聖書 — 口語訳 (1955)
出エジプト記 4
概要
出エジプト記4章で、燃える柴の前に立たされたモーセは、だれも自分を信じないでしょう、自分は口が重いのです、と訴えます。神は三つのしるしを与えます。つえがへびになること、重い皮膚病の手がいやされること、ナイル川の水が血になることです。そして、わたしがあなたの口と共にあると約束し、兄アロンをそばに付けます。モーセはエジプトへ向かいますが、途中で不可解な出来事が起こります。最後に民は、神が自分たちの苦しみを見ておられると聞いて信じます。この章は、遣わす者を神がしっかり備えてくださることを示しています。恐れを抱えたままの人であっても同じです。
この章の5つの区分
1モーセは言った、「しかし、彼らはわたしを信ぜず、またわたしの声に聞き従わないで言うでしょう、『主はあなたに現れなかった』と」。
2主は彼に言われた、「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った、「つえです」。
3また言われた、「それを地に投げなさい」。彼がそれを地に投げると、へびになったので、モーセはその前から身を避けた。
4主はモーセに言われた、「あなたの手を伸ばして、その尾を取りなさい。――そこで手を伸ばしてそれを取ると、手のなかでつえとなった。――
5これは、彼らの先祖たちの神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、あなたに現れたのを、彼らに信じさせるためである」。
6主はまた彼に言われた、「あなたの手をふところに入れなさい」。彼が手をふところに入れ、それを出すと、手は、重い皮膚病にかかって、雪のように白くなっていた。
7主は言われた、「手をふところにもどしなさい」。彼は手をふところにもどし、それをふところから出して見ると、回復して、もとの肉のようになっていた。
8主は言われた、「彼らがもしあなたを信ぜず、また初めのしるしを認めないならば、後のしるしは信じるであろう。
9彼らがもしこの二つのしるしをも信ぜず、あなたの声に聞き従わないならば、あなたはナイル川の水を取って、かわいた地に注ぎなさい。あなたがナイル川から取った水は、かわいた地で血となるであろう」。
10モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。
11主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。話せず、聞えず、また、見え、見えなくする者はだれか。主なるわたしではないか。
12それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。
13モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。
14そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。
15あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、
16彼はあなたに代って民に語るであろう。彼はあなたの口となり、あなたは彼のために、神に代るであろう。
17あなたはそのつえを手に執り、それをもって、しるしを行いなさい」。
18モーセは妻の父エテロのところに帰って彼に言った、「どうかわたしを、エジプトにいる身うちの者のところに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているか、どうかを見させてください」。エテロはモーセに言った、「安んじて行きなさい」。
19主はミデヤンでモーセに言われた、「エジプトに帰って行きなさい。あなたの命を求めた人々はみな死んだ」。
20そこでモーセは妻と子供たちをとり、ろばに乗せて、エジプトの地に帰った。モーセは手に神のつえを執った。
21主はモーセに言われた、「あなたがエジプトに帰ったとき、わたしがあなたの手に授けた不思議を、みなパロの前で行いなさい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、彼は民を去らせないであろう。
22あなたはパロに言いなさい、『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。
23わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。
24さてモーセが途中で宿っている時、主は彼に会って彼を殺そうとされた。
25その時チッポラは火打ち石の小刀を取って、その男の子の前の皮を切り、それをモーセの足につけて言った、「あなたはまことに、わたしにとって血の花婿です」。
26そこで、主はモーセをゆるされた。この時「血の花婿です」とチッポラが言ったのは割礼のゆえである。
27主はアロンに言われた、「荒野に行ってモーセに会いなさい」。彼は行って神の山でモーセに会い、これに口づけした。
28モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。
29そこでモーセとアロンは行ってイスラエルの人々の長老たちをみな集めた。
30そしてアロンは主がモーセに語られた言葉を、ことごとく告げた。また彼は民の前でしるしを行ったので、
31民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。
鍵となる聖句
主は彼に言われた、「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った、「つえです」。
神はモーセがすでに手にしているもの、羊飼いの簡単なつえから始められます。「あなたの手にあるそれは何か」。神は、あなたが持っている以上のものを求めず、それを御力の道具に変えてくださいます。
モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。 主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。話せず、聞えず、また、見え、見えなくする者はだれか。主なるわたしではないか。 それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。
モーセは自分の口の重さを理由に挙げます。神は、人に口を授けたのは自分だと答え、「わたしはあなたの口と共にあって」と約束されます。信頼の土台は、私たちの才能ではなく神の臨在です。
そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。
二度目の断りに神の怒りは燃えますが、神はあきらめず、アロンを加えてくださいます。神は私たちの恐れを真剣に受けとめつつ、それでも前に進むよう求められます。
あなたはパロに言いなさい、『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。 わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。
神はイスラエルを、「イスラエルはわたしの子、わたしの長子である」と呼び、その解放を求められます。この呼び名は、十番目の災いと過越の祭りへの備えとなります。
民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。
章は民の信仰と礼拝で結ばれます。民は、神が自分たちの苦しみを見ておられたことを知ります。解放は、民に目を注ぐ神から始まります。
この章に登場する人物
このテーマで祈る
説教が語っていること
出エジプト記4章についてよくある質問
出エジプト記4章の中心メッセージは何ですか。
神はモーセの疑いにもかかわらず彼を遣わし、使命のために備えてくださいます。説得のための三つのしるし、口と共にいるという約束、助け手アロンです。神の召しは、遣わされる人の力ではなく、遣わす方の臨在にかかっていると、この章は教えています。
モーセに与えられた三つのしるしは何を意味しますか。
つえがへびになること、手が重い皮膚病にかかってからいやされること、水が血に変わることは、神がモーセに現れたと民に信じさせるために与えられました。神が、被造物と病、そしてエジプトのいのちの源であるナイル川を治めておられることを示します。聖書はそれ以上は説明していません。
出エジプト記4章24節で、神はなぜモーセを殺そうとされたのですか。
この箇所は短く、謎めいています。文脈からは、契約の民を解放するよう召されたモーセが、契約のしるしである息子の割礼を行っておらず、チッポラが事態を収めるために動いたと考えられます。細部については解釈者の意見が分かれます。共通する点は、神に仕える者が神の契約をおろそかにしてはならないということです。
出エジプト記 4を引用している記事
口語訳(1955年)— パブリックドメイン。