はじめに
「主イエス・キリストの恵みと平安が、あなたにありますように。」牧師は日曜日のメッセージを、この祝福の言葉から始めました。使徒パウロがすべての手紙をこの言葉で始めていることを思い起こしながらです。それは実にシンプルな祈りの言葉で、牧師は毎週信徒たちに送る誕生日カードにもこの言葉をそっと添えているといいます。特別なことは何もありませんが、この言葉は誰も傷つけることなく、その後に続くすべての土台となるものだと牧師は語ります。キリストの恵みと平安がなければ、あなたの家庭も、あなたの教会も、立ち続けることはできないのです。
この日曜日、神戸でのメッセージは、パウロがテモテに宛てた第一の手紙から語られました。この手紙は、使徒パウロが人生の終わりに近づき、信仰によって生み出した若い牧師に大切なことを伝えたいと願って書いたものです。第1章と第2章からは、二つの命令が浮かび上がります。信仰の良い戦いを戦うこと、そしてすべての人のために(治める者たちのためにも)祈り、私たちが穏やかで静かな生活を送ることができるようにすることです。これこそが、平和のうちにある家庭生活と教会生活の鍵だと牧師は語ります。
パウロは個人の祈りと、家庭生活と、教会の集まりの生活とを切り離してはいないことに気づくでしょう。この三つは互いにつながっています。あなたが自分の国のために祈り、その心が恵みによって導かれるとき、あなた自身の家の中でも何かが穏やかになっていきます。そしてあなたの教会がすべての人のために祈るとき、教会は「すべての人が救われて、真理を知るに至ることを望んでおられる」神様の御心そのものに入っていくのです。
メッセージの流れ
1. テモテのように、良い戦いを戦う
- パウロはテモテに、彼について語られた預言に基づいた使命を託します。信仰と正しい良心を保ち、良い戦いを戦うことです(テモテへの手紙第一1:18〜19)。
- 牧師は、預言や病人のための祈り、初代教会に存在していた御霊の賜物は、今日も変わらず働いていると語ります。それは見世物のためではなく、信仰を強めるためのものです。
- 牧師は48年間の牧会の中で、癒やしのために祈らずに礼拝を終えたことは一度もないといいます。医学は進歩しますが、癒やしのための祈りは変わらず続いているのです。
- ヒメナオやアレクサンドロのように、信仰において難船してしまった人々もいました。パウロは彼らを、「もう冒涜することがないように懲らしめを受けさせるため」にサタンに引き渡します。これは、私たちが軽々しく真似すべき祈りではありません。それは使徒的な権威に属することです。私たちの役割は、自分を傷つけた人々を主にお委ねすること、それだけです。
2. すべての人のために、まず権威者のために祈る
- 「まず第一に、私が勧めるのは、すべての人のために、王たちと高い地位にあるすべての人のために、願いと、祈りと、とりなしと、感謝とをささげることです」(テモテへの手紙第一2:1〜2)。
- 牧師は毎回の礼拝で、国の政治指導者たちのために祈っていると語ります。指導者の誤った決断が、国民全体を苦しみに陥れることがあるからです。牧師は日本側から見た第二次世界大戦を思い起こします。避けられたはずの人間の決断によって、300万人もの人々が命を落としたのです。
- この祈りの目的ははっきりしています。「それは、私たちが、あらゆる敬虔と品位をもって、平穏で落ち着いた生活を送るためです。」社会の平和は家庭の平和を守り、家庭の平和は教会の平和を解き放つのです。
- 治める者たちのために祈ることは、たとえ彼らの意見に同意できないときであっても、「私たちの救い主である神の御前で、良いことであり、喜ばれることです。」これは政治的な選択肢の一つではなく、聖書からの命令なのです。
3. 神様の御心:すべての人が救われること
- 「私たちの救い主である神は、すべての人が救われて、真理を知るに至ることを望んでおられます」(テモテへの手紙第一2:3〜4)。これは父なる神様が啓示された御心です。
- イエス様はユダヤ人のためだけに、あるいはある特定の民族や世代のためだけに死なれたのではありません。あなたのために、私のために、今日生きている80億人のために、そして明日生まれてくる人々のために死んでくださったのです。
- パウロが語る真理とは、第一に教理や哲学のことではありません。イエス様ご自身がこう言われました。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです」(ヨハネ14:6)。真理とは、一人の人格なのです。
- 牧師は、アジアの規模で見ると、日本は依然として福音があまり広まっていない国であることを思い起こします。一方、中国にはおよそ1億4千万人のクリスチャンがいると言われています。しかし、神様がすべての人の救いを望んでおられるのであれば、日本にも希望があるのです。
4. 唯一の神、唯一の仲介者、唯一の代価
