聖書 — 口語訳 (1955)

民数記 21

概要

民数記21章は、四十年の荒野の旅の終わり近くを舞台にします。アラデの王に勝ったあと、民はしびれを切らして神とモーセに不平を言います。火のへびが民をかみ、民は罪を認め、神はモーセに、青銅のへびをさおの上に掛けるよう命じます。それを仰いで見る者は生きるのです。イエスはヨハネによる福音書3章でこの姿を取り上げます。章はそのあと、モアブへの旅程、井戸の歌、そしてシホンとオグへの勝利を語ります。

この章の4つの区分

  1. 1-3節アラデの王に対する勝利
  2. 4-9節つぶやき、へび、青銅のへび
  3. 10-20節モアブへの旅程と井戸の歌
  4. 21-35節シホンへの勝利、そしてバシャンの王オグへの勝利

1時にネゲブに住んでいたカナンびとアラデの王は、イスラエルがアタリムの道をとおって来ると聞いて、イスラエルを攻撃し、そのうちの数人を捕虜にした。

2そこでイスラエルは主に誓いを立てて言った、「もし、あなたがこの民をわたしの手にわたしてくださるならば、わたしはその町々をことごとく滅ぼしましょう」。

3主はイスラエルの言葉を聞きいれ、カナンびとをわたされたので、イスラエルはそのカナンびとと、その町々とをことごとく滅ぼした。それでその所の名はホルマと呼ばれた。

4民はホル山から進み、紅海の道をとおって、エドムの地を回ろうとしたが、民はその道に堪えがたくなった。

5民は神とモーセとにむかい、つぶやいて言った、「あなたがたはなぜわたしたちをエジプトから導き上って、荒野で死なせようとするのですか。ここには食物もなく、水もありません。わたしたちはこの粗悪な食物はいやになりました」。

6そこで主は、火のへびを民のうちに送られた。へびは民をかんだので、イスラエルの民のうち、多くのものが死んだ。

7民はモーセのもとに行って言った、「わたしたちは主にむかい、またあなたにむかい、つぶやいて罪を犯しました。どうぞへびをわたしたちから取り去られるように主に祈ってください」。モーセは民のために祈った。

8そこで主はモーセに言われた、「火のへびを造って、それをさおの上に掛けなさい。すべてのかまれた者が仰いで、それを見るならば生きるであろう」。

9モーセは青銅で一つのへびを造り、それをさおの上に掛けて置いた。すべてへびにかまれた者はその青銅のへびを仰いで見て生きた。

10イスラエルの人々は道を進んでオボテに宿営した。

11またオボテから進んで東の方、モアブの前にある荒野において、イエアバリムに宿営した。

12またそこから進んでゼレデの谷に宿営し、

13さらにそこから進んでアルノン川のかなたに宿営した。アルノン川はアモリびとの境から延び広がる荒野を流れるもので、モアブとアモリびととの間にあって、モアブの境をなしていた。

14それゆえに、「主の戦いの書」にこう言われている。「スパのワヘブ、アルノンの谷々、

15谷々の斜面、アルの町まで傾き、モアブの境に寄りかかる」。

16彼らはそこからベエルへ進んで行った。これは主がモーセにむかって、「民を集めよ。わたしはかれらに水を与えるであろう」と言われた井戸である。

17その時イスラエルはこの歌をうたった。「井戸の水よ、わきあがれ、人々よ、この井戸のために歌え、

18笏とつえとをもって つかさたちがこの井戸を掘り、民のおさたちがこれを掘った」。そして彼らは荒野からマッタナに進み、

19マッタナからナハリエルに、ナハリエルからバモテに、

20バモテからモアブの野にある谷に行き、荒野を見おろすピスガの頂に着いた。

21ここでイスラエルはアモリびとの王シホンに使者をつかわして言わせた、

22「わたしにあなたの国を通らせてください。わたしたちは畑にもぶどう畑にも、はいりません。また井戸の水も飲みません。わたしたちはあなたの領地を通り過ぎるまで、ただ王の大路を通ります」。

23しかし、シホンはイスラエルに自分の領地を通ることを許さなかった。そしてシホンは民をことごとく集め、荒野に出て、イスラエルを攻めようとし、ヤハズにきてイスラエルと戦った。

