聖書 — 口語訳 (1955)

創世記 37

概要

創世記37章は、ヨセフの物語の幕開けです。17歳のヨセフは父ヤコブに愛され、家族が自分にひれ伏す二つの夢を見ます。それが兄たちの憎しみをあおります。兄たちのもとへ遣わされたヨセフは、ドタンで穴に投げ込まれ、銀二十シケルで商人に売られ、エジプトへ連れて行かれます。ヤコブは死んだと思い込んだ息子のために嘆きます。神の名は出てきませんが、この章は、神がすべてを導き、ついに家族を救い出される物語への備えとなっています。

この章の5つの区分

  1. 1-4節愛された子ヨセフと長そでの着物
  2. 5-11節二つの夢と兄たちのねたみ
  3. 12-24節ドタンでの陰謀:穴
  4. 25-30節イシマエル人に売られるヨセフ
  5. 31-36節血に染まった着物とヤコブの嘆き

1ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。

2ヤコブの子孫は次のとおりである。ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。

3ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。

4兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。

5ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。

6ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。

7わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。

8すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。

9ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。

10彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。

11兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。

12さて兄弟たちがシケムに行って、父の羊の群れを飼っていたとき、

13イスラエルはヨセフに言った、「あなたの兄弟たちはシケムで羊を飼っているではないか。さあ、あなたを彼らの所へつかわそう」。ヨセフは父に言った、「はい、行きます」。

14父は彼に言った、「どうか、行って、あなたの兄弟たちは無事であるか、また群れは無事であるか見てきて、わたしに知らせてください」。父が彼をヘブロンの谷からつかわしたので、彼はシケムに行った。

15ひとりの人が彼に会い、彼が野をさまよっていたので、その人は彼に尋ねて言った、「あなたは何を捜しているのですか」。

16彼は言った、「兄弟たちを捜しているのです。彼らが、どこで羊を飼っているのか、どうぞわたしに知らせてください」。

17その人は言った、「彼らはここを去りました。彼らが『ドタンへ行こう』と言うのをわたしは聞きました」。そこでヨセフは兄弟たちのあとを追って行って、ドタンで彼らに会った。

18ヨセフが彼らに近づかないうちに、彼らははるかにヨセフを見て、これを殺そうと計り、

19互に言った、「あの夢見る者がやって来る。

20さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。そして彼の夢がどうなるか見よう」。

21ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から救い出そうとして言った、「われわれは彼の命を取ってはならない」。

22ルベンはまた彼らに言った、「血を流してはいけない。彼を荒野のこの穴に投げ入れよう。彼に手をくだしてはならない」。これはヨセフを彼らの手から救いだして父に返すためであった。

23さて、ヨセフが兄弟たちのもとへ行くと、彼らはヨセフの着物、彼が着ていた長そでの着物をはぎとり、

24彼を捕えて穴に投げ入れた。その穴はからで、その中に水はなかった。

25こうして彼らはすわってパンを食べた。時に彼らが目をあげて見ると、イシマエルびとの隊商が、らくだに香料と、乳香と、もつやくとを負わせてエジプトへ下り行こうとギレアデからやってきた。

26そこでユダは兄弟たちに言った、「われわれが弟を殺し、その血を隠して何の益があろう。

27さあ、われわれは彼をイシマエルびとに売ろう。彼はわれわれの兄弟、われわれの肉身だから、彼に手を下してはならない」。兄弟たちはこれを聞き入れた。

28時にミデアンびとの商人たちが通りかかったので、彼らはヨセフを穴から引き上げ、銀二十シケルでヨセフをイシマエルびとに売った。彼らはヨセフをエジプトへ連れて行った。

29さてルベンは穴に帰って見たが、ヨセフが穴の中にいなかったので、彼は衣服を裂き、

30兄弟たちのもとに帰って言った、「あの子はいない。ああ、わたしはどこへ行くことができよう」。

31彼らはヨセフの着物を取り、雄やぎを殺して、着物をその血に浸し、

32その長そでの着物を父に持ち帰って言った、「わたしたちはこれを見つけましたが、これはあなたの子の着物か、どうか見さだめてください」。

33父はこれを見さだめて言った、「わが子の着物だ。悪い獣が彼を食ったのだ。確かにヨセフはかみ裂かれたのだ」。

34そこでヤコブは衣服を裂き、荒布を腰にまとって、長い間その子のために嘆いた。

35子らと娘らとは皆立って彼を慰めようとしたが、彼は慰められるのを拒んで言った、「いや、わたしは嘆きながら陰府に下って、わが子のもとへ行こう」。こうして父は彼のために泣いた。

36さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの役人、侍衛長ポテパルにヨセフを売った。

鍵となる聖句

3節
ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。

ヤコブはヨセフを他のどの子よりも愛し、長そでの着物を作ってやりました。あからさまなえこひいきがねたみを育て、家族の悲劇の扉を開きます。

5-8節
ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。 ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。 わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。 すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。

ヨセフの夢は将来の高い地位を告げますが、兄たちはそれを脅威として聞きます。夢と言葉のゆえに、兄たちはいっそうヨセフを憎みます。

20節
さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。そして彼の夢がどうなるか見よう」。

兄たちはヨセフを殺し、「彼の夢がどうなるか見よう」と言います。そうとは知らずに、夢を試練の前に立たせます。そして、その夢を成就させるのは神です。

28節
時にミデアンびとの商人たちが通りかかったので、彼らはヨセフを穴から引き上げ、銀二十シケルでヨセフをイシマエルびとに売った。彼らはヨセフをエジプトへ連れて行った。

ヨセフは、ユダの提案のあと、銀二十シケルで売られます。殺すのでなく売るという選択がヨセフの命を救い、神の計画が展開されるエジプトへ彼を連れて行きます。

この章に登場する人物

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説教が語っていること

創世記37章についてよくある質問

創世記37章のメッセージは何ですか?

この章は、ヤコブのえこひいきとヨセフの夢にあおられたねたみが、兄たちを弟を売るところまで導く様子を語ります。神の名はここには出てきませんが、このあとの書全体が、神が歴史を導いておられることを示します。この章は、私たちの家族関係を見つめ直し、不当な状況の中でも神が働かれると信じるよう招きます。

ヨセフの夢は何を意味しますか?

束がひれ伏す夢と、太陽と月と十一の星がひれ伏す夢は、ヨセフが家族の前で権威ある地位を受けることを告げています。兄たちも父もその意味を悟り、それが怒りを呼びました。夢は数年後、家族が穀物を求めてエジプトに来たときに成就します。

なぜヨセフの兄たちは彼を売ったのですか?

兄たちは、ヤコブの偏愛、着物、そして夢のゆえにヨセフを憎んでいました。いったんは殺そうと考えたあと、穴に投げ込みます。やがてユダが、血を流すよりも売ろうと提案します。ヨセフは自分たちの兄弟、自分たちの肉だからです。こうして、エジプトへ向かう商人たちに銀二十シケルで引き渡されました。

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