使徒の働き21章:生きにくい場所で実を結ぶ

読了時間 12分

はじめに

「また次の子の名をエフライムと名づけて言った、『神がわたしを悩みの地で豊かにせられた』」。創世記41章52節のこのみことばで、2026年10月11日の東京グレイス福音教会の礼拝は始まりました。これがメッセージ全体を貫く糸です。神さまは苦しみの地で私たちに語りかけ、私たちを実り豊かにしてくださいます。

使徒の働き21章1-6節です。パウロと同行者たちはコスからロドス、パタラへと船で進み、キプロス島を横目に見ながらツロに上陸します。そこで弟子たちを見つけ、7日間共に過ごしました。出発の日には、女性も子どもも含めて皆が町の外まで見送り、海岸にひざまずいて祈りました。

石坂先生は、このメッセージに問いかけの題をつけています。「その場所で、あなたは何を見つけましたか」。先生によれば、問題は環境ではなく、あなた自身です。置かれた場所がたとえ厳しくても、あなたはそこで成長し、実を結ぶことができます。

メッセージの流れ

1. ツロ、信仰を生きにくい町

  • ツロはカナンの地にありました。神さまはアブラハムに、その地に行って所有するよう告げられました。そこは「乳と蜜の流れる地」、いわば理想の土地です。
  • エジプトを出て40年歩いたイスラエルは、その地に入って敵に出会います。好戦的な多くの民族、偶像礼拝、さらには人身御供まであったのです。先生は、考古学者がそこで犠牲にささげられた幼い子どもたちの骨を数多く発見した、と語っています。
  • 民はうろたえます。なぜ神さまは私たちをこんな土地に導かれたのか。その理由が、この日のテーマです。イスラエルを実り豊かにするためでした。楽な人生を送るためではなく、多くの実を結ぶためです。神さまは、敵と誘惑に満ちた場所をあえて選ばれました。
  • のちにツロはギリシャ人と混じり合い、不道徳と偶像礼拝がはびこる町になりました。イエスを信じる人々にとって、そこは誘惑と抵抗の場所でした。

2. パウロが探したのは、楽な場所ではなく弟子たち

  • ツロに着いて、パウロがまずしたことは弟子たちを探すことでした。弟子とは、群衆の信仰ではありません。どんな困難にも屈せず、生きにくい町で、毎日忠実に歩み続ける人のことです。
  • この弟子たちは大きく成長していました。「敵がたくさんいたから」です。彼らは主に守っていただくために、絶えずイエスに目を向けていました。悪い仲間に囲まれると、いつしか仲間のほうを見て、イエスを忘れてしまいがちです。
  • ツロは港町で、地中海の長い航海を終えた船乗りたちが遊びに来る場所でした。そこに弟子がいるとは、だれも思わなかったでしょう。それでも彼らは、敵を敵とは見ず、愛し、祝福し、愛にあふれた交わりを生きていました。
  • 先生は問いかけます。悪い習慣に染まりやすいこの堕落した場所で、あなたは何を見つけますか。そして答えます。「この場所で、あなたは成長できます」。
  • 私たちはよく、逃げればいいと考えます。先生は、人々が遠ざけていたらい病の人たちに、「行くな」と言われながらも近づかれたイエスを思い起こさせます。イエスは彼らに手を置いて癒やされました。病気が病人からイエスに移るのではなく、イエスのいのちが病人の中に流れ込むのです。
  • 「彼らの毒に侵されるのは、あなたではありません。聖霊の力によって、彼らをきよめるのがあなたです」。使徒の働き2章以来、聖霊は信じる者たちを町の中へと押し出し、イエスのもとに勝ち取らせてこられました。

3. まず教会で成長する

  • 先生は若い人たちに注意を促します。「力以上のことをしてはいけません」。明日のバーベキューをやめて、歌舞伎町の飲み屋を回りに行きなさい、という話ではありません。「まずここで少し成長しなさい。ここで練習しなさい」。
  • 先生は、ロサンゼルスのアズサ・ストリートでの聖霊のリバイバルにも触れます。先生の話では、若い信者たちが「Jesus is our Savior」という横断幕を掲げて行進し、バーに入ってイエスのことを語りました。その運動は消えるどころか大きくなっていきました。
  • 先生はそこにジーザス・ムーブメントを結びつけます。先生によれば、LSDで傷ついた多くのヒッピーや若者たちがイエスに従うようになり、そこからカルバリー・チャペルが生まれ、のちに世界中に多くの教会を建てていきました。
  • 「町が悪いほど、クリスチャンは成長します」。しかし先生はすぐに付け加えます。わざわざ引っ越してはいけません。先生ご自身は、幼稚園のころから歌舞伎町で遊んで育ちました。でも、それはだれにでも当てはまることではありません。
  • 教会の指導者を厳しすぎると感じる人もいます。「確かに、厳しすぎることもあるでしょう」。傷ついた人は、しばらく休んでもかまいません。けれども、教会で傷つくようでは、歌舞伎町でどうやって立ち続けるのでしょうか。「だれに何を言われても、私はイエスに従います」と言える人だけが、どこかへ出て行くことができます。
  • 日本では、洗礼を受けた10人のうち5人が1年のうちにいなくなる、と言われています。先生は5人の方と同時に洗礼を受けましたが、今も残っているのは2人だけです。
  • 神さまは、あなたを、愛にあふれた家庭を持ち、清い人生を歩み、多くの人を慰めることのできる人にしたいと願っておられます。そのために選ばれる場所はどこでしょうか。ツロです。あなたが置かれた場所は、どれほど厳しくても、イエスの力強い実をそこで現すために神さまが置かれた場所です。

