聖書 — 口語訳 (1955)
ヨエル書 2
概要
ヨエル書2章は警報から始まります。シオンでラッパが吹かれ、主の日が近づき、荒らす軍勢が国に迫っています。章の中心で、神は呼びかけます。心をつくしてわたしに帰れ、衣服ではなく心を裂け。民は集まり、主はあわれまれ、収穫と失われた年月を回復すると約束されます。章は大きな約束で結ばれます。神はご自分の霊をすべての肉なる者に注ぎ、主の名を呼ぶ者はみな救われるというのです。ペテロは、ペンテコステの日にこの箇所を引用することになります。
この章の4つの区分
1あなたがたはシオンで ラッパを吹け。わが聖なる山で警報を吹きならせ。国の民はみな、ふるいわななけ。主の日が来るからである。それは近い。
2これは暗く、薄暗い日、雲の群がるまっくらな日である。多くの強い民が 暗やみのようにもろもろの山をおおう。このようなことは昔からあったことがなく、後の代々の年にも再び起ることがないであろう。
3火は彼らの前を焼き、炎は彼らの後に燃える。彼らのこない前には、地はエデンの園のようであるが、その去った後は荒れ果てた野のようになる。これをのがれうるものは一つもない。
4そのかたちは馬のかたちのようであり、その走ることは軍馬のようである。
5山の頂でとびおどる音は、戦車のとどろくようである。また刈り株を焼く火の炎の音のようであり、戦いの備えをした強い軍隊のようである。
6その前にもろもろの民はなやみ、すべての顔は色を失う。
7彼らは勇士のように走り、兵士のように城壁によじ登る。彼らはおのおの自分の道を進んで行って、その道を踏みはずさない。
8彼らは互におしあわず、おのおのその道を進み行く。彼らは武器の中にとびこんでも、身をそこなわない。
9彼らは町にとび入り、城壁の上を走り、家々によじ登り、盗びとのように窓からはいる。
10地は彼らの前におののき、天はふるい、日も月も暗くなり、星はその光を失う。
11主はその軍勢の前で声をあげられる。その軍隊は非常に多いからである。そのみ言葉をなし遂げる者は強い。主の日は大いにして、はなはだ恐ろしいゆえ、だれがこれに耐えることができよう。
12主は言われる、「今からでも、あなたがたは心をつくし、断食と嘆きと、悲しみとをもってわたしに帰れ。
13あなたがたは衣服ではなく、心を裂け」。あなたがたの神、主に帰れ。主は恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かで、災を思いかえされるからである。
14神があるいは立ち返り、思いかえして祝福をその後に残し、素祭と灌祭とを あなたがたの神、主にささげさせられる事はないと だれが知るだろうか。
15シオンでラッパを吹きならせ。断食を聖別し、聖会を召集し、
16民を集め、会衆を聖別し、老人たちを集め、幼な子、乳のみ子を集め、花婿をその家から呼びだし、花嫁をそのへやから呼びだせ。
17主に仕える祭司たちは、廊と祭壇との間で泣いて言え、「主よ、あなたの民をゆるし、あなたの嗣業をもろもろの国民のうちに、そしりと笑い草にさせないでください。どうしてもろもろの国民に、『彼らの神はどこにいるか』と 言わせてよいでしょうか」。
18その時主は自分の地のために、ねたみを起し、その民をあわれまれた。
19主は答えて、その民に言われた、「見よ、わたしは穀物と新しい酒と油とを あなたがたに送る。あなたがたはこれを食べて飽きるであろう。わたしは重ねてあなたがたに もろもろの国民のうちでそしりを受けさせない。
20わたしは北から来る者をあなたがたから遠ざけ、これをかわいた荒れ地に追いやり、その前の者を東の海に、その後の者を西の海に追いやる。その臭いにおいは起り、その悪しきにおいは上る。これは大いなる事をしたからである。
21地よ恐るな、喜び楽しめ、主は大いなる事を行われたからである。
22野のもろもろの獣よ、恐るな。荒野の牧草はもえいで、木はその実を結び、いちじくの木とぶどうの木とは豊かに実る。
23シオンの子らよ、あなたがたの神、主によって喜び楽しめ。主はあなたがたを義とするために秋の雨を賜い、またあなたがたのために豊かに雨を降らせ、前のように、秋の雨と春の雨とを降らせられる。
24打ち場は穀物で満ち、石がめは新しい酒と油とであふれる。
