聖書 — 口語訳 (1955)
列王紀上 12
概要
列王紀上12章は、ソロモンの死後のイスラエル王国の分裂を語ります。シケムで、民はレハベアムに、父が課した軛を軽くしてほしいと求めます。レハベアムは長老たちの助言を退け、側近の若者たちの助言に従って、厳しく答えます。そのため十部族はダビデの家から離れ、ヤラベアムを王とし、ユダだけがレハベアムに忠実にとどまります。神はレハベアムが兄弟たちと戦うことを禁じられます。ヤラベアムはベテルとダンに二頭の金の子牛を置き、対抗する礼拝を始めます。
この章の4つの区分
1レハベアムはシケムへ行った。すべてのイスラエルびとが彼を王にしようとシケムへ行ったからである。
2ネバテの子ヤラベアムはソロモンを避けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを聞いてエジプトから帰ったので、
3人々は人をつかわして彼を招いた。そしてヤラベアムとイスラエルの会衆は皆レハベアムの所にきて言った、
4「父上はわれわれのくびきを重くされましたが、今父上のきびしい使役と、父上がわれわれに負わせられた重いくびきとを軽くしてください。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。
5レハベアムは彼らに言った、「去って、三日過ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで民は立ち去った。
6レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた老人たちに相談して言った、「この民にどう返答すればよいと思いますか」。
7彼らはレハベアムに言った、「もし、あなたが、きょう、この民のしもべとなって彼らに仕え、彼らに答えるとき、ねんごろに語られるならば、彼らは永久にあなたのしもべとなるでしょう」。
8しかし彼は老人たちが与えた勧めを捨てて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、
9彼らに言った、「この民がわたしにむかって『あなたの父がわれわれに負わせたくびきを軽くしてください』というのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。
10彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたにむかって『父上はわれわれのくびきを重くされましたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言うこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い。
11父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう』と」。
12さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目に再びわたしのところに来るように」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところにきた。
13王は荒々しく民に答え、老人たちが与えた勧めを捨てて、
14若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう」。
15このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これはかつて主がシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、主が仕向けられた事であった。
16イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか、エッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、あなたがたの天幕へ帰れ。ダビデよ、今自分の家の事を見よ」。そしてイスラエルはその天幕へ去っていった。
17しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。
18レハベアム王は徴募の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが皆、彼を石で撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムへ逃げた。
19こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。
20イスラエルは皆ヤラベアムの帰ってきたのを聞き、人をつかわして彼を集会に招き、イスラエルの全家の上に王とした。ユダの部族のほかはダビデの家に従う者がなかった。
21ソロモンの子レハベアムはエルサレムに来て、ユダの全家とベニヤミンの部族の者、すなわちえり抜きの軍人十八万を集め、国を取りもどすために、イスラエルの家と戦おうとしたが、
22神の言葉が神の人シマヤに臨んだ、
23「ソロモンの子であるユダの王レハベアム、およびユダとベニヤミンの全家、ならびにそのほかの民に言いなさい、
24『主はこう仰せられる。あなたがたは上っていってはならない。あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々と戦ってはならない。おのおの家に帰りなさい。この事はわたしから出たのである』」。それで彼らは主の言葉をきき、主の言葉に従って帰っていった。
25ヤラベアムはエフライムの山地にシケムを建てて、そこに住んだ。彼はまたそこから出てペヌエルを建てた。
26しかしヤラベアムはその心のうちに言った、「国は今ダビデの家にもどるであろう。
27もしこの民がエルサレムにある主の宮に犠牲をささげるために上るならば、この民の心はユダの王である彼らの主君レハベアムに帰り、わたしを殺して、ユダの王レハベアムに帰るであろう」。
28そこで王は相談して、二つの金の子牛を造り、民に言った、「あなたがたはもはやエルサレムに上るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国から導き上ったあなたがたの神を見よ」。
29そして彼は一つをベテルにすえ、一つをダンに置いた。
30この事は罪となった。民がベテルへ行って一つを礼拝し、ダンへ行って一つを礼拝したからである。
31彼はまた高き所に家を造り、レビの子孫でない一般の民を祭司に任命した。
32またヤラベアムはユダで行う祭と同じ祭を八月の十五日に定め、そして祭壇に上った。彼はベテルでそのように行い、彼が造った子牛に犠牲をささげた。また自分の造った高き所の祭司をベテルに立てた。
33こうして彼はベテルに造った祭壇に八月の十五日に上った。これは彼が自分で勝手に考えついた月であった。そして彼はイスラエルの人々のために祭を定め、祭壇に上って香をたいた。
鍵となる聖句
「父上はわれわれのくびきを重くされましたが、今父上のきびしい使役と、父上がわれわれに負わせられた重いくびきとを軽くしてください。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。
民は最初から反乱を起こしたのではありません。仕えると約束した上で、ソロモンが課した重荷を軽くしてほしいと願ったのです。この願いは道理にかなっており、扉は開かれたままでした。
しかし彼は老人たちが与えた勧めを捨てて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、
レハベアムは長老たちの助言を退け、自分と一緒に育った若者たちに相談します。重大な決断は、だれの言葉に耳を傾けるかで決まることが多いと、この箇所は示しています。
若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう」。
レハベアムは、父よりも重い軛を課すと言って、厳しく答えます。この高慢な答えが分裂を引き起こしますが、15節は、神がヤラベアムに語られたことばをこうして成し遂げられたと記しています。
イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか、エッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、あなたがたの天幕へ帰れ。ダビデよ、今自分の家の事を見よ」。そしてイスラエルはその天幕へ去っていった。
イスラエルが自分の天幕に帰れと叫ぶことは、ダビデの家との決別を意味します。重税と軽蔑から生まれたものが、長く続く政治的な分裂となりました。
そこで王は相談して、二つの金の子牛を造り、民に言った、「あなたがたはもはやエルサレムに上るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国から導き上ったあなたがたの神を見よ」。
ヤラベアムは、民が供え物をささげにエルサレムへ上ることを恐れ、二頭の金の子牛を造ります。自分の権力を守るために神の礼拝をすり替えたのです。聖書はこれを、罪を犯させるもととしています。
聖書クイズに挑戦
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
列王紀上12章についてよくある質問
列王紀上12章で、イスラエル王国はなぜ二つに分かれたのですか
直接の引き金は、父の課した軛を軽くすることを拒んだレハベアムの厳しい答えです。しかし聖書は、この出来事が神のことばの成就でもあると記します。さらに、北の部族とユダの間の緊張など、もっと古い根があったことも示されています。
列王紀上12章の、長老と若者の助言はどういう意味ですか
長老たちは、民の献身を得るために、レハベアムに好意をもって答えるよう助言します。側近の若者たちは、厳しく当たるよう勧めます。レハベアムは後者の助言を選び、十部族を失います。この箇所は、へつらう者ではなく、真実を語ってくれる助言者を求めるよう私たちを招いています。
列王紀上12章で、ヤラベアムはなぜ金の子牛を造ったのですか
ヤラベアムは、民が供え物をささげるためにエルサレムへ上り、レハベアムのもとへ帰り、自分を殺すのではないかと恐れました。そこでベテルとダンに二頭の金の子牛を置き、礼拝をそらさせます。聖書は、この政治的な選択を、イスラエル全体にとって罪を犯させるもとであったと示しています。
列王紀上 12を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。