聖書 — 口語訳 (1955)
列王紀下 5
概要
列王記第二5章は、シリヤの軍の長ナアマンの物語です。彼は力ある人でしたが、らい病を患っていました。イスラエルから捕らえられた小さな少女のことばを聞いて預言者エリシャのもとを訪れると、ヨルダン川に七度身を浸すよう命じられます。ナアマンは初め激しく怒りますが、しもべたちの勧めで従い、きよめられます。そして、イスラエルの神こそただひとりのまことの神であると告白します。章の終わりは、貪欲と偽りのために堕落するエリシャのしもべゲハジとの対比です。このテキストは、へりくだりと、無代価で受ける恵みについて語っています。
この章の4つの区分
1スリヤ王の軍勢の長ナアマンはその主君に重んじられた有力な人であった。主がかつて彼を用いてスリヤに勝利を得させられたからである。彼は大勇士であったが、重い皮膚病をわずらっていた。
2さきにスリヤびとが略奪隊を組んで出てきたとき、イスラエルの地からひとりの少女を捕えて行った。彼女はナアマンの妻に仕えたが、
3その女主人にむかって、「ああ、御主人がサマリヤにいる預言者と共におられたらよかったでしょうに。彼はその重い皮膚病をいやしたことでしょう」と言ったので、
4ナアマンは行って、その主君に、「イスラエルの地からきた娘がこういう事を言いました」と告げると、
5スリヤ王は言った、「それでは行きなさい。わたしはイスラエルの王に手紙を書きましょう」。そこで彼は銀十タラントと、金六千シケルと、晴れ着十着を携えて行った。
6彼がイスラエルの王に持って行った手紙には、「この手紙があなたにとどいたならば、わたしの家来ナアマンを、あなたにつかわしたことと御承知ください。あなたに彼の重い皮膚病をいやしていただくためです」とあった。
7イスラエルの王はその手紙を読んだ時、衣を裂いて言った、「わたしは殺したり、生かしたりすることのできる神であろうか。どうしてこの人は、重い皮膚病の男をわたしにつかわして、それをいやせと言うのか。あなたがたは、彼がわたしに争いをしかけているのを知って警戒するがよい」。
8神の人エリシャは、イスラエルの王がその衣を裂いたことを聞き、王に人をつかわして言った、「どうしてあなたは衣を裂いたのですか。彼をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば彼はイスラエルに預言者のあることを知るようになるでしょう」。
9そこでナアマンは馬と車とを従えてきて、エリシャの家の入口に立った。
10するとエリシャは彼に使者をつかわして言った、「あなたはヨルダンへ行って七たび身を洗いなさい。そうすれば、あなたの肉はもとにかえって清くなるでしょう」。
11しかしナアマンは怒って去り、そして言った、「わたしは、彼がきっとわたしのもとに出てきて立ち、その神、主の名を呼んで、その箇所の上に手を動かして、重い皮膚病をいやすのだろうと思った。
12ダマスコの川アバナとパルパルはイスラエルのすべての川水にまさるではないか。わたしはこれらの川に身を洗って清まることができないのであろうか」。こうして彼は身をめぐらし、怒って去った。
13その時、しもべたちは彼に近よって言った、「わが父よ、預言者があなたに、何か大きな事をせよと命じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして彼はあなたに『身を洗って清くなれ』と言うだけではありませんか」。
14そこでナアマンは下って行って、神の人の言葉のように七たびヨルダンに身を浸すと、その肉がもとにかえって幼な子の肉のようになり、清くなった。
15彼はすべての従者を連れて神の人のもとに帰ってきて、その前に立って言った、「わたしは今、イスラエルのほか、全地のどこにも神のおられないことを知りました。それゆえ、どうぞ、しもべの贈り物を受けてください」。
16エリシャは言った、「わたしの仕える主は生きておられる。わたしは何も受けません」。彼はしいて受けさせようとしたが、それを拒んだ。
17そこでナアマンは言った、「もしお受けにならないのであれば、どうぞ騾馬に二駄の土をしもべにください。これから後しもべは、他の神には燔祭も犠牲もささげず、ただ主にのみささげます。
18どうぞ主がこの事を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの主君がリンモンの宮にはいって、そこで礼拝するとき、わたしの手によりかかることがあり、またわたしもリンモンの宮で身をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの宮で身をかがめる時、どうぞ主がその事を、しもべにおゆるしくださるように」。
19エリシャは彼に言った、「安んじて行きなさい」。ナアマンがエリシャを離れて少し行ったとき、
20神の人エリシャのしもべゲハジは言った、「主人はこのスリヤびとナアマンをいたわって、彼が携えてきた物を受けなかった。主は生きておられる。わたしは彼のあとを追いかけて、彼から少し、物を受けよう」。
