聖書 — 口語訳 (1955)
テトスへの手紙 1
概要
パウロは、諸教会を整えるためにクレテに残したテトスに手紙を書きます。まず土台を据えます。信仰と、信心にかなう真理は、偽りのない神が約束された永遠のいのちの望みに基づいています。次に、責められる点がなく、健全な教えを守る長老を立てるよう求めます。最後に、家庭を惑わし、行いが言葉を裏切る偽教師への警告で締めくくります。
この章の3つの区分
1神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、
2偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。
3神は、定められた時に及んで、御言を宣教によって明らかにされたが、わたしは、わたしたちの救主なる神の任命によって、この宣教をゆだねられたのである――
4信仰を同じうするわたしの真実の子テトスへ。父なる神とわたしたちの救主キリスト・イエスから、恵みと平安とが、あなたにあるように。
5あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。
6長老は、責められる点がなく、ひとりの妻の夫であって、その子たちも不品行のうわさをたてられず、親不孝をしない信者でなくてはならない。
7監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、
8かえって、旅人をもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、信仰深く、自制する者であり、
9教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。
10実は、法に服さない者、空論に走る者、人の心を惑わす者が多くおり、とくに、割礼のある者の中に多い。
11彼らの口を封ずべきである。彼らは恥ずべき利のために、教えてはならないことを教えて、数々の家庭を破壊してしまっている。
12クレテ人のうちのある預言者が「クレテ人は、いつもうそつき、たちの悪いけもの、なまけ者の食いしんぼう」と言っているが、
13この非難はあたっている。だから、彼らをきびしく責めて、その信仰を健全なものにし、
14ユダヤ人の作り話や、真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい。
15きよい人には、すべてのものがきよい。しかし、汚れている不信仰な人には、きよいものは一つもなく、その知性も良心も汚れてしまっている。
16彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。
鍵となる聖句
神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、 偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。
パウロは、信仰と真理と信心を結びつけ、偽りのない神が約束された永遠のいのちの望みの上に据えます。何を信じているかと、どう生きるかは切り離せません。
あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。
テトスに託された使命は、し残してあることを整理し、町々に長老を立てることです。長老は複数形で書かれており、ひとりの指導者ではなく、分かち合う指導を示しています。
監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、
パウロは指導者を、神に仕える者、すなわち他者のものを預かる管理人として描きます。わがままでなく、軽々しく怒らず、乱暴でなく、利をむさぼらないという否定の条件の列挙は、権力の危うさを雄弁に物語っています。
教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。
長老は、教えにかなった信頼すべき言葉を守り、健全な教えによって人をさとし、反対者の誤りを指摘できなければなりません。福音を教え、守る力も使命の一部です。
彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。
章は対比で終わります。神を知っていると口で言いながら、行いでそれを否定することはできてしまいます。信仰告白を裏づけも否定もするのは、その人の行いです。
説教が語っていること
テトスへの手紙1章についてよくある質問
テトスへの手紙1章の中心的なメッセージは何ですか
パウロは、福音の真理が信心深い生き方へ導くことを思い起こさせ、町ごとに、責められる点がなく健全な教えを教えられる教会の指導者を立てるよう求めます。そして、行いが言葉と矛盾する偽教師への警告で結びます。
テトスへの手紙1章5節から9節は、長老にどんな資質を求めていますか
本文は、責められる点がなく、家庭で誠実であり、わがままでなく、軽々しく怒らず、乱暴でなく、利をむさぼらず、旅人をもてなし、正しく、自制し、教えにかなった言葉を守る人を描いています。健全な教えによって人をさとし、反対する者に答えられなければなりません。女性の指導的な立場をめぐってなど、この箇所の理解は教会ごとに異なりますが、人格が大切だという点では一致しています。
なぜパウロは12節でクレテ人の預言者の言葉を引用するのですか
パウロはクレテの詩人が同胞を厳しく評した言葉を取り上げ、この証言は当たっていると述べます。外から語っているのではなく、彼らがよく知っている言葉に拠っているのです。目的は民族を断罪することではなく、信者が健全な信仰を取り戻せるよう、きびしく責めることを正当化することです。
テトスへの手紙 1を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。