4. ナザレ、評判で判断しない

  • イエスはベツレヘムで生まれ、ナザレで育ち、30歳になるまでそこで暮らしてから福音を宣べ伝え始められました。ところがナザレは評判が悪く、そこからメシヤが出るはずがないと、最初から決めつけられていました。
  • ピリポが友人のナタナエルにイエスのことを話すと、ナタナエルはお決まりの言葉で答えます。「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは賢く答えます。「きて見なさい」。
  • ナタナエルは確かめに行きます。イエスは、彼の秘密、彼が知るはずのないことまで、すべてご存じでした。ナタナエルは、イエスこそ自分の救い主だと認めます。
  • 多くの人が同じところでつまずきます。「教会から何かよいものが出るのだろうか」。先生は、確かめたのですか、と問いかけます。先生のもとを訪ねてくる人には、すぐ向かいにある大きな図書館を勧めるそうです。先生の知る限り、だれも行っていません。「うわさだけで、すべてを決めてしまうのです」。イエスご自身に出会ったうえで決断する人は、ほとんどいません。
  • 実を結ぶとは、友だちの言うことに耳を傾けることではありません。世の中が何と言おうと、あなたは聖書を読み、資料を開き、証拠を見て、納得することができます。
  • 先生は、ご自身の経験を語ります。高校3年生までは不良だったそうです。牧師がイエスを信じるように勧めると、にやにや笑って答えました。「ノアの箱舟が見つかったら、信じてもいいよ」。数年後、先生によれば、箱舟が見つかったと発表され、破片が分析されて博物館に展示され、先生もその一つを見たといいます。それが先生の心を揺さぶり、物事を真剣に見つめるようになりました。

5. ダビデ、サマリヤの女、そして家族。神さまは心を見られる

  • サムエルはサウルに失望し、新しい王に油を注ぐためにエッサイの家に行きます。最初にエリアブを見て、いちばん立派な人だ、この人に違いないと思います。しかし神さまは言われます。「人は外の顔かたちを見、主は心を見る」。
  • 息子たちが次々に通り、退けられます。残ったのは末の子、だれにも期待されず、羊の番をさせられていた者でした。父親は、すでに彼を視界の外に置いていたのです。サムエルが王として油を注いだのは、そのダビデでした。
  • 「神さまの知恵と愛がなければ、私たちはしばしば間違った人を選んでしまいます」。福音の信仰がなければ、罪に染まった社会の中で、イエスのもとに来る備えのできた人を見分けることはできません。
  • イエスも、イスラエルの人々がまったく行かないサマリヤの町へ、あえて行かれました。そこで、結婚生活がすっかり乱れていた一人の女性に出会い、主のもとへ導かれました。
  • 「問題は環境ではありません。あなた自身です」。逃げられる場所もあれば、逃げられない場所もあります。家族です。「子どもは離婚を申し出ることができません」。そこは、イエスと隣人を愛すること、赦すこと、仕えることを学ぶ場所です。「最初は私にとっても大変でした」と先生は打ち明け、少しずつそれを学んでこられたと語ります。

6. ヨセフ、苦しみの地で実を結んだ人

  • 冒頭のみことばは、ヨセフのものです。兄弟たちに裏切られ、奴隷としてエジプトに売られ、何度もだまされても、彼は一度も主を責めませんでした。牢獄でも、どこにいても、神さまを仰ぎ、そのみことばに従いました。
  • 彼の忠実さは人の目に留まりました。パロが夢に悩まされたとき、ヨセフが牢獄で助けた人が彼を思い出します。ヨセフは7年の豊作とそれに続く7年のききんを告げ、穀物を蓄えるよう助言しました。
  • パロは彼を信頼し、王国の第二の地位に引き上げます。ヨセフにとってエジプトは最悪の場所、裏切られた場所でした。それでも彼は人を恨まず、神さまに仕えました。
  • そして彼は言うことができました。これほど苦しんだこの地で、神さまはわたしを豊かにしてくださった、と。