- 「神は唯一です。また、神と人との間の仲介者も唯一であって、それは人としてのキリスト・イエスです。この方はご自身を、すべての人のための贖いの代価として与えられました」(テモテへの手紙第一2:5〜6)。
- 「贖いの代価」という言葉は、買い戻すこと、捕らわれていたものを取り戻すために代価を払うことを意味します。イエス様は金や銀ではなく、ご自身の血によってその代価を払われました(ペテロの手紙第一1:18〜19)。
- あなたの家庭生活と教会生活における平和は、この代価の上に築かれています。十字架がなければ、恵みと平和はただの言葉にすぎません。しかし十字架があれば、それらは確かな土台となるのです。
- 牧師は、今週の「宿題」として一つの問いを投げかけます。イエス様はこの贖いの代価を、いったい誰に支払われたのでしょうか。この問いを黙想することは、あなたの救いにかかった代価を真剣に受け止めることなのです。
覚えておきたいポイント
- 平和のうちにある家庭生活と教会生活は、私たちの努力からではなく、イエス・キリストから受ける恵みと平和から始まります。
- 信仰の戦いはまだ終わっていません。信仰と正しい良心を保ち、御言葉にあなたの内なる生活を導いていただきましょう。
- 国の権威者のために祈ることは、政治的な選択肢ではなく、聖書から直接与えられた命令です。それはあなたの家庭の平和を守ります。
- 神様はすべての人が救われることを望んでおられます。神様が待っておられる限り、あなたが心にかけている人々にも希望があります。
- 真理とは、一人の人格、イエス・キリストです。この方を知ることは、あなたを自由にする真理に入ることなのです。
- イエス様はすべての人のために、ご自身を贖いの代価として与えられました。あなたの平和の代価は、すでに十字架で支払われています。
個人的な適用
- パウロのこの挨拶の言葉を、今週、あなたの身の回りの三人に伝えてみましょう。「主イエス・キリストの恵みと平安が、あなたにありますように。」その人たちとの関係にどんな変化が起こるか、書き留めてみてください。
- 今週のどの時間に、あなたの国や町の指導者たちのために祈ることにしますか。具体的な時間を決めてみましょう。
- あなたの周りで、最近あなたを傷つけた人は誰ですか。厳しい祈りの代わりに、こんなシンプルな祈りの言葉を試してみましょう。「主よ、この人をあなたにお委ねします。あなたが取り扱ってください。」そのあと、神様が何をなさるか見てみましょう。
- あなたは「正しい教理を信じること」と「真理であるイエス様を知ること」の違いに気づいていますか。この違いは、あなたの祈りをどのように変えるでしょうか。
- 今日、あなたは誰のために、神様がまだ救ってくださると信じたいですか。三人の名前を書き出し、今週が終わる前に彼らのために祈ってみましょう。
引用された聖句
- テモテへの手紙第一1:18〜20・良い戦いを戦いなさい
- テモテへの手紙第一2:1〜2・すべての人のために祈る
- テモテへの手紙第一2:3〜6・神はすべての人の救いを望んでおられる
- ヨハネ14:6・わたしが道であり、真理であり、いのちである
- ペテロの手紙第一1:18〜19・キリストの尊い血によって贖われた
- エフェソ人への手紙2:20・使徒と預言者という土台の上に建てられた
よくある質問
指導者の選択に賛成できないときでも、なぜ政治指導者のために祈るのでしょうか。
パウロが無条件でそう命じているからです。「王たちと高い地位にあるすべての人のために祈りをささげ、私たちが平穏で落ち着いた生活を送れるようにしなさい。」あなたの祈りは彼らの政策への白紙委任ではありません。それは、神様が彼らの決断を、あなたの家庭と教会と国の平和を守る方向へと導いてくださるようにという、とりなしの祈りなのです。
パウロがヒメナオとアレクサンドロに対して行ったように「サタンに引き渡す」ことは、今日でも祈るべきことなのでしょうか。
牧師は慎重であるようにと勧めています。あの祈りはパウロの使徒的な権威に属するものであり、その人の滅びではなく悔い改めを目的としていました。あなたにとっては、お委ねする祈りにとどめておきましょう。「主よ、この人をあなたにお任せします。あなたが取り扱ってください。」これだけでも、すでに力強い信仰の行為です。
神様がすべての人の救いを望んでおられるなら、なぜまだ多くの人が救われていないのでしょうか。
神様は誰も無理強いなさらないからです。神様は、それぞれの人が悔い改めてご自分のもとに立ち返るのを、「最後の瞬間まで」待っておられます。この忍耐は弱さではなく、愛です。あなたの責任は、あなたが心にかけている人々のために祈り、時が来たなら、イエス様が彼らのためにも死んでくださったことを伝えることです。
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