聖書 — 口語訳 (1955)
創世記 6
概要
創世記6章は、人が暴虐で満たした世界から始まります。神はそれをご覧になり、心を痛め、さばきを告げられます。それでも、この暗い現実の中で、ひとりの人が神の前に恵みを得ます。神とともに歩んだノアです。主は彼に箱舟の設計を示し、契約を結ぶと約束されます。章は、神が命じられたとおりにすべてを行ったノアの従順で終わります。ここには、罪の重さと、恵みを先に与えてくださる神の働きが、ともに描かれています。
この章の5つの区分
1人が地のおもてにふえ始めて、娘たちが彼らに生れた時、
2神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。
3そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」。
4そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。
5主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。
6主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、
7「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。
8しかし、ノアは主の前に恵みを得た。
9ノアの系図は次のとおりである。ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。
10ノアはセム、ハム、ヤペテの三人の子を生んだ。
11時に世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。
12神が地を見られると、それは乱れていた。すべての人が地の上でその道を乱したからである。
13そこで神はノアに言われた、「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。
14あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中にへやを設け、アスファルトでそのうちそとを塗りなさい。
15その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトとし、
16箱舟に屋根を造り、上へ一キュビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。
17わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。
18ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。
19またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない。
20すなわち、鳥はその種類にしたがい獣はその種類にしたがい、また地のすべての這うものも、その種類にしたがって、それぞれ二つずつ、あなたのところに入れて、命を保たせなさい。
21また、すべての食物となるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの食物としなさい」。
22ノアはすべて神の命じられたようにした。
鍵となる聖句
そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」。
神は百二十年という期限を定められます。人の寿命の限度と見る人もいれば、洪水までに与えられた忍耐の猶予と見る人もいます。どちらの理解でも、この節は神のもとに立ち返るために与えられた時間を語っています。
主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。 主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、
診断は厳しいものです。悪は行いだけでなく、心に思いはかることにまで及んでいました。神が心を痛められたことは、神が無関心ではなく、罪が神ご自身に痛みを与えることを示しています。
ノアの系図は次のとおりである。ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。
ノアは正しく、かつ全き人であり、神とともに歩みました。それは非の打ちどころのない完全さではなく、日々神に向かって生きる歩みのことです。
ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。
聖書で初めて契約が語られる箇所です。洪水が来る前に、神はノアとその家族に対して自ら責任を負うと約束されます。
この章に登場する人物
説教が語っていること
創世記6章についてよくある質問
「ノアは主の前に恵みを得た」(創世記6章8節)とはどういう意味ですか。
ノアが、自分で得たものではない神の好意を受けたという意味です。この節は、ノアが正しい人と記される前に置かれており、恵みが先にあります。恵みは従順を免除するものではなく、ノアはそのあと神が命じられたことをすべて行いました。しかし従順は恵みへの応答であり、恵みを勝ち取るものではありません。
創世記6章2節の「神の子たち」とは誰のことですか。
本文は明らかにしておらず、読み方は分かれます。霊的な存在や御使いと見る人もいれば、セツの子孫がカインの子孫と混じり合ったと見る人もいます。いずれにしても、この章が強調するのは彼らの正体よりも、その結果として広がった全体的な堕落と、迫りくるさばきです。
創世記6章の中心的なメッセージは何ですか。
罪は地を深く損ない、神を悲しませます。しかし神は人類を行き場のないままにはされません。神が主導して、ノアに恵みを与え、契約を結び、救われる道を備えられます。ノアは信頼と従順をもって、箱舟を造ることで応えました。
創世記6章3節の「百二十年」は何を意味しますか。
よく知られた理解が二つあります。一つは、神が人の寿命の限度をおよそ百二十年と定められたというものです。もう一つは、ノアが箱舟を造っているあいだ、洪水までに人々に与えられた忍耐の猶予だというものです。本文はそれ以上語りませんが、どちらの理解も、神が立ち返るための時間を残してくださることを示しています。
創世記 6を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。