伝道者の書5章:お金は決して満たさない、満たすのは神だけ

読了時間 11分

はじめに

「今朝、お金持ちになりたい人はいますか?」誰も手を挙げません。ロンドンのウェストミンスター・チャペルで語られたこのメッセージは、伝道者の書をめぐるシリーズの第7回です。人間関係、仕事に続いて、説教者はお金と富を取り上げます。シリーズを貫くテーマは変わりません。私たちの人生はシャボン玉のようなものです。ほんの一瞬輝いて見え、やがて弾けてしまいます。

説教者は話の導入として、子ども向けの詩を朗読させます。堅くて堂々とした古い樫の木が、寒さから守ってあげるというツタの申し出を受け入れます。最初は、その抱擁が暖かく感じられます。ところがツタは締めつけを強め、さらに強め、ついに樫の木は倒れてしまいます。説教者にとってこのツタは、文化として、国として、そして信者として、私たちの周りに生い茂る物質主義の姿です。「持ち物が私たちを所有する。いのちを約束したはずのものが、私たちのいのちを窒息させている。」

説教者は、この語りかけが厳しいものであり、できれば他の誰かに語ってほしかったと前置きします。目的は責めることではなく、目を覚まさせることです。「欲しい、欲しい、欲しい」と絶えず繰り返す世界とは違う生き方、つまり惜しみなく自由に生きることへの招きです。

メッセージの流れ

1. 私たちは自分で思っているより豊かである

  • 説教者はあるポッドキャストを引用します。西洋のクリスチャンはおそらく歴史上もっとも豊かであり、同時におそらくもっとも貪欲でもある、というのです。
  • 年に3万ポンド以上を稼いでいれば、世界で最も豊かな上位1%に入ります。神が99%の世話を1%に託しておられるのだとすれば、その責任は大きいものです。
  • それでも、私たちの多くは豊かだと感じていません。いつも上と比べているからです。「うちは小さな車しかない。あの人の車を見た?」
  • SNSは、私たちに足りないものを絶えず思い出させます。最新のノンフライヤー、最新の車、休暇、投資。それは恐れと個人主義に訴えかけます。
  • 水や缶詰を備蓄するようにとの呼びかけに対しても、説教者は、教会は「自分のことだけを考える」ようにと召されたことは一度もなく、最も貧しい人々を気にかけるように召されているのだと念を押します。「ほかの誰かの分も十分にあるようにしなさい。」
  • イザヤ書61章によれば、教会は神の栄光を現す「義の樫の木」と呼ばれる者になるよう召されています。しかし樫の木はツタに覆われてしまうことがあります。そのとき私たちは、使命の意識と喜びを失います。

2. 富は抑圧を生むことがある(伝道者の書5章8〜9節)

  • 「あなたがもし、悪政が行われ、国の中に正義と公道とが踏みにじられているのを見ても、それを怪しんではならない」。役人はほかの役人をかばい、さらに高い者たちがその人たちを守っているからです。
  • 問題にお金を投げ込めば解決するというほど単純ではありません。路上の人に施すことが、かえって大きな問題を生むこともあります。
  • 歴史がそれを示しています。1917年のロシア革命、1954年のグアテマラの政変とそれに続く36年の内戦、サダム・フセイン失脚後のイラクに生じた空白。貪欲な体制を倒すだけでは足りません。そのあとを継ぐ者がいつも現れるからです。
  • 伝道者の書は、すべての人のために畑を耕す王を探しています。説教者は答えます。私たちにはその王がいます。そしてその王の道具は、教会と呼ばれているのです。
  • マタイによる福音書25章で、イエスはまさにこの基準で羊と山羊を分けられます。「これらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである。」
  • 責任は神の家族の中から始まります。病気の人、囚われている人、仕事を失ったばかりの人に目を向けることです。それは地域にも広がり、教会のフードバンクとそのボランティアを通して続きます。
  • そこで終わりではありません。西洋のクリスチャンが100ポンド稼ぐごとに、他の国々へ向かうのは25ペンスです。「献げ物を地域の教会だけにとどめてはいけません。グローバルなクリスチャンになりなさい。」

3. 富は決して満たさない(伝道者の書5章10〜11節)

