聖書 — 口語訳 (1955)

士師記 6

概要

士師記6章では、イスラエルが七年間ミデアンびとの手に渡され、民は主に叫びます。主の使は、酒ぶねの中で隠れるように麦を打っているギデオンを見つけます。ギデオンは自分を小さな者と思っていますが、主は彼を「大勇士」と呼び、共にいると約束されます。ギデオンは祭壇を築き、夜のうちに父のバアルの祭壇を打ちこわします。やがて主の霊が彼に臨み、戦いに出る前に、もう一度羊の毛でしるしを求めます。

この章の4つの区分

  1. 1-10節ミデアンに苦しめられるイスラエル、民は神に叫ぶ
  2. 11-24節主の使が酒ぶねの中のギデオンを召す
  3. 25-32節バアルの祭壇が打ちこわされ、ギデオンはエルバアルと呼ばれる
  4. 33-40節霊がギデオンに臨み、羊の毛のしるしを求める

1イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなったので、主は彼らを七年の間ミデアンびとの手にわたされた。

2ミデアンびとの手はイスラエルに勝った。イスラエルの人々はミデアンびとのゆえに、山にある岩屋と、ほら穴と要害とを自分たちのために造った。

3イスラエルびとが種をまいた時には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民が上ってきてイスラエルびとを襲い、

4イスラエルびとに向かって陣を取り、地の産物を荒してガザの附近にまで及び、イスラエルのうちに命をつなぐべき物を残さず、羊も牛もろばも残さなかった。

5彼らが家畜と天幕を携えて、いなごのように多く上ってきたからである。すなわち彼らとそのらくだは無数であって、彼らは国を荒すためにはいってきたのであった。

6こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常に衰え、イスラエルの人々は主に呼ばわった。

7イスラエルの人々がミデアンびとのゆえに、主に呼ばわったとき、

8主はひとりの預言者をイスラエルの人々につかわして彼らに言われた、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから導き上り、あなたがたを奴隷の家から携え出し、

9エジプトびとの手およびすべてあなたがたをしえたげる者の手から救い出し、あなたがたの前から彼らを追い払って、その国をあなたがたに与えた。

10そしてあなたがたに言った、「わたしはあなたがたの神、主である。あなたがたが住んでいる国のアモリびとの神々を恐れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉に従わなかった』」。

11さて主の使がきて、アビエゼルびとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座した。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぶねの中で麦を打っていたが、

12主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。

13ギデオンは言った、「ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。わたしたちの先祖が『主はわれわれをエジプトから導き上られたではないか』といって、わたしたちに告げたそのすべての不思議なみわざはどこにありますか。今、主はわたしたちを捨てて、ミデアンびとの手にわたされました」。

14主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。

15ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。

16主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう」。

17ギデオンはまた主に言った、「わたしがもしあなたの前に恵みを得ていますならば、どうぞ、わたしと語るのがあなたであるというしるしを見せてください。

18どうぞ、わたしが供え物を携えてあなたのもとにもどってきて、あなたの前に供えるまで、ここを去らないでください」。主は言われた、「わたしはあなたがもどって来るまで待ちましょう」。

19そこでギデオンは自分の家に行って、やぎの子を整え、一エパの粉で種入れぬパンをつくり、肉をかごに入れ、あつものをつぼに盛り、テレビンの木の下におる彼のもとに持ってきて、それを供えた。

20神の使は彼に言った、「肉と種入れぬパンをとって、この岩の上に置き、それにあつものを注ぎなさい」。彼はそのようにした。

21すると主の使が手にもっていたつえの先を出して、肉と種入れぬパンに触れると、岩から火が燃えあがって、肉と種入れぬパンとを焼きつくした。そして主の使は去って見えなくなった。

22ギデオンはその人が主の使であったことをさとって言った、「ああ主なる神よ、どうなることでしょう。わたしは顔をあわせて主の使を見たのですから」。

23主は彼に言われた、「安心せよ、恐れるな。あなたは死ぬことはない」。

24そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。

25その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、

26あなたの神、主のために、このとりでの頂に、石を並べて祭壇を築き、第二の雄牛を取り、あなたが切り倒したアシラの木をもって燔祭をささげなさい」。

27ギデオンはしもべ十人を連れて、主が言われたとおりにおこなった。ただし彼は父の家族のもの、および町の人々を恐れたので、昼それを行うことができず、夜それを行った。

28町の人々が朝早く起きて見ると、バアルの祭壇は打ちこわされ、そのかたわらのアシラ像は切り倒され、新たに築いた祭壇の上に、第二の雄牛がささげられてあった。

29そこで彼らは互に「これはだれのしわざか」と言って問い尋ねたすえ、「これはヨアシの子ギデオンのしわざだ」と言った。

30町の人々はヨアシに言った、「あなたのむすこを引き出して殺しなさい。彼はバアルの祭壇を打ちこわしそのかたわらにあったアシラ像を切り倒したのです」。

31しかしヨアシは自分に向かって立っているすべての者に言った、「あなたがたはバアルのために言い争うのですか。あるいは彼を弁護しようとなさるのですか。バアルのために言い争う者は、あすの朝までに殺されるでしょう。バアルがもし神であるならば、自分の祭壇が打ちこわされたのだから、彼みずから言い争うべきです」。

32そこでその日、「自分の祭壇が打ちこわされたのだから、バアルみずからその人と言い争うべきです」と言ったので、ギデオンはエルバアルと呼ばれた。

33時にミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民がみな集まってヨルダン川を渡り、エズレルの谷に陣を取ったが、