25わたしがあなたがたに送った大軍、すなわち群がるいなご、とびいなご、滅ぼすいなご、かみ食らういなごの食った年を わたしはあなたがたに償う。
26あなたがたは、じゅうぶん食べて飽き、あなたがたに不思議なわざをなされた あなたがたの神、主のみ名をほめたたえる。わが民は永遠にはずかしめられることがない。
27あなたがたはイスラエルのうちに わたしのいることを知り、主なるわたしがあなたがたの神であって、ほかにないことを知る。わが民は永遠にはずかしめられることがない。
28その後わたしはわが霊を すべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人たちは夢を見、あなたがたの若者たちは幻を見る。
29その日わたしはまた わが霊をしもべ、はしために注ぐ。
30わたしはまた、天と地とにしるしを示す。すなわち血と、火と、煙の柱とがあるであろう。
31主の大いなる恐るべき日が来る前に、日は暗く、月は血に変る。
32すべて主の名を呼ぶ者は救われる。それは主が言われたように、シオンの山とエルサレムとに、のがれる者があるからである。その残った者のうちに、主のお召しになる者がある。
鍵となる聖句
主は言われる、「今からでも、あなたがたは心をつくし、断食と嘆きと、悲しみとをもってわたしに帰れ。 あなたがたは衣服ではなく、心を裂け」。あなたがたの神、主に帰れ。主は恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かで、災を思いかえされるからである。
神が求めておられるのは、儀式ではなく真心からの帰還です。「衣服ではなく、心を裂け」。この帰還は、神ご自身が語られるご性質に支えられています。恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かなかたです。
わたしがあなたがたに送った大軍、すなわち群がるいなご、とびいなご、滅ぼすいなご、かみ食らういなごの食った年を わたしはあなたがたに償う。
「いなごの食った年」を償うという約束は、失われた時間にまで及ぶ回復の約束です。状況が許していた期待をはるかに超えるものです。
その後わたしはわが霊を すべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人たちは夢を見、あなたがたの若者たちは幻を見る。 その日わたしはまた わが霊をしもべ、はしために注ぐ。
御霊は、「すべての肉なる者に注ぐ」と約束されます。むすこも娘も、老人も若者も、しもべもはしためも。神が与えようとされるものから外される人は、ひとりもいません。
すべて主の名を呼ぶ者は救われる。それは主が言われたように、シオンの山とエルサレムとに、のがれる者があるからである。その残った者のうちに、主のお召しになる者がある。
「すべて主の名を呼ぶ者は救われる」。パウロはローマ人への手紙10章でこの聖句を取り上げ、イエスに叫び求めるすべての人に救いがあると告げています。
この章に登場する人物
説教が語っていること
ヨエル書2章についてよくある質問
「衣服ではなく、心を裂け」とはどういう意味ですか。
衣服を裂くのは、悲しみや悔い改めを表す公の行為でした。ヨエルは、変化が内側のものであるよう求めます。外側の身振りではなく、神への真心からの帰還です。この呼びかけには理由が続きます。主は恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かなかたです。
いなごの食った年を償うとはどういう意味ですか。
ヨエルが語るのは、いなごの大群に作物を荒らされた民のことです。神は、失われたものを回復すると約束されます。多くの読者は、悔いの残る年月にも、神が意味と実りを取り戻してくださるという望みをここに見ます。過去を消し去るのではなく、です。
ペテロはなぜペンテコステでヨエル書2章を引用したのですか。
御霊が弟子たちに下ったとき、ペテロは、起こっていることは預言者ヨエルが告げたことだと語ります。神がご自分の霊をすべての肉なる者に注ぐ、ということです。ペテロは続けて32節を引用します。主の名を呼ぶ者はみな救われる、と。この約束は、イエスに向かうすべての人に開かれています。
ヨエル書 2を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。