  • 「金を愛する者は金に満足しない。」伝道者はあまりにも率直で、それは「濡れた魚で顔をたたかれるようなもの」だと説教者は言います。
  • 富を追い求めることは、シャボン玉をつかまえようとするようなものです。ひとつも集められず、すべて弾けてしまいます。
  • 収集家はもう1枚の切手が欲しく、iPhone好きは最新モデルが欲しく、昨日買ったドレスも3か月後には時代遅れになります。
  • 「財産がふえれば、これを食う者もふえる。」お金が入ってくると、みんながあなたのパーティーに来たがります。そして、各部屋にテレビを置いても、一度に見られるのは1台だけです。
  • 説教者は、妻と買った電気毛布の話をします。初めての夜は大きな喜びでしたが、3日後にはもう忘れていました。物質的な満足は不思議なほど短いのです。
  • ベンジャミン・フランクリンはこう言いました。「お金が人を幸せにしたことは一度もないし、これからもない。持てば持つほど、もっと欲しくなる。」お金は空白を満たすどころか、空白を作り出します。
  • 私たち一人ひとりの内には、神だけが満たすことのできる空白があります。神の善、威光、愛によってです。伝道者の書は、私たちの目を永遠の世界へと引き上げ、まず神の国とその義を求めるようにと導きます。

4. ためこんだ富は害をもたらす(伝道者の書5章13〜17節)

  • 「わたしは日の下に一つの悲しむべき悪のあるのを見た。すなわち富はこれを持つ者に守られて、かえってその人に害となる。」
  • まず貪欲です。エベネーザ・スクルージのようにため込むこと、アブラハムの前で最良の土地を選んだロトのようであること、アハブのようにナボテのぶどう畑を奪い取ること。イエスは両替商の台をひっくり返されました。
  • イギリスでは大人の3人に2人が宝くじを買っています。貧しい人だけではありません。豊かな人も、さらに豊かになるために買っているのです。
  • パウロはテモテへの第一の手紙6章で、満ち足りることを知る信心は大きな利益だと書き、「金銭を愛することは、すべての悪の根である」と述べています。問題はお金ではなく、お金を愛することです。それは私たちの第一の愛に取って代わる偶像です。
  • 説教者は、自分が豊かになるために豊かさを説く説教者たちにも矛先を向けます。しばしば貧しい人々を犠牲にしてのことです。彼は、長くウェストミンスター・チャペルに関わった説教者を引用します [要補足:書き起こしでは「Michael Easton」、要確認]。繁栄を延々と説くことは「ねじ曲げられた福音」だというのです。神が教会を祝福されるのは、貧しい人々を世話するためであって、指導者を富ませるためではありません。
  • 次に、もろさです。富は悪い事業で失われることがあります。2000年代初めのITバブルは、価値の80%を失いました。ハッカーは一日で口座を空にすることができます。私たちの信頼は、株式市場にも、イングランド銀行にも、年金にもありません。
  • 最後に、満たされなさです。一生をかけて貯め込み、「暗闇の中で」悲しみと苛立ちを抱えながら、気がつけば回し車の中のハムスターのように走り続けただけで、すべてが蒸発してしまった、ということです。

5. 第一の知恵:自分の人生を楽しみなさい(伝道者の書5章18〜20節)

  • みことばの「剪定ばさみ」のあとで、伝道者は自分の知恵を示します。神が与えてくださる日々の間、食べ、飲み、労苦の実を楽しむのは良いことなのです。
  • 聖書は富そのものに対してイデオロギー的な問題を持っていません。義にかなった富める人もいれば、不義な貧しい人もいます。説教者は、南アフリカの最も貧しい子どもたちのために、毎日食事を提供している億万長者の経営者の話に触れます。
  • 神は、人の心を喜びで満たしてくださいます(20節)。神は私たちを、家族や家、仕事を楽しむことで忙しくさせてくださいます。神は気難しいクリスチャンを望んでおられません。
  • 天の通貨では、私たちはみな平等です。だれもが1日24時間を受け取り、富める者に多くもなく、貧しい者に少なくもありません。大人になってから1日しか生きないカゲロウのように、私たちにあるのは今日という日だけです。
  • イエスは、あすのことを思いわずらうな、まず神の国を求めなさいと言われました。「今日を楽しみなさい。今日、神のために生きなさい。」今日できる善を明日に延ばしてはいけません。

