聖書 — 口語訳 (1955)

ローマ人への手紙 1

概要

ローマ人への手紙1章は、パウロがローマの教会に宛てた大きな手紙の始まりです。ダビデの子孫であり、復活によって神の子と示されたイエスを紹介するあいさつのあと、パウロはローマの信徒たちを訪ねたいという願いを語ります。16節と17節は、この手紙全体の主題を示しています。福音は、信じる者すべてに救いを得させる神の力であり、そこには信仰によって神の義が現れています。章の後半では、なぜ人類がこの良い知らせを必要としているのかが描かれます。

この章の5つの区分

  1. 1-7節あいさつ:キリスト・イエスのしもべパウロから、ローマの召された人々へ
  2. 8-15節ローマの信徒たちに会いたいというパウロの願い
  3. 16-17節主題:神の力である福音と、信仰によって生きる義人
  4. 18-23節神の怒り:知られていながら、押さえつけられた真理
  5. 24-32節人が神から離れるとき:その結果

1キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び別たれ、召されて使徒となったパウロから――

2この福音は、神が、預言者たちにより、聖書の中で、あらかじめ約束されたものであって、

3御子に関するものである。御子は、肉によればダビデの子孫から生れ、

4聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。

5わたしたちは、その御名のために、すべての異邦人を信仰の従順に至らせるようにと、彼によって恵みと使徒の務とを受けたのであり、

6あなたがたもまた、彼らの中にあって、召されてイエス・キリストに属する者となったのである――

7ローマにいる、神に愛され、召された聖徒一同へ。わたしたちの父なる神および主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。

8まず第一に、わたしは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同のために、わたしの神に感謝する。

9わたしは、祈のたびごとに、絶えずあなたがたを覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。

11わたしは、あなたがたに会うことを熱望している。あなたがたに霊の賜物を幾分でも分け与えて、力づけたいからである。

12それは、あなたがたの中にいて、あなたがたとわたしとのお互の信仰によって、共に励まし合うためにほかならない。

13兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人の間で得たように、あなたがたの間でも幾分かの実を得るために、あなたがたの所に行こうとしばしば企てたが、今まで妨げられてきた。

14わたしには、ギリシヤ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも、果すべき責任がある。

15そこで、わたしとしての切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも、福音を宣べ伝えることなのである。

16わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。

17神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。

18神の怒りは、不義をもって真理をはばもうとする人間のあらゆる不信心と不義とに対して、天から啓示される。

19なぜなら、神について知りうる事がらは、彼らには明らかであり、神がそれを彼らに明らかにされたのである。

20神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。

21なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからである。

22彼らは自ら知者と称しながら、愚かになり、

23不朽の神の栄光を変えて、朽ちる人間や鳥や獣や這うものの像に似せたのである。

24ゆえに、神は、彼らが心の欲情にかられ、自分のからだを互にはずかしめて、汚すままに任せられた。

25彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。

26それゆえ、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられた。すなわち、彼らの中の女は、その自然の関係を不自然なものに代え、

27男もまた同じように女との自然の関係を捨てて、互にその情欲の炎を燃やし、男は男に対して恥ずべきことをなし、そしてその乱行の当然の報いを、身に受けたのである。

28そして、彼らは神を認めることを正しいとしなかったので、神は彼らを正しからぬ思いにわたし、なすべからざる事をなすに任せられた。

29すなわち、彼らは、あらゆる不義と悪と貪欲と悪意とにあふれ、ねたみと殺意と争いと詐欺と悪念とに満ち、また、ざん言する者、

30そしる者、神を憎む者、不遜な者、高慢な者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者となり、

31無知、不誠実、無情、無慈悲な者となっている。

32彼らは、こうした事を行う者どもが死に価するという神の定めをよく知りながら、自らそれを行うばかりではなく、それを行う者どもを是認さえしている。

鍵となる聖句

4節
聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。

パウロは、イエスの復活を、力ある神の子としての身分と結びつけます。手紙の冒頭から、福音は考えや理念ではなく、生きておられる一人の方に基づいています。

16節
わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。

パウロは福音を恥としないと言います。それはユダヤ人にも異邦人にも、信じる者すべてを救う神の力だからです。これは人生の助言ではなく、神ご自身の働きです。

17節
神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。

神の義は福音の中に現され、信仰によって受け取られます。預言者ハバククの言葉を引くこの一節は、ルターとプロテスタントの伝統全体に深い影響を与えました。

20節
神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。

パウロは、被造物がすでに神を語っていると言います。神の力と神性は、造られたものを通して見ることができます。ですから、神がおられることを知らなかったと言い逃れできる人はいません。

説教が語っていること

福音の準備の靴 ― いつでも福音を語る備え説教者は1章16節の「福音を恥としない」という言葉を引き、日々の会話の中で自然に良い知らせを伝えられるよう、いつも備えておくことを勧めます。要約を読む →信仰に踏み出す:聞き、従い、忍耐するブルーノ・アスティエは、1章16節を引いて締めくくります。福音は、信じる者すべてに救いを得させる神の力です。神が語られたことに根ざした、素朴な信仰を持つよう勧めています。要約を読む →からし種とパン種―小さく始まり、成長する神の国バンジャマンは1章16節に立ちます。「力」と訳されたギリシア語は、フランス語のダイナマイトの語源です。福音は、小さな所から始まって、あなたの家庭、仕事、地域を変えることができます。要約を読む →被造物もあなたと共にうめいている:ローマ8章の三つの希望このメッセージは1章3節から4節に戻ります。復活、御霊、そして子としての身分が、手紙の冒頭からすでに現れています。私たちが待ち望んでいることは、イエスのいのちの中ですでに起こったのです。要約を読む →結婚:福音を映す生きた絵福音を紹介するにあたり、このメッセージは1章18節から21節を引き、罪のゆえに神の怒りの下にある人類を描きます。そのうえで、キリストが成し遂げてくださったことを示します。要約を読む →

ローマ人への手紙1章についてよくある質問

ローマ人への手紙1章16節の「福音を恥としない」とはどういう意味ですか

パウロが生きた世界では、十字架につけられたメシアという福音は愚かなものに見えました。それでもパウロは、この良い知らせが、信じる者すべてを救う神の力であるから、恥としないと言います。人間の力や説得の効果ではなく、神を信頼する人を実際に変える神ご自身の働きのことです。

ローマ人への手紙1章17節の「信仰による義人は生きる」とはどういう意味ですか

パウロは預言者ハバククの言葉を引いています。神の前に義とされることは、良い行いを積み重ねて得るものではなく、キリストへの信仰によって受ける賜物です。そして日々を生き続けるのも、信仰によります。16世紀の宗教改革はこの聖句を再発見し、今もプロテスタントの宣教の中心にあります。

ローマ人への手紙1章20節は、福音を聞いたことのない人について何と言っていますか

パウロは、被造物がすでに神の力と神性を現しているので、神について何も気づかなかったと言える人はいないと述べます。福音を聞いたことのない人の行方については、クリスチャンの間でも結論が一致しているわけではありません。聖書の本文は、一人ひとりの責任と、福音の必要を強調しています。

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