はじめに
士師記4章には、イスラエルの暗い時代が描かれています。民は主から遠ざかり、カナンの王ヤビンは900両の鉄の戦車を用いて20年もの間彼らを苦しめ、男たちは無力に見えました。そんな霊的な緩みの中で、神は一人の女性、預言者であり士師でもあったデボラを起こされます。士師記4章から語られたこの説教でJM・ボトロン師が語るように、たった一人の忠実な人がいれば、民全体に正しい方向と希望を取り戻させることができるのです。デボラ、バラク、ヤエルの物語を通して、周りのすべてが崩れ落ちそうに見えるときでも、神のみこころに従う人生が何をもたらすかを、あなたにも見ていただきたいと思います。
メッセージの構成
1. イスラエルの民の状況:背信のサイクル
- 士師記は霊的な緩みの中で書かれています。「イスラエルの人々はまた主の目の前に悪を行った」(士師記4:1)。この「また」という言葉は、これで5度目です。
- 6つのサイクルそれぞれに、5つの段階が繰り返されます。背信、圧迫、悔い改め、神が起こされる士師、そして平和の時です。
- カナンの王ヤビンは、民が神に背いたために、900両の鉄の戦車、当時で言えば戦車軍団のような力で20年間イスラエルを苦しめていました。
- 征服の際の不完全な従順が、国の中に敵を残す結果となりました。姿を変えた不従順は、やがて高い代償を払わせるのです。
2. デボラ、神に仕えるみつばち
- デボラという名前は「みつばち」を意味します。みつばちのように、教会も一つの巣箱として、それぞれが働き、一つになり、他者を建て上げる蜜を生み出すよう召されています。
- 彼女は預言者です。神に耳を傾け、そのみことばを伝え、民を教えました。
- 彼女はイスラエルの士師でした。士師記に登場する12人の士師の中で唯一の女性です。それは自ら名乗り出たのではなく、神からの召しであり、当時の男性たちにさえ認められたものでした。
- 彼女はエフライムの山地、ラマとベテルの間にある「デボラの棕櫚の木」の下に座り、イスラエルの人々は彼女のもとに上って裁きを受けていました。
3. デボラからバラクへのメッセージ:「立ち上がりなさい、今日がその日です」
- 「稲妻」という意味の名を持つバラクは軍の将でしたが、敵を前にして後ずさりしました。神のことばがはっきりと与えられていたにもかかわらず、彼はデボラなしには行こうとしませんでした。
- デボラは神の計画のすべてを彼に伝えます。場所(タボル山)、人数(ナフタリとゼブルンから1万人)、そして戦略(主がシセラをキション川に引き寄せる)です。
- バラクがためらったために、勝利の栄誉は一人の女性、ヤエルのものとなります。彼は本来受け取るはずだった栄誉を失うのです。
- デボラは彼を励まします。「立ちなさい。主がシセラをあなたの手に渡される日が、今日、来ているのです。」神が先立って進まれるとき、勝利は今日のものです。
4. ヤエル、妥協しない女性
- ヤエルという名前は「山のやぎ」を意味します。彼女は神に向かって登り続け、今もなお学び続ける人でした。
- 彼女の夫ケニ人ヘベルは、ヤビンと和平を結んでいました。それでも彼女は霊的な立場を取り、夫婦間の妥協ではなく、神の側に立ちました。
- 彼女はシセラを自分の天幕に迎え入れ、彼を覆い、乳を飲ませました。そして彼が疲れ果てて眠っている間に、こめかみに杭を打ち込んだのです。神の民の敵に対する、徹底した決断でした。
- 彼女は霊的な戦いの姿を映し出しています。神の武具を身にまとい、事を最後まできっぱりと解決することです。
心に留めたいポイント
- 人の心はねじ曲がったものです。毎日の祈りとみことばの読書がなければ、あなたも必ず罪に逆戻りしてしまいます。毎日祈り、聖書を読むことこそ、あなたを立たせ続ける枠組みなのです。
- 不完全な従順は、姿を変えた不従順です。「ほんの少しだけ」と後回しにしたことは、やがて力をつけて内側からあなたを襲ってきます。
- 神はご自分が望む人を、望むときに召されます。霊的な権威は神の選びから来るのであって、文化的な習慣から来るのではありません。デボラという一人の女性が、男性中心の社会の中で士師として認められました。
- 強大な敵を前にしたとき、あなたの秘密の武器は主への信仰です。イエスが約束してくださった武具を身にまとわなければ、霊的な戦いに勝つことはできません。
- 私たちの神は奇跡の神です。20年も続いた状況を、たった一日で覆すことができるお方です。神があなたより先に進まれるとき、勝利は今日のものとなります。
個人への適用
- あなたは毎日祈り、神のみことばを読んでいますか。それとも、霊的な生活を怠りの中に流されるままにしていますか。
- あなたの人生の中に、解決しようとしなかった「小さな」妥協、不完全な従順はありませんか。それはすでにあなたを支配し始めていませんか。
- あなたはどんな証しを後に残しますか。エフデは80年の平和を残しました。あなたは周りの人にとって、平和を作る者ですか、それとも争いを作る者ですか。
- あなたはデボラのように、誰も動かないときに立ち上がる人ですか。それともバラクのように、いつも誰かが率先するのを待っている人ですか。
- ヤエルのように、身近な人たちが妥協している中でも、はっきりとした霊的な立場を取る備えができていますか。
引用された聖句
- 士師記 4章
- 士師記 17:6
- コリント人への手紙第二 13:11
- エペソ人への手紙 4:26
- ヨハネ 8:34-36
- ローマ人への手紙 12:2
- ヨシュア記 1:7
- 出エジプト記 33:15
- エペソ人への手紙 6:11
よくある質問
聖書におけるデボラとはどんな人物ですか。
デボラはラピドテの妻であり預言者で、士師記に登場する12人の士師の中で唯一の女性です。彼女はエフライムの山地、ラマとベテルの間にある「デボラの棕櫚の木」の下に座り、イスラエルの人々はそこに上って裁きを受けていました(士師記4:4-5)。
なぜバラクはデボラなしで戦いに行こうとしなかったのですか。
イスラエルの軍の将であったバラクは、デボラを通して神からはっきりとしたことばを受けていました。場所、人員、戦略、そして勝利の約束です。それでも彼は自分の霊的な権威を行使しませんでした。そのためらいのゆえに、シセラに対する勝利の栄誉は彼にではなく、一人の女性ヤエルに与えられることになります。
ヤエルの物語は霊的な戦いについて何を教えてくれますか。
ヤエルは、夫ヘベルがまさに敵と和平を結んでいるさなかにあっても、はっきりとした霊的な立場を取りました。彼女の姿は、後にパウロが語る「神の武具をすべて身に着けなさい」(エペソ人への手紙 6:11)ということの実例です。身近な人の妥協に流されず、主とともに事を最後まで決着させることを示しています。
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