聖書 — 口語訳 (1955)

創世記 29

概要

創世記29章は、ハランに着くまでのヤコブを追います。井戸のそばで愛するラケルに出会い、彼女を妻にするために七年間仕えます。ラバンはヤコブを欺き、まずレアを与え、さらに七年と引きかえにラケルを与えます。レアは愛されていませんが、主はそれを見ておられます。彼女は四人の息子を産み、その名前は、ヤコブの愛を求める歩みから、ダビデとイエス・キリストの先祖となるユダにおける賛美へと至る道を物語っています。

この章の4つの区分

  1. 1-14節ヤコブがハランの井戸に着き、ラケルに出会う
  2. 15-20節ラケルのための七年間の奉仕
  3. 21-30節ラバンがヤコブを欺く:まずレア、次にラケル
  4. 31-35節主はレアを見られる:ルベン、シメオン、レビ、ユダ

1ヤコブはその旅を続けて東の民の地へ行った。

2見ると野に一つの井戸があって、そのかたわらに羊の三つの群れが伏していた。人々はその井戸から群れに水を飲ませるのであったが、井戸の口には大きな石があった。

3群れが皆そこに集まると、人々は井戸の口から石をころがして羊に水を飲ませ、その石をまた井戸の口の元のところに返しておくのである。

4ヤコブは人々に言った、「兄弟たちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。彼らは言った、「わたしたちはハランからです」。

5ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはナホルの子ラバンを知っていますか」。彼らは言った、「知っています」。

6ヤコブはまた彼らに言った、「彼は無事ですか」。彼らは言った、「無事です。御覧なさい。彼の娘ラケルはいま羊と一緒にここへきます」。

7ヤコブは言った、「日はまだ高いし、家畜を集める時でもない。あなたがたは羊に水を飲ませてから、また行って飼いなさい」。

8彼らは言った、「わたしたちはそれはできないのです。群れがみな集まった上で、井戸の口から石をころがし、それから羊に水を飲ませるのです」。

9ヤコブがなお彼らと語っている時に、ラケルは父の羊と一緒にきた。彼女は羊を飼っていたからである。

10ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。そしてヤコブは進み寄って井戸の口から石をころがし、母の兄ラバンの羊に水を飲ませた。

11ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。

12ヤコブはラケルに、自分がラケルの父のおいであり、リベカの子であることを告げたので、彼女は走って行って父に話した。

13ラバンは妹の子ヤコブがきたという知らせを聞くとすぐ、走って行ってヤコブを迎え、これを抱いて口づけし、家に連れてきた。そこでヤコブはすべての事をラバンに話した。

14ラバンは彼に言った、「あなたはほんとうにわたしの骨肉です」。ヤコブは一か月の間彼と共にいた。

15時にラバンはヤコブに言った、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのために働くこともないでしょう。どんな報酬を望みますか、わたしに言ってください」。

16さてラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレアといい、妹の名はラケルといった。

17レアは目が弱かったが、ラケルは美しくて愛らしかった。

18ヤコブはラケルを愛したので、「わたしは、あなたの妹娘ラケルのために七年あなたに仕えましょう」と言った。

19ラバンは言った、「彼女を他人にやるよりもあなたにやる方がよい。わたしと一緒にいなさい」。

20こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。

21ヤコブはラバンに言った、「期日が満ちたから、わたしの妻を与えて、妻の所にはいらせてください」。

22そこでラバンはその所の人々をみな集めて、ふるまいを設けた。

23夕暮となったとき、娘レアをヤコブのもとに連れてきたので、ヤコブは彼女の所にはいった。

24ラバンはまた自分のつかえめジルパを娘レアにつかえめとして与えた。

25朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。

26ラバンは言った、「妹を姉より先にとつがせる事はわれわれの国ではしません。

27まずこの娘のために一週間を過ごしなさい。そうすればあの娘もあなたにあげよう。あなたは、そのため更に七年わたしに仕えなければならない」。

28ヤコブはそのとおりにして、その一週間が終ったので、ラバンは娘ラケルをも妻として彼に与えた。

29ラバンはまた自分のつかえめビルハを娘ラケルにつかえめとして与えた。

30ヤコブはまたラケルの所にはいった。彼はレアよりもラケルを愛して、更に七年ラバンに仕えた。

31主はレアがきらわれるのを見て、その胎を開かれたが、ラケルは、みごもらなかった。

32レアは、みごもって子を産み、名をルベンと名づけて、言った、「主がわたしの悩みを顧みられたから、今は夫もわたしを愛するだろう」。

33彼女はまた、みごもって子を産み、「主はわたしが嫌われるのをお聞きになって、わたしにこの子をも賜わった」と言って、名をシメオンと名づけた。

34彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは彼に三人の子を産んだから、こんどこそは夫もわたしに親しむだろう」と言って、名をレビと名づけた。

35彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは今、主をほめたたえる」と言って名をユダと名づけた。そこで彼女の、子を産むことはやんだ。

鍵となる聖句

20節
こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。

七年間の奉仕は、ヤコブが愛していたので、ほんの数日のように過ぎます。この節は、愛が待つ人に何を与えるかを示しています。

25節
朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。

人を欺いたヤコブが、今度は欺かれます。本文は何も論評しませんが、読者はそこに、兄への自分の欺きの響きを見ます。

31節
主はレアがきらわれるのを見て、その胎を開かれたが、ラケルは、みごもらなかった。

神は、愛されていないレアを見て、その胎を開かれます。本文は最初から、人々が顧みない者に神は心を寄せられると示しています。

32節
レアは、みごもって子を産み、名をルベンと名づけて、言った、「主がわたしの悩みを顧みられたから、今は夫もわたしを愛するだろう」。

ルベンという名は「見る」ことを思わせます。主がレアの悩みを見られたのです。彼女はなお、夫が自分を愛してくれることを望んでいます。

35節
彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは今、主をほめたたえる」と言って名をユダと名づけた。そこで彼女の、子を産むことはやんだ。

ユダが生まれたとき、レアはようやく主に目を向けます。この子は、ダビデとイエスの王の系譜の先祖となります。

この章に登場する人物

説教が語っていること

創世記29章についてよくある質問

なぜラバンはレアをヤコブに与えたのですか。

ラバンはその土地の慣習を持ち出します。妹を姉より先に嫁がせることはしない(26節)というものです。彼はそれを利用して、ヤコブからさらに七年間の奉仕を得ます。本文はこの欺きを正当化せず、ただ語っています。父と兄を欺いたヤコブが、今度は欺かれるのです。

創世記29章35節のユダという名前には、どんな意味がありますか。

レアは「わたしは今、主をほめたたえる」と言って、息子をユダと名づけます。この名は賛美に結びついています。ヤコブの愛を望んで三人の息子を産んだあと、彼女は神に目を向けます。ユダの子孫からダビデが出て、福音書によれば、イエス・キリストが出ます。

創世記29章の中心的なメッセージは何ですか。

神は顧みられない者を見ておられます。レアは夫に愛されていませんが、主はそれを見て、行動されます。この章はまた、神が不完全な人間の状況を通してもご計画を進められることを示しますが、それを是認しているわけではありません。神はレアに、救いの歴史の中で中心的な位置を与えられます。

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