6. 第二の知恵:満ち足りること

  • 持てば持つほど、満足するのは難しくなります。おもちゃが増えるほど電池も必要になり、その電池は初日から空っぽです。
  • トランクルームは、この20年で西洋でもっとも成長した産業のひとつです。物があまりに多く、置き場所がわからなくなっているのです。
  • 子どものころ、説教者は日曜の午後にモノポリーで遊んでいました。まれに勝つと、メイフェアとパーク・レーンにホテルを持っていました。するとお母さんが言います。「全部片づけなさい。」すべては箱に戻されました。
  • 「すべては箱に戻る。」私たちは神の前に立って申し開きをしますが、神は私たちのホテルに感心されません。神はこう尋ねられるでしょう。あなたは自分の人生を楽しんだか。満ち足りていたか。惜しみなく与えたか。

7. 第三の知恵:惜しみなく与えること

  • 惜しみなく与えることは、お金だけのことではありません。時間、賜物、家、そして私たちのすべての持ち物にかかわります。
  • 伝道者の書11章1〜2節:「あなたのパンを水の上に投げよ、多くの日の後、あなたはそれを見いだすであろう。あなたの受ける分を七、八人に分け与えよ、あなたは地上にどんなわざわいが起るかを知らないからである。」注解者たちはここに、開かれた手と、不確かさの中でもあえて危険を負う姿勢を読み取ります。
  • 長老たちは教会の予算を報告します。現在はわずかな赤字です。説教者たちを富ませるためではなく、神が望まれるすべてのことを教会が成し遂げられるようにするためです。
  • 説教者によれば、新約聖書は十分の一献金を教えていません。聖霊に導かれて、私たちはそれよりはるかに多くをささげることができます。律法主義はお金を集めやすくしますが、一人ひとりの事情を無視します。収入の40%や50%をささげられる人もいれば、1%さえ難しい人もいます。
  • 西洋の教会では、人々は収入の平均2.5%を教会にささげています。「私たちはそれよりもっとよくできます。」多く与えられた者は、多くを求められます。
  • メッセージの最後は、ツタに首を絞められているように感じている人々のための祈りの時間です。借金、クレジットカード、あすへの恐れ。「ここは安全な場所です。」説教者はまた、マタイによる福音書5〜7章を読み返し、夫婦で話し合うよう勧めます。神は私たちをもっと惜しみなく与える者にしたいと願っておられるだろうか、と。

押さえておきたいポイント

  • 私たちは自分で思っているより豊かです。いつも上と比べているからです。この豊かさは責任です。
  • お金を愛する者は決して満たされません。富を追うことは、シャボン玉をつかまえることです。
  • すべての悪の根はお金ではなく、お金を愛することです。それが神に取って代わるからです。
  • 神は、あなたが感謝をもって今日の人生を楽しみ、神が与えてくださるものに満足することを望んでおられます。
  • すべては箱に戻ります。神の前で大切なのは、あなたがどれだけ惜しみなく生きたかです。

個人への適用

  1. 自分の生活水準を考えるとき、あなたは誰と比べていますか。より多く持つ人ですか、より少なく持つ人ですか。
  2. どんな「ツタ」があなたの人生に巻きついていますか。借金、いつももう少し欲しいという願い、あすへの恐れでしょうか。
  3. 今週、神から受け取ったもので、もっと持つのを待たずに感謝して楽しめるものは何ですか。
  4. あなたの献げ物は地域の教会で止まっていますか。それとも、他の国々のクリスチャンや貧しい人々のことも心にかけていますか。
  5. まだ定期的にささげたことがないなら、聖霊に導かれて、神のためにどれだけを取り分けられるでしょうか。

引用された聖書箇所

よくある質問

伝道者の書5章はお金について何と言っていますか。

この箇所は、お金を愛する者はお金で満たされることがないと警告しています。富は抑圧を助長することがあり、決して満足を与えず、ためこめばその持ち主に害をもたらします。しかし聖書は富そのものに対してイデオロギー的な問題を持っていません。同じ箇所が、神が与えてくださるものを感謝して楽しむよう招いているのです。

お金はすべての悪の根なのですか。

いいえ。テモテへの第一の手紙6章10節によれば、すべての悪の根は、お金を愛することです。説教者は強調します。問題は、神への愛に取って代わる欲望であり、神にあって私たちが持っている喜びと満足を失わせる偶像なのです。

新約聖書は十分の一献金を求めていますか。

説教者は、新約聖書は十分の一献金を決まりとしては教えていないと述べます。聖霊に導かれて、私たちはそれよりはるかに多くをささげることができます。収入の40%や50%をささげられる人もいれば、1%さえ難しい人もいます。説教者は、恵みの下に生きることと、神にささげる分を定期的に取り分け始めることを勧めています。

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