7. カナンの女、「主よ、その通りです」

  • 一人の母親が、わが子を苦しめる悪霊を追い出してほしいと、イエスに願います。彼女は叫びながらイエスについて行きます。「しかし、イエスはひと言もお答えにならなかった」。先生はこの細部がとても現実的だと言います。すぐにイエスが子どもを癒やされたと読みたいところですから。この女性は、まさにツロの地方の出身でした。
  • 弟子たちは困って言います。彼女を追い返してください。イエスは、まだその時ではない、まずイスラエルを導かなければならない、という趣旨のことを告げられます。彼女は腹を立てません。「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。
  • 彼女はこう言うこともできました。あなたは愛を説き、みんなを癒やしているのに、私の子は癒やしてくださらないのですか。「最後に一言言い返して立ち去るのが、ふつうです」。けれども彼女は、わが子への愛のゆえに、願い続けました。
  • イエスはこの謙遜と知恵をご覧になり、家に帰りなさい、あなたの子は癒やされた、と告げられます。「私たちはすぐに腹を立てて、すばらしい機会を台無しにしてしまいます」。鬱憤を晴らせば気持ちは楽になるかもしれませんが、願っていたものは受け取れません。
  • 彼女はイエスを知っていました。「イエスを知らない人は不平を言います」。主は良い方だという彼女の確信は、揺らぎませんでした。相手の間違いを指摘するのが賢いと思っている人は、望むものをめったに得られません。イエスの心を動かしたのは、謙遜から生まれた知恵でした。
  • 道は単純です。「主は良い方です」。あれこれ言う前に、「はい、主よ、あなたは良い方です」と言いましょう。たとえ主があなたの祈りに答えてくださらないように思えるときでも。パウロが牢獄で何度も神さまをほめたたえたように、苦しみの地で主をほめたたえましょう。
  • 先生は、ピリピ人への手紙4章11-13節で締めくくります。「わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。(中略)わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる」。先生はこう強調します。強いのはあなたではなく、あなたを強くしてくださるのは主の恵みです。ですから、主の悪口を言わず、あなたが住む町で実り豊かになってください。

心に留めたいこと

  • 神さまは時に、カナンやツロのような厳しい場所を選ばれます。あなたの人生を楽にするためではなく、あなたを実り豊かにするためです。
  • あなたは、逃げるようにも、汚されるようにも召されていません。聖霊によって、イエスのいのちがあなたから周りの人へと流れていきます。ただし、まず教会で整えられることから始めましょう。
  • 人も福音も、評判で判断してはいけません。「きて見なさい」。神さまは心を見られます。
  • ヨセフのように、傷ついた場所でも、神さまを責めずに忠実に仕えることができます。
  • カナンの女の謙遜が道を開きます。「はい、主よ、あなたは良い方です」。わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができます。

個人への問いかけ

  1. あなたにとって、今日の「ツロ」はどこですか。仕事、地域、家族でしょうか。神さまは、そこであなたに何を見つけてほしいと願っておられますか。
  2. その場所で、あなたはイエスを見ていますか。それとも、イエスから遠ざける人たちを見ていますか。
  3. 教会で一言に傷つくと、落ち込んだり、離れてしまったりすることはありませんか。何があれば踏みとどまれるでしょうか。
  4. 評判だけで退けてしまい、自分の目で確かめに行っていない人や話題はありませんか。
  5. 神さまが沈黙しておられるように思えるとき、最初の反応は何ですか。怒りですか。それとも「はい、主よ、あなたは良い方です」でしょうか。

引用された聖書箇所

よくある質問

使徒の働き21章で、パウロはなぜツロで弟子たちを探したのですか。

ツロは、誘惑と偶像礼拝に満ち、信者に敵意を向ける港町でした。石坂先生によれば、パウロは、そのような厳しい場所で信仰を守り抜いた弟子たちだからこそ、会いたいと願いました。そこで彼は、愛に満ちた教会に出会いました。

「神はわたしを悩みの地で豊かにせられた」とはどういう意味ですか。

創世記41章52節にある、息子エフライムが生まれたときのヨセフのことばです。兄弟に裏切られ、売られ、投獄されても、ヨセフは一度も神さまを責めませんでした。忠実に仕え、神さまはエジプトで彼を引き上げられました。説教者はここに約束を見ています。あなたが苦しむその場所で、神さまはあなたを実り豊かにしてくださいます。

カナンの女は、祈りについて何を教えてくれますか。

イエスが黙っておられるように見えても、彼女は腹を立てませんでした。「主よ、お言葉どおりです」と答え、パンくずを求めました。石坂先生は、そこに謙遜から生まれる知恵と、主は良い方だという揺るがない信頼を見ています。イエスの心を動かしたのは、その姿勢でした。

WhatsAppチャンネルに参加

今日のブースト、祈り、新しい教えを、WhatsAppで直接受け取れます。

チャンネルに参加する

無料・登録不要。あなたの電話番号は他のメンバーには表示されません。

「Épreuve」の説教をすべて見る

東京グレイス福音教会の説教を見逃さない

新しいメッセージの要約をお届けします。

メモを取ったり質問したりするにはサインインしてください。

このメッセージに登場する聖書の人物

このテーマで祈る

このテーマの関連ページ

関連記事

説教の公開元 東京グレイス福音教会. 説教全体を見る のチャンネルで.

← ブログに戻る

使徒の働き21章:生きにくい場所で実を結ぶ | Efficient Church