聖書 — 口語訳 (1955)

イザヤ書 49

概要

イザヤ書49章には、しもべの第二の歌があります。母の胎にいるときから召されたしもべは、自分の疲れを打ち明け、そのあとイスラエルを超える使命を受けます。諸国民の光となり、救いを地の果にまでいたらせることです。神はさらに、囚人を解放し、水のわく所へ導くと約束されます。見捨てられたと思っているシオンは、聖書の中でも最も美しい約束の一つを聞きます。神は忘れることなく、手のひらにシオンを彫り刻まれたのです。

この章の5つの区分

  1. 1-6節しもべの召しと、諸国民への使命
  2. 7-13節囚人の解放と、被造物の喜び
  3. 14-18節神はシオンを忘れない
  4. 19-23節子らの帰還と、増え広がる民
  5. 24-26節神は民のために戦い、救い主として現れる

1海沿いの国々よ、わたしに聞け。遠いところのもろもろの民よ、耳を傾けよ。主はわたしを生れ出た時から召し、母の胎を出た時からわが名を語り告げられた。

2主はわが口を鋭利なつるぎとなし、わたしをみ手の陰にかくし、とぎすました矢となして、箙にわたしを隠された。

3また、わたしに言われた、「あなたはわがしもべ、わが栄光をあらわすべきイスラエルである」と。

4しかし、わたしは言った、「わたしはいたずらに働き、益なく、むなしく力を費した。しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、わが報いはわが神と共にある」と。

5ヤコブをおのれに帰らせ、イスラエルをおのれのもとに集めるために、わたしを腹の中からつくって そのしもべとされた主は言われる。(わたしは主の前に尊ばれ、わが神はわが力となられた)

6主は言われる、「あなたがわがしもべとなって、ヤコブのもろもろの部族をおこし、イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、いとも軽い事である。わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、わが救を地の果にまでいたらせよう」と。

7イスラエルのあがない主、イスラエルの聖者なる主は、人に侮られる者、民に忌みきらわれる者、つかさたちのしもべにむかってこう言われる、「もろもろの王は見て、立ちあがり、もろもろの君は立って、拝する。これは真実なる主、イスラエルの聖者が、あなたを選ばれたゆえである」。

8主はこう言われる、「わたしは恵みの時に、あなたに答え、救の日にあなたを助けた。わたしはあなたを守り、あなたを与えて民の契約とし、国を興し、荒れすたれた地を嗣業として継がせる。

9わたしは捕えられた人に『出よ』と言い、暗きにおる者に『あらわれよ』と言う。彼らは道すがら食べることができ、すべての裸の山にも牧草を得る。

10彼らは飢えることがなく、かわくこともない。また熱い風も、太陽も彼らを撃つことはない。彼らをあわれむ者が彼らを導き、泉のほとりに彼らを導かれるからだ。

11わたしは、わがもろもろの山を道とし、わが大路を高くする。

12見よ、人々は遠くから来る。見よ、人々は北から西から、またスエネの地から来る」。

13天よ、歌え、地よ、喜べ。もろもろの山よ、声を放って歌え。主はその民を慰め、その苦しむ者をあわれまれるからだ。

14しかしシオンは言った、「主はわたしを捨て、主はわたしを忘れられた」と。

15「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。

16見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある。

17あなたを建てる者は、あなたをこわす者を追い越し、あなたを荒した者は、あなたから出て行く。

18あなたの目をあげて見まわせ。彼らは皆集まって、あなたのもとに来る。主は言われる、わたしは生きている、あなたは彼らを皆、飾りとして身につけ、花嫁の帯のようにこれを結ぶ。

19あなたの荒れ、かつすたれた所、こわされた地は、住む人の多いために狭くなり、あなたを、のみつくした者は、はるかに離れ去る。

20あなたが子を失った後に生れた子らは、なおあなたの耳に言う、『この所はわたしには狭すぎる、わたしのために住むべき所を得させよ』と。

21その時あなたは心のうちに言う、『だれがわたしのためにこれらの者を産んだのか。わたしは子を失って、子をもたない。わたしは捕われ、かつ追いやられた。だれがこれらの者を育てたのか。見よ、わたしはひとり残された。これらの者はどこから来たのか』と」。

22主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは手をもろもろの国にむかってあげ、旗をもろもろの民にむかって立てる。彼らはそのふところにあなたの子らを携え、その肩にあなたの娘たちを載せて来る。

23もろもろの王は、あなたの養父となり、その王妃たちは、あなたの乳母となり、彼らはその顔を地につけて、あなたにひれ伏し、あなたの足のちりをなめる。こうして、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥をこうむることがない」。

24勇士が奪った獲物を どうして取り返すことができようか。暴君がかすめた捕虜を どうして救い出すことができようか。

25しかし主はこう言われる、「勇士がかすめた捕虜も取り返され、暴君が奪った獲物も救い出される。わたしはあなたと争う者と争い、あなたの子らを救うからである。

26わたしはあなたをしえたげる者にその肉を食わせ、その血を新しい酒のように飲ませて酔わせる。こうして、すべての人はわたしが主であって、あなたの救主、またあなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るようになる」。

鍵となる聖句

4節
しかし、わたしは言った、「わたしはいたずらに働き、益なく、むなしく力を費した。しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、わが報いはわが神と共にある」と。

しもべは落胆を打ち明けます。「いたずらに働き、益なく、むなしく力を費した」と感じているのです。それでも、自分の正しさと報いを神にゆだねます。神に仕えて疲れた人に、とても近い言葉です。

6節
主は言われる、「あなたがわがしもべとなって、ヤコブのもろもろの部族をおこし、イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、いとも軽い事である。わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、わが救を地の果にまでいたらせよう」と。

神は使命を広げられます。イスラエルを回復させるだけでは足りず、しもべは「もろもろの国びとの光」となって、救いが地の果にまで及びます。新約聖書は、ここに福音の普遍的な広がりを見ています。

15節
「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。

神はご自分の愛を、乳飲み子に対する母の愛にたとえ、さらに進みます。たとい母が忘れることがあっても、神は忘れられません。見捨てられたと感じる人への答えです。

16節
見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある。

神は、シオンを「たなごころ」に彫り刻んだと言われます。この姿は個人的なかかわりの深さを表し、クリスチャンは、十字架で釘打たれたイエスの手を思い起こします。

説教が語っていること

神は私たちにとって母のような方でもあるジャン=リュック・マンションは15節を引用し、神の変わらず無条件の愛を語ります。聖書はそれを母のイメージで表すことがありますが、神を父と呼ぶことをやめるわけではありません。要約を読む →教会はキリストの花嫁:ユダヤ人の結婚が教えてくれることこのメッセージは、16節を結婚の契約にたとえます。十字架の釘が、キリストの教会への約束を、ご自身の手に刻みました。要約を読む →すべてが失敗したとき、神はどう世界を救うのかコネクション教会は、5節と6節を捕囚の歴史の中で読みます。すべてが失敗に終わったとき、神は、すべての国民、地の果にまで及ぶ救いを約束されます。要約を読む →神を映し出し、あなたの道を照らす光ステファン・ギレは、諸国民の光(6節)を、仮庵の祭でのイエスの言葉、預言者たちが告げた、わたしは世の光であるという言葉に結びつけます。要約を読む →イエスにとどまりなさい:あなたは多くの実を結びます15節は、信者を安心させるために引用されます。たとい母が子を忘れても、神はあなたを忘れません。それは、イエスにとどまることの土台となります。要約を読む →喜びをもって感謝しよう感謝についてのメッセージでは、15節の「わたしは、あなたを忘れることはない」が、神の民への特別な愛を思い起こさせ、感謝を育てます。要約を読む →

イザヤ書49章についてよくある質問

イザヤ書49章のしもべとは誰ですか。

3節はしもべを「イスラエル」と呼んでいますが、5節は、しもべがヤコブを神のもとに帰らせるとしており、民とは別のしもべであることを示唆します。クリスチャンは、諸国民の光であるイエス・キリストを見ます。ユダヤの伝統では、イスラエルや預言者自身と見ることが多いです。

「わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ」とはどういう意味ですか。

16節で、神は見捨てられたと感じるシオンに答えられます。刻まれた名はいつも目の前にあります。神はご自分の民から目を離されません。クリスチャンはここに、十字架の跡が残るイエスの手、その約束のしるしの響きも見ます。

イザヤ書49章の中心的なメッセージは何ですか。

神は、すべての国民に救いをもたらすしもべを召し、囚人の解放を約束し、見捨てられたと感じる人々に、決して忘れないと保証されます。この章には、使命、解放、優しさが織り交ぜられており、疲れた人にも、帰還を待つ人にも語りかけています。

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