聖書 — 口語訳 (1955)
ダニエル書 7
概要
ダニエル書7章は、夜の幻を記します。四つの獣が海からあがり、第四の獣には、大言を吐く小さい角があります。やがて場面は天へと移り、日の老いたる者が座し、書き物が開かれ、獣は殺されます。人の子のような者が、永遠の主権を賜ります。御使は、いと高き者の聖徒が国を受けると説明します。この章は、神が歴史の諸々の力の上に主権をもっておられることを告げています。
この章の5つの区分
1バビロンの王ベルシャザルの元年に、ダニエルは床にあって夢を見、また脳中に幻を得たので、彼はその夢をしるして、その事の大意を述べた。
2ダニエルは述べて言った、「わたしは夜の幻のうちに見た。見よ、天の四方からの風が大海をかきたてると、
3四つの大きな獣が海からあがってきた。その形は、おのおの異なり、
4第一のものは、ししのようで、わしの翼をもっていたが、わたしが見ていると、その翼は抜きとられ、また地から起されて、人のように二本の足で立たせられ、かつ人の心が与えられた。
5見よ、第二の獣は熊のようであった。これはそのからだの一方をあげ、その口の歯の間に、三本の肋骨をくわえていたが、これに向かって『起きあがって、多くの肉を食らえ』と言う声があった。
6その後わたしが見たのは、ひょうのような獣で、その背には鳥の翼が四つあった。またこの獣には四つの頭があり、主権が与えられた。
7その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。
8わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった。
9わたしが見ていると、もろもろのみ座が設けられて、日の老いたる者が座しておられた。その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりもののない羊の毛のようであった。そのみ座は火の炎であり、その車輪は燃える火であった。
10彼の前から、ひと筋の火の流れが出てきた。彼に仕える者は千々、彼の前にはべる者は万々、審判を行う者はその席に着き、かずかずの書き物が開かれた。
11わたしは、その角の語る大いなる言葉の声がするので見ていたが、わたしが見ている間にその獣は殺され、そのからだはそこなわれて、燃える火に投げ入れられた。
12その他の獣はその主権を奪われたが、その命は、時と季節の来るまで延ばされた。
13わたしはまた夜の幻のうちに見ていると、見よ、人の子のような者が、天の雲に乗ってきて、日の老いたる者のもとに来ると、その前に導かれた。
14彼に主権と光栄と国とを賜い、諸民、諸族、諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって、なくなることがなく、その国は滅びることがない。
15そこで、われダニエル、わがうちなる霊は憂え、わが脳中の幻は、わたしを悩ましたので、
16わたしは、そこに立っている者のひとりに近寄って、このすべての事の真意を尋ねた。するとその者は、わたしにこの事の解き明かしを告げ知らせた。
17『この四つの大きな獣は、地に起らんとする四人の王である。
18しかしついには、いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にその国を保って、世々かぎりなく続く』。
19そこでわたしは、さらに第四の獣の真意を知ろうとした。この獣は他の獣と異なって、はなはだ恐ろしく、その歯は鉄、そのつめは青銅であって、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。
20この獣の頭には、十の角があったが、そのほかに一つの角が出てきたので、この角のために、三つの角が抜け落ちた。この角には目があり、また大きな事を語る口があって、その形は、その同類のものよりも大きく見えた。
21わたしが見ていると、この角は聖徒と戦って、彼らに勝ったが、
22ついに日の老いたる者がきて、いと高き者の聖徒のために審判をおこなった。そしてその時がきて、この聖徒たちは国を受けた。
23彼はこう言った、『第四の獣は地上の第四の国である。これはすべての国と異なって、全世界を併合し、これを踏みつけ、かつ打ち砕く。
24十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。
25彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる。
26しかし審判が行われ、彼の主権は奪われて、永遠に滅び絶やされ、
27国と主権と全天下の国々の権威とは、いと高き者の聖徒たる民に与えられる。彼らの国は永遠の国であって、諸国の者はみな彼らに仕え、かつ従う』。
28その事はここで終った。われダニエルは、これを思いまわして、非常に悩み、顔色も変った。しかし、わたしはこの事を心に留めた」。
鍵となる聖句
わたしが見ていると、もろもろのみ座が設けられて、日の老いたる者が座しておられた。その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりもののない羊の毛のようであった。そのみ座は火の炎であり、その車輪は燃える火であった。 彼の前から、ひと筋の火の流れが出てきた。彼に仕える者は千々、彼の前にはべる者は万々、審判を行う者はその席に着き、かずかずの書き物が開かれた。
ダニエルは、日の老いたる者が御座に座し、千々の者に仕えられ、書き物が開かれるのを見ます。この場面は、審判が神のものであることを告げています。
わたしはまた夜の幻のうちに見ていると、見よ、人の子のような者が、天の雲に乗ってきて、日の老いたる者のもとに来ると、その前に導かれた。 彼に主権と光栄と国とを賜い、諸民、諸族、諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって、なくなることがなく、その国は滅びることがない。
人の子のような者が、すべての民に対する永遠の主権を賜ります。キリスト者はそこにイエスを見ます。イエスはこの表現を、ご自身について語るために用いられました。
しかしついには、いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にその国を保って、世々かぎりなく続く』。
いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にそれを保ちます。次々と興る国々に対して、約束は神の民に与えられています。
彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる。
小さい角は、いと高き者に敵して言葉を出し、ひと時と、ふた時と、半時の間、聖徒を悩まします。この期間の解釈はさまざまです。
説教が語っていること
ダニエル書7章についてよくある質問
ダニエル書7章の四つの獣は何を意味しますか
ダニエルに与えられた説明によれば、四つの大きな獣は、地に起こる四つの国、あるいは四人の王です。その正確な特定についてはキリスト者の意見が一致せず、バビロン、ペルシア、ギリシア、ローマと見る人もいれば、別の読み方をする人もいます。中心となるメッセージは、神がそれらの上に主権をもっておられることです。
日の老いたる者とはだれですか
日の老いたる者は、この幻の中で神に与えられた呼び名です。雪のように白い衣、火の炎のような御座、仕える千々の者が描かれます。神は審判のために座し、書き物が開かれます。この描写は、神の永遠性と、地上のあらゆる力に対する権威を示しています。
ダニエル書7章13節の人の子とはだれですか
人の子のような者が雲に乗ってきて、日の老いたる者から永遠の主権を賜ります。キリスト者はそこにイエスを見ます。イエスがこの称号をご自身に用いられたからです。一部のユダヤ人は、これを集合的な存在、あるいはメシヤ的な存在と見ます。本文自体は、来るかたに与えられた普遍的な権威を強調しています。
小さい角は何を表していますか
小さい角は第四の獣から出て、大言を吐き、聖徒と戦います。解き明かしは、これをいと高き者に敵する、起こるひとりの王と結びつけています。その正体については解釈者の間で意見が分かれます。本文は、その主権が奪われ、審判が聖徒のために行われることを明らかにしています。
ダニエル書 7を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。