21そしてゲハジはナアマンのあとを追ったが、ナアマンは自分のあとから彼が走ってくるのを見て、車から降り、彼を迎えて、「変った事があるのですか」と言うと、
22彼は言った、「無事です。主人がわたしをつかわして言わせます、『ただいまエフライムの山地から、預言者のともがらのふたりの若者が、わたしのもとに来ましたので、どうぞ彼らに銀一タラントと晴れ着二着を与えてください』」。
23ナアマンは、「どうぞ二タラントを受けてください」と言って彼にしい、銀二タラントを二つの袋に入れ、晴れ着二着を添えて、自分のふたりのしもべに渡したので、彼らはそれを負ってゲハジの先に立って進んだが、
24彼は丘にきたとき、それを彼らの手から受け取って家のうちにおさめ、人々を送りかえしたので、彼らは去った。
25彼がはいって主人の前に立つと、エリシャは彼に言った、「ゲハジよ、どこへ行ってきたのか」。彼は言った、「しもべはどこへも行きません」。
26エリシャは言った、「あの人が車をはなれて、あなたを迎えたとき、わたしの心はあなたと一緒にそこにいたではないか。今は金を受け、着物を受け、オリブ畑、ぶどう畑、羊、牛、しもべ、はしためを受ける時であろうか。
27それゆえ、ナアマンの重い皮膚病はあなたに着き、ながくあなたの子孫に及ぶであろう」。彼がエリシャの前を出ていくとき、重い皮膚病が発して雪のように白くなっていた。
鍵となる聖句
その女主人にむかって、「ああ、御主人がサマリヤにいる預言者と共におられたらよかったでしょうに。彼はその重い皮膚病をいやしたことでしょう」と言ったので、
故郷から連れ去られた小さな少女が、神の恵みの橋渡しとなります。そんな境遇にあっても、彼女は信仰をもって預言者のことを語ります。神は、もっとも小さく、思いがけない人をも用いられます。
しかしナアマンは怒って去り、そして言った、「わたしは、彼がきっとわたしのもとに出てきて立ち、その神、主の名を呼んで、その箇所の上に手を動かして、重い皮膚病をいやすのだろうと思った。 ダマスコの川アバナとパルパルはイスラエルのすべての川水にまさるではないか。わたしはこれらの川に身を洗って清まることができないのであろうか」。こうして彼は身をめぐらし、怒って去った。
ナアマンは、癒やしの方法が期待と違ったために怒ります。身分にふさわしい儀式を期待していたのに、ごくふつうの川で身を洗うよう言われたのです。
その時、しもべたちは彼に近よって言った、「わが父よ、預言者があなたに、何か大きな事をせよと命じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして彼はあなたに『身を洗って清くなれ』と言うだけではありませんか」。 そこでナアマンは下って行って、神の人の言葉のように七たびヨルダンに身を浸すと、その肉がもとにかえって幼な子の肉のようになり、清くなった。
ナアマンのしもべたちが、彼が考えを改める助けをします。難しいことなら、きっとやったでしょう。エリシャの素朴なことばに従ったとき、彼はきよめられました。神はしばしば、へりくだった方法で働かれます。
彼はすべての従者を連れて神の人のもとに帰ってきて、その前に立って言った、「わたしは今、イスラエルのほか、全地のどこにも神のおられないことを知りました。それゆえ、どうぞ、しもべの贈り物を受けてください」。 エリシャは言った、「わたしの仕える主は生きておられる。わたしは何も受けません」。彼はしいて受けさせようとしたが、それを拒んだ。
ナアマンはイスラエルの神を告白しますが、エリシャは一切の贈り物を断ります。神の賜物は無代価のままです。ゲハジはそれを後で理解しませんでした。
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列王紀下5章についてよくある質問
なぜナアマンは初めエリシャに腹を立てたのですか
預言者による派手なしるしを期待していたのに、エリシャは家から出てもきませんでした。さらにナアマンは、ダマスコの川のほうがヨルダンよりよいと考えました。将軍としてのプライドが傷ついたのです。しもべたちが、従順の素朴さへと彼を引き戻しました。
なぜナアマンはヨルダン川に七度身を浸さなければならなかったのですか
聖書は理由を述べていませんが、七という数は聖書で完全さを思わせます。この命令は何よりナアマンのへりくだりを試すものです。自分の期待を手放して、素朴なことばに従わなければなりませんでした。きよめは水そのものからではなく、神から来ます。
列王記第二5章でのゲハジの罪は何ですか
エリシャがあらゆる支払いを断ったのに、ゲハジはナアマンを追いかけ、偽りを言って銀と着物を手に入れます。神の無代価の賜物を、個人的な利益に変えてしまったのです。エリシャは彼の罪を見抜き、ナアマンのらい病がゲハジにつきます。
列王紀下 5を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。