聖書 — 口語訳 (1955)

ヨハネによる福音書 3

概要

ヨハネの福音書3章は、夜の出会いから始まります。尊敬されていた律法の教師ニコデモが、イエスのもとを訪ねます。イエスの答えは意外なものでした。神の国を見るには、御霊によって新しく生まれなければならないというのです。イエスはさらに、荒野でへびが上げられたように、ご自分も上げられると告げ、福音の中で最もよく知られた言葉を語ります。神は御子を与えるほどに世を愛された、と。章の終わりでは、バプテスマのヨハネがイエスの前で自分を退けていきます。

この章の5つの区分

  1. 1-8節ニコデモと、御霊による新しい誕生
  2. 9-15節天のことと、上げられる人の子
  3. 16-21節神は世を愛された:信仰、光、そしてさばき
  4. 22-30節バプテスマのヨハネ、花婿の友人:あの方は栄えなければならない
  5. 31-36節上から来られる方と、信仰による永遠のいのち

1パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。

2この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。

3イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。

4ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。

5イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。

6肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。

7あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。

8風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。

9ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。

10イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。

11よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。

12わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。

13天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。

14そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。

15それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。

16神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。

17神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。

18彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。

19そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。

20悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。

21しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。

22こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。

23ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。

24そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。

25ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。

26そこで彼らはヨハネのところにきて言った、「先生、ごらん下さい。ヨルダンの向こうであなたと一緒にいたことがあり、そして、あなたがあかしをしておられたあのかたが、バプテスマを授けており、皆の者が、そのかたのところへ出かけています」。

27ヨハネは答えて言った、「人は天から与えられなければ、何ものも受けることはできない。

28『わたしはキリストではなく、そのかたよりも先につかわされた者である』と言ったことをあかししてくれるのは、あなたがた自身である。

29花嫁をもつ者は花婿である。花婿の友人は立って彼の声を聞き、その声を聞いて大いに喜ぶ。こうして、この喜びはわたしに満ち足りている。

30彼は必ず栄え、わたしは衰える。

31上から来る者は、すべてのものの上にある。地から出る者は、地に属する者であって、地のことを語る。天から来る者は、すべてのものの上にある。

32彼はその見たところ、聞いたところをあかししているが、だれもそのあかしを受けいれない。

33しかし、そのあかしを受けいれる者は、神がまことであることを、たしかに認めたのである。

34神がおつかわしになったかたは、神の言葉を語る。神は聖霊を限りなく賜うからである。

35父は御子を愛して、万物をその手にお与えになった。

36御子を信じる者は永遠の命をもつ。御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまるのである」。

鍵となる聖句

3節
イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。

イエスはニコデモに、新しく生まれなければ神の国を見ることはできないと答えます。新しくと訳された言葉は、もう一度とも上からとも読めます。どちらにしても、それは神が与えてくださる始まりであり、自分で作り出せるものではありません。

8節
風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。

イエスは御霊を風にたとえます。風は見えませんが、その働きは確かに感じられます。新しいいのちは自分で操るものではなく、受けるものです。

14-15節
そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。

イエスは民数記21章の、荒野で上げられたへびの出来事を引き、ご自分も上げられると告げます。神が与えてくださった方を信じて仰ぎ見ることが、いのちへの道です。

16節
神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。

聖書の中で最もよく引用される節が、福音を要約しています。始めたのは神であり、与えられたのは御子であり、求められているのは信じること、つまり信頼することです。

30節
彼は必ず栄え、わたしは衰える。

バプテスマのヨハネは、自分の使命を一言で言い表します。キリストが大きくなり、自分は小さくなるのです。あらゆる奉仕の、すばらしい道しるべです。

この章に登場する人物

説教が語っていること

ヨハネによる福音書3章についてよくある質問

ヨハネ3章で、新しく生まれるとはどういう意味ですか

イエスはニコデモに、神の国に入るには、神から来る誕生、すなわち御霊による誕生が必要だと説明します。ニコデモが想像したような、肉体の二度目の誕生ではありません。信じる人に与えられる新しいいのちのことです。キリスト教の諸伝統は、これをバプテスマや回心とそれぞれの仕方で結びつけますが、神がその働き手であるという点では一致しています。

ヨハネ3:16はどういう意味ですか

この節は、神が世を愛するゆえに、自ら動いてひとり子を与えられたと語ります。御子を信じる人は滅びず、永遠のいのちを得ます。ここでの信じるとは、考えに同意することだけでなく、イエスに対する個人的な信頼を指します。続く17節は、イエスが世をさばくためではなく、救うために来られたことを示しています。

ニコデモとはだれですか。なぜ夜に来たのですか

ニコデモはパリサイ人で、律法の教師であり、ユダヤ人の指導者のひとりでした。聖書は夜に来た理由をはっきりとは述べていません。人目を避けたかったのか、静かに話したかったのか、読者には推測するしかありません。ただ、この夜の対話が彼の歩みの始まりであったことは確かです。

あの方は栄え、わたしは衰えるとは、どういう意味ですか

バプテスマのヨハネの言葉で、自分が注目されることではなく、キリストが前に出ることこそが大切だという、仕える者の謙遜を表しています。ヨハネは自分を花婿の友人にたとえ、花婿の声を聞くことに満ち足りた喜びを見いだしました。

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