24イスラエルは、やいばで彼を撃ちやぶり、アルノンからヤボクまで彼の地を占領し、アンモンびとの境に及んだ。ヤゼルはアンモンびとの境だからである。

25こうしてイスラエルはこれらの町々をことごとく取った。そしてイスラエルはアモリびとのすべての町々に住み、ヘシボンとそれに附属するすべての村々にいた。

26ヘシボンはアモリびとの王シホンの都であって、シホンはモアブの以前の王と戦って、彼の地をアルノンまで、ことごとくその手から奪い取ったのである。

27それゆえに歌にうたわれている。「人々よ、ヘシボンにきたれ、シホンの町を築き建てよ。

28ヘシボンから火が燃え出し、シホンの都から炎が出て、モアブのアルを焼き尽し、アルノンの高地の君たちを滅ぼしたからだ。

29モアブよ、お前はわざわいなるかな、ケモシの民よ、お前は滅ぼされるであろう。彼は、むすこらを逃げ去らせ、娘らをアモリびとの王シホンの捕虜とならせた。

30彼らの子らは滅び去った、ヘシボンからデボンまで。われわれは荒した、火はついてメデバに及んだ」。

31こうしてイスラエルはアモリびとの地に住んだが、

32モーセはまた人をつかわしてヤゼルを探らせ、ついにその村々を取って、そこにいたアモリびとを追い出し、

33転じてバシャンの道に上って行ったが、バシャンの王オグは、その民をことごとく率い、エデレイで戦おうとして出迎えた。

34主はモーセに言われた、「彼を恐れてはならない。わたしは彼とその民とその地とを、ことごとくあなたの手にわたす。あなたはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように彼にもするであろう」。

35そこで彼とその子とすべての民とを、ひとり残らず撃ち殺して、その地を占領した。

鍵となる聖句

5節
民は神とモーセとにむかい、つぶやいて言った、「あなたがたはなぜわたしたちをエジプトから導き上って、荒野で死なせようとするのですか。ここには食物もなく、水もありません。わたしたちはこの粗悪な食物はいやになりました」。

民は神とモーセにむかって不平を言い、エジプトを恋しがります。神が備えてくださっているのに、荒野の食物をいやがります。

7節
民はモーセのもとに行って言った、「わたしたちは主にむかい、またあなたにむかい、つぶやいて罪を犯しました。どうぞへびをわたしたちから取り去られるように主に祈ってください」。モーセは民のために祈った。

民は自分の罪を認め、モーセのとりなしを求めます。これは悔い改めの時であり、神が与えてくださる解決に先立っています。

8-9節
そこで主はモーセに言われた、「火のへびを造って、それをさおの上に掛けなさい。すべてのかまれた者が仰いで、それを見るならば生きるであろう」。 モーセは青銅で一つのへびを造り、それをさおの上に掛けて置いた。すべてへびにかまれた者はその青銅のへびを仰いで見て生きた。

神は単純で驚くべき救いの方法を与えられます。さおに掛けられたへびを仰いで見ることです。救いは努力ではなく、神が備えられたものへの信頼から来ます。

34節
主はモーセに言われた、「彼を恐れてはならない。わたしは彼とその民とその地とを、ことごとくあなたの手にわたす。あなたはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように彼にもするであろう」。

オグとの戦いの前に、神はモーセを力づけます。シホンのときと同じように、この王もすでにその手に渡してあると言われます。

この章に登場する人物

説教が語っていること

民数記21章についてよくある質問

民数記21章の青銅のへびは何を意味しますか。

神はモーセに、さおの上に青銅のへびを掛けるよう命じ、かまれた者はそれを仰いで見て生きました。ヨハネによる福音書で、イエスはご自身が十字架に上げられることをこの出来事にたとえておられます。信じる者には永遠のいのちがあります。へびを仰ぐことは、神への信頼の姿です。

6節で神がへびを送られたのはなぜですか。

本文は、この出来事を民のつぶやきと結びつけています。民は神とモーセにむかって不平を言い、荒野の食物を軽んじました。そのあと民は自分の罪を認め、神はいやしの手段を与えられます。神の裁きをどう理解するかについては読み手の間で見方が分かれますが、物語は悔い改めと恵みを強調しています。

民数記21章とヨハネ3章14節にはどんな関係がありますか。

ヨハネ3章14節は、モーセが荒野でへびを上げたように、人の子も上げられなければならないと語ります。イエスはこの物語を十字架の予告として用いておられるのです。どちらの場合も、いのちは、救いのために神が備えられたものを信頼して仰ぐ人に差し出されています。

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