聖書 — 口語訳 (1955)
ルカによる福音書 2
概要
ルカによる福音書2章は、イエスがこの世に来られたことを語ります。皇帝が命じた住民登録のために、ヨセフとマリヤはベツレヘムへ向かい、そこで幼子が生まれて飼葉おけに寝かされます。この良い知らせは、まず羊飼いたちに告げられ、彼らは幼子に会いに行き、神をほめたたえて帰っていきます。エルサレムでは、シメオンと女預言者アンナが、待ち望んだ救い主をこの幼子のうちに見いだします。章の終わりには、十二歳のイエスが神殿で学者たちの中にいるところを見つけられ、知恵と恵みにおいて成長していく姿が描かれます。
この章の5つの区分
1そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。
2これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。
3人々はみな登録をするために、それぞれ自分の町へ帰って行った。
4ヨセフもダビデの家系であり、またその血統であったので、ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
5それは、すでに身重になっていたいいなづけの妻マリヤと共に、登録をするためであった。
6ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、
7初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。
8さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。
9すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。
10御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。
11きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。
12あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。
13するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、
14「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。
15御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。
16そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。
17彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。
18人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。
19しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。
20羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。
21八日が過ぎ、割礼をほどこす時となったので、受胎のまえに御使が告げたとおり、幼な子をイエスと名づけた。
22それから、モーセの律法による彼らのきよめの期間が過ぎたとき、両親は幼な子を連れてエルサレムへ上った。
23それは主の律法に「母の胎を初めて開く男の子はみな、主に聖別された者と、となえられねばならない」と書いてあるとおり、幼な子を主にささげるためであり、
24また同じ主の律法に、「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定めてあるのに従って、犠牲をささげるためであった。
25その時、エルサレムにシメオンという名の人がいた。この人は正しい信仰深い人で、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいた。また聖霊が彼に宿っていた。
26そして主のつかわす救主に会うまでは死ぬことはないと、聖霊の示しを受けていた。
27この人が御霊に感じて宮にはいった。すると律法に定めてあることを行うため、両親もその子イエスを連れてはいってきたので、
28シメオンは幼な子を腕に抱き、神をほめたたえて言った、
29「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりに この僕を安らかに去らせてくださいます、
30わたしの目が今あなたの救を見たのですから。
31この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、
32異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。
33父と母とは幼な子についてこのように語られたことを、不思議に思った。
34するとシメオンは彼らを祝し、そして母マリヤに言った、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。――
35そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう。――それは多くの人の心にある思いが、現れるようになるためです」。
36また、アセル族のパヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。彼女は非常に年をとっていた。むすめ時代にとついで、七年間だけ夫と共に住み、
37その後やもめぐらしをし、八十四歳になっていた。そして宮を離れずに夜も昼も断食と祈とをもって神に仕えていた。
38この老女も、ちょうどそのとき近寄ってきて、神に感謝をささげ、そしてこの幼な子のことを、エルサレムの救を待ち望んでいるすべての人々に語りきかせた。
39両親は主の律法どおりすべての事をすませたので、ガリラヤへむかい、自分の町ナザレに帰った。
40幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。
41さて、イエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムへ上っていた。
42イエスが十二歳になった時も、慣例に従って祭のために上京した。
43ところが、祭が終って帰るとき、少年イエスはエルサレムに居残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。
44そして道連れの中にいることと思いこんで、一日路を行ってしまい、それから、親族や知人の中を捜しはじめたが、
45見つからないので、捜しまわりながらエルサレムへ引返した。
46そして三日の後に、イエスが宮の中で教師たちのまん中にすわって、彼らの話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。
47聞く人々はみな、イエスの賢さやその答に驚嘆していた。
48両親はこれを見て驚き、そして母が彼に言った、「どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい、おとう様もわたしも心配して、あなたを捜していたのです」。
49するとイエスは言われた、「どうしてお捜しになったのですか。わたしが自分の父の家にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。
50しかし、両親はその語られた言葉を悟ることができなかった。
51それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。
52イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。
鍵となる聖句
初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。
救い主をこの世に迎えた様子を、聖書は静かな言葉で記します。宿屋には場所がなく、飼葉おけに寝かされました。神は人が思いもよらない所に来られることを教えてくれる聖句です。
御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。 きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。
御使いはまず安心させ、それから民全体への大きな喜びを告げます。その喜びの中心にいるのは一人の方、すなわち主なるキリストである救い主です。クリスマスの知らせの核心がここにあります。
しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。
マリヤは慌てることなく、思い巡らすことで応えました。神がなさっていることをすべて理解する前に、心に納め、思い返すよう、この聖句は私たちを招いています。
「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりに この僕を安らかに去らせてくださいます、 わたしの目が今あなたの救を見たのですから。 この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、 異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。
年老いたシメオンは、神の救いを目にしたので安らかに去ることができます。彼は、イエスが異邦人を照らす光であり、イスラエルの栄光となると告げます。
イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。
イエスの少年時代を一言でまとめた聖句です。知恵においても、体においても、神と人との関係においても、イエスはあらゆる面で成長されました。
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
ルカによる福音書2章についてよくある質問
ルカ2章7節の、宿屋には泊まる場所がなかったとはどういう意味ですか
住民登録のためにベツレヘムが人であふれ、家族の泊まる場所がなかったのだと考えられます。歴史的な事情にとどまらず、多くの説教者は、救い主がまず低い者や居場所のない者のもとに来られるしるしと見ています。誕生は質素で目立たないものでしたが、御使いたちによって告げられました。
なぜ御使いは羊飼いたちに誕生を告げたのですか
聖書は明確な理由を述べていませんが、この良い知らせが民全体のものであることを強調しています。羊飼いは当時の社会であまり重んじられない人々でした。神は彼らを最初の証人に選ばれ、救いが身分や名声によらないことを示されました。
ルカ2章のメッセージは何ですか
ルカ2章は、神が約束を果たされ、すべての民のために救い主が生まれたことを告げます。この来臨への応答も描かれます。羊飼いの喜び、マリヤの思い巡らし、シメオンとアンナの待ち望みの成就です。そして、完全に人として成長しながら、すでに父の家に心を寄せているイエスの姿が示されます。
十二歳のイエスが神殿にいた出来事では何が起こりましたか
過越の祭りからの帰り道、イエスは両親が気づかないままエルサレムに残られました。三日後、両親は神殿で学者たちの話を聞き、質問しているイエスを見つけます。福音書に記された唯一の少年時代の出来事で、神との特別な関係をすでに示しながら、ナザレでは両親に仕えて過ごされました。
ルカによる福音書 2を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。