」。
モーセは、家畜を人質に取られることを拒みます。神に仕えることは中途半端にはできません。神に逆らう者が持ち物の一部を握ったままでは、仕えたことになりません。
このテーマで祈る
説教が語っていること
出エジプト記10章についてよくある質問
出エジプト記10章の災いは何ですか
この章は、東風が運んできた第八の災いであるいなごと、エジプトを覆う第九の災いであるくらやみを語ります。いなごは、雹が残したものをすべて食い尽くします。くらやみは、記録によれば三日間国を覆いますが、イスラエルの人々には住む所に光がありました。
なぜ神はパロの心をかたくなにされるのですか
1節で、神はご自分のしるしを現すために、パロの心をかたくなにしたと言われます。他の箇所では、パロ自身が心をかたくなにしたと記されています。クリスチャンの伝統は、この関係をさまざまに理解していますが、物語は、神の主権とパロの責任を共に保っています。
なぜモーセはパロの妥協を退けるのですか
パロは最初、男だけが行くことを認め、次に子どもも行ってよいが家畜は残せと言います。モーセは拒みます。いけにえのために家畜が必要であり、神が何を求められるのか、まだだれも知らないからです。神に仕えることは、民を引き止める者によって制限されることはありません。
出エジプト記 10を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。