34主の霊がギデオンに臨み、ギデオンがラッパを吹いたので、アビエゼルびとは集まって彼に従った。

35次に彼があまねくマナセに使者をつかわしたので、マナセびともまた集まって彼に従った。彼がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者をつかわすと、その人々も上って彼を迎えた。

36ギデオンは神に言った、「あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルを救おうとされるならば、

37わたしは羊の毛一頭分を打ち場に置きますから、露がその羊の毛の上にだけあって、地がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルをお救いになることを知るでしょう」。

38すなわちそのようになった。彼が翌朝早く起きて、羊の毛をかき寄せ、その毛から露を絞ると、鉢に満ちるほどの水が出た。

39ギデオンは神に言った、「わたしをお怒りにならないように願います。わたしにもう一度だけ言わせてください。どうぞ、もう一度だけ羊の毛をもってためさせてください。どうぞ、羊の毛だけをかわかして、地にはことごとく露があるようにしてください」。

40神はその夜、そうされた。すなわち羊の毛だけかわいて、地にはすべて露があった。

鍵となる聖句

12節
主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。

ギデオンは身を隠しているのに、神は彼を「大勇士」と呼ばれます。神のことばは、神が彼の中に見ておられるもの、そして彼をどうしようとしておられるかを語っており、ギデオンが何かを成し遂げる前になされています。

14節
主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。

使命は命令から始まります。「あなたはこのあなたの力をもって行って」。神は、ギデオンが自分の目に整うのを待たれません。彼を遣わし、遣わすのは自分だと告げられます。

15-16節
ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。 主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう」。

ギデオンは自分の限界を口にします。氏族は弱く、自分は最も小さい者だと。神はその現実を論じず、臨在の約束で応えられます。「わたしがあなたと共におるから」。

24節
そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。

ギデオンは祭壇を築き、「主は平安」と名づけます。主の使と顔を合わせて見た恐れのあとで、神が与えてくださった平安を、その名にとどめたのです。

25-27節
その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、 あなたの神、主のために、このとりでの頂に、石を並べて祭壇を築き、第二の雄牛を取り、あなたが切り倒したアシラの木をもって燔祭をささげなさい」。 ギデオンはしもべ十人を連れて、主が言われたとおりにおこなった。ただし彼は父の家族のもの、および町の人々を恐れたので、昼それを行うことができず、夜それを行った。

ミデアンと戦う前に、ギデオンはまず自分の家の偶像礼拝に向き合わなければなりません。彼は従いますが、恐れのために夜に行います。本文はその恐れを隠していません。

この章に登場する人物

説教が語っていること

士師記6章:酒ぶねから出よ、神はあなたを勇士と見ているブレンダン・ホワイトは、酒ぶねの中でサバイバルモードにいるギデオンを描きます。神はギデオン自身が見ている以上のものを彼に見ておられ、有能な人よりも、身を差し出す人を探しておられると語ります。要約を読む →ギデオン、「勇士」と呼ばれた男:神はあなたの恐れの先を見ておられるJM・ボトロンは四つの段階をたどります。召命、従うことで見いだす平安、献身、そして神のやり方による勝利です。25節の動詞の順序、つまりまず打ちこわし、それから築くことを強調します。要約を読む →ギデオンの召命:あなたの持てる力で行きなさいアドリアンは、ギデオンを士師記の循環の中に置き直し、神を知らない世代は自分で神を知らなければならないと示します。視野を狭めるサバイバルモードについて語ります。要約を読む →ギデオン:従順によって成長するアイデンティティ続く連続メッセージで、アドリアンは、神がギデオンの生活が整うのを求める前に彼を遣わしたことを強調します。勇気とは、恐れていても従うことであり、夜にこっそり祭壇を壊したギデオンのようだと言います。要約を読む →自分をゼロだと感じても、神様はあなたを勇士と見ておられるダニエル・デカリは11節から16節を、自己評価についてのことばとして読みます。神はギデオンを、過去や傷ではなく、ご自身の中でなりうる姿で見ておられます。要約を読む →

士師記6章についてよくある質問

なぜギデオンは酒ぶねの中で麦を打っていたのですか

ふつう麦は、風が実をふり分けてくれる屋外の打ち場で打ちます。ギデオンは、イスラエルの収穫を荒らすミデアンびとから隠すため、囲われた場所である酒ぶねで打っていました。この細部は、神が彼を召されたとき、国が恐れと欠乏にどれほど覆われていたかを示しています。

士師記6章12節の「大勇士」とはどういう意味ですか

主の使は、ギデオンが身を隠しているときに、こう呼びかけました。多くの人は、ここに、神が人を今の状態ではなく、神と出会うことでなるべき姿によって見ておられることを見ます。この呼び名に添えられた約束は、神の臨在、「主はあなたと共におられます」です。

ギデオンの羊の毛は何を意味しますか

36節から40節で、ギデオンは羊の毛を使った二つのしるしを神に求めます。最初は毛だけが露でぬれて地面はかわいており、次はその逆です。信じる者の読み方はさまざまです。神の導きを求める手本と見る人もいれば、神が忍耐をもって受けとめられたギデオンの信仰の弱さのしるしと見る人もいます。

なぜ神はギデオンにバアルの祭壇を打ちこわすよう求められたのですか

民を救い出す前に、神はまず、ギデオン自身の家庭にある偶像礼拝を取り除くことを求められました。外の敵と戦う前に、内側の忠誠を正すためです。ギデオンは恐れながらも夜のうちに従い、神はそれを受け入れてくださいました。

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