聖書 — 口語訳 (1955)
詩篇 78
概要
詩篇78篇はアサフの歌で、詩篇の中でも最も長いものの一つです。詩人は、エジプトからの脱出からダビデの選びまでのイスラエルの歴史を語ります。それは、どの世代も神のみわざを次の世代に伝え、子どもたちが神に信頼を置くようになるためです。物語は、神の驚くべきみわざと、民の忘れやすさを交互に描きます。開かれた海、マナ、そむき、怒り、そしてあわれみです。結びは、ユダ、シオン、そして羊のおりから取られたダビデの選びです。
この章の6つの区分
1わが民よ、わが教を聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。
2わたしは口を開いて、たとえを語り、いにしえからの、なぞを語ろう。
3これはわれらがさきに聞いて知ったこと、またわれらの先祖たちが われらに語り伝えたことである。
4われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、その力と、主のなされたくすしきみわざとを きたるべき代に告げるであろう。
5主はあかしをヤコブのうちにたて、おきてをイスラエルのうちに定めて、その子孫に教うべきことを われらの先祖たちに命じられた。
6これは次の代に生れる子孫がこれを知り、みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、
7彼らをして神に望みをおき、神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。
8またその先祖たちのようにかたくなで、そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、その魂が神に忠実でないやからと ならないためである。
9エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、戦いの日に引き返した。
10彼らは神の契約を守らず、そのおきてにしたがって歩むことを拒み、
11神がなされた事と、彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。
12神はエジプトの地と、ゾアンの野で くすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。
13神は海を分けて彼らを通らせ、水を立たせて山のようにされた。
14昼は雲をもって彼らを導き、夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。
15神は荒野で岩を裂き、淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、
16また岩から流れを引いて、川のように水を流れさせられた。
17ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、荒野でいと高き者にそむき、
18おのが欲のために食物を求めて、その心のうちに神を試みた。
19また彼らは神に逆らって言った、「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。
20見よ、神が岩を打たれると、水はほとばしりいで、流れがあふれた。神はまたパンを与えることができるだろうか。民のために肉を備えることができるだろうか」と。
21それゆえ、主は聞いて憤られた。火はヤコブにむかって燃えあがり、怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。
22これは彼らが神を信ぜず、その救の力を信用しなかったからである。
23しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、
24彼らの上にマナを降らせて食べさせ、天の穀物を彼らに与えられた。
25人は天使のパンを食べた。神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。
26神は天に東風を吹かせ、み力をもって南風を導かれた。
27神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、翼ある鳥を海の砂のように降らせて、
28その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。
29こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。神が彼らにその望んだものを与えられたからである。
30ところが彼らがまだその欲を離れず、食物がなお口の中にあるうちに、
31神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、彼らのうちの最も強い者を殺し、イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。
32すべてこれらの事があったにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、そのくすしきみわざを信じなかった。
33それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。
34神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、悔いて神を熱心に求めた。
35こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は 彼らのあがないぬしであることを思い出した。
36しかし彼らはその口をもって神にへつらい、その舌をもって神に偽りを言った。
37彼らの心は神にむかって堅実でなく、神の契約に真実でなかった。
38しかし神はあわれみに富まれるので、彼らの不義をゆるして滅ぼさず、しばしばその怒りをおさえて、その憤りをことごとくふり起されなかった。
39また神は、彼らがただ肉であって、過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを 思い出された。
40幾たび彼らは野で神にそむき、荒野で神を悲しませたことであろうか。
41彼らはかさねがさね神を試み、イスラエルの聖者を怒らせた。
42彼らは神の力をも、神が彼らをあだからあがなわれた日をも 思い出さなかった。
43神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、
44彼らの川を血に変らせて、その流れを飲むことができないようにされた。
45神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、かえるを送って彼らを滅ぼされた。
46また神は彼らの作物を青虫にわたし、彼らの勤労の実をいなごにわたされた。
47神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。
48神は彼らの家畜をひょうにわたし、彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。
49神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。
50神はその怒りのために道を設け、彼らの魂を死から免れさせず、そのいのちを疫病にわたされた。
51神はエジプトですべてのういごを撃ち、ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。
52こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、彼らを荒野で羊の群れのように導き、
53彼らを安らかに導かれたので 彼らは恐れることがなかった。しかし海は彼らの敵をのみつくした。
54神は彼らをその聖地に伴い、その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。
55神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、その地を分けて嗣業とし、イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。
56しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、そのもろもろのあかしを守らず、
57そむき去って、先祖たちのように真実を失い、狂った弓のようにねじれた。
58彼らは高き所を設けて神を怒らせ、刻んだ像をもって神のねたみを起した。
59神は聞いて大いに怒り、イスラエルを全くしりぞけられた。
60神は人々のなかに設けた幕屋なる シロのすまいを捨て、
61その力をとりことならせ、その栄光をあだの手にわたされた。
62神はその民をつるぎにわたし、そ の嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。
63火は彼らの若者たちを焼きつくし、彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、
64彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。
65そのとき主は眠った者のさめたように、勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、
66そのあだを撃ち退け、とこしえの恥を彼らに負わせられた。
67神はヨセフの天幕をしりぞけ、エフライムの部族を選ばず、
68ユダの部族を選び、神の愛するシオンの山を選ばれた。
69神はその聖所を高い天のように建て、とこしえに基を定められた地のように建てられた。
70神はそのしもべダビデを選んで、羊のおりから取り、
71乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。
72こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、巧みな手をもって彼らを導いた。
鍵となる聖句
われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、その力と、主のなされたくすしきみわざとを きたるべき代に告げるであろう。
詩人は、神がなされたことを子どもたちに隠そうとしません。主の誉れ、力、くすしきみわざを語り伝えることは、どの世代にも与えられた務めとして示されています。
彼らの上にマナを降らせて食べさせ、天の穀物を彼らに与えられた。 人は天使のパンを食べた。神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。
神は天の戸を開いてマナを降らせ、天の穀物を与えられました。民が不平を言うさなかにも、神は必要を満たしてくださいます。
しかし神はあわれみに富まれるので、彼らの不義をゆるして滅ぼさず、しばしばその怒りをおさえて、その憤りをことごとくふり起されなかった。
怒りの物語のただ中に、神のご性質が語られます。神はあわれみに富み、不義をゆるし、しばしばその怒りをおさえられるお方です。
神はそのしもべダビデを選んで、羊のおりから取り、 乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。 こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、巧みな手をもって彼らを導いた。
詩は、羊のおりから取られた羊飼いダビデで終わります。彼の歩みは二つの言葉で要約されます。直き心と、巧みな手です。
この章に登場する人物
説教が語っていること
詩篇78篇についてよくある質問
詩篇78篇はどういう意味ですか
詩篇78篇はイスラエルの歴史を語り、神のみわざを忘れないという教訓を引き出します。民は海が分かれ、マナが降るのを見たのに、疑い、従いませんでした。詩人は、子どもたちがこの失敗から学び、神に信頼を置き、その戒めを守ることを願っています。
詩篇78篇を書いたのは誰ですか
表題はアサフの作としています。アサフはダビデの時代の歌い手でレビ人です(歴代志上16章)。詩の中では、神に選ばれた羊飼いとしてダビデが語られています。ほかのアサフの詩篇と同じく、正確な成立時期については議論があります。
詩篇78篇を家族でどのように味わえばよいですか
1節から8節を読み、一人ひとりに、自分や家族の生活の中で神がなされた具体的なことを話してもらいましょう。詩篇が勧めるように、その話を書き留めます。最後に、7節のように、子どもたちが神に信頼を置くように祈って終えましょう。
詩